Book review 

    (9)やま彦返しの荒


 「実戦麻雀:トップ勝ち打法・初級編(道出版・\933+税)」という本を買ってきた。著者は灘麻太郎と荒正義の二人。といっても中身は文章ではなく、コミック(コミックの作者は城たけし)。全編、摸打による手牌の変化を漫画で追って行くという内容。たしかに絵による表現は文章で説明されるより分かりやすくていい。

 たとえば、P34にあるこの手。
 一索二索三索四索六索七索八索九索三筒三筒三筒三萬四萬

 一索四索五索六索九索二萬三萬四萬五萬 引きのイーシャンテンだが、一索四索六索九索 引きでは役無しテンパイとなる。最高めの五索を引けばヤミロンで3900点(子)であるが、万子引きなら2600点。ここへ四筒を引いた。タンピン/サンシキへの絶好の渡りだけど、こんな部分を漫画で分かりやすく解説してある。

 それはいいが、この本のタイトル惹句がどうも....実は正確なタイトルは、「カミソリ灘と山彦返し荒の実戦麻雀、トップ勝ち打法・初級編」という。この「山彦返しの荒」というニックネームみたいなものが気になって。ニックネームを気にしたって仕方ないかもしれないが、いくらなんでも「やま彦返し」は・・・・

 説明によると、「やま彦返し」とは、自分が振り込んだ手と同じ手を作り、相手に振り込ませることを意味するそうだ。しかしそんな事が出来るとしたら、まともな技術の話ではない。

 むかし「裏ドラ返しのお京」(裏ドラすり替えの名手)というコミックを見た。それと一緒で、やま彦返しなんて云うと、なんかつばめ返しというイカサマを彷彿とさせる。これじゃあ「イカサマ師の荒」というイメージになりかねない。ただでさえ風当たりの強い昨今、やっぱりニックネームだって気を付けた方がいいのでは・・・

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