Book review 

    (10)麻雀コミック


 囲碁コミックで最近人気があるのが「ヒカルの碁」、将棋コミックでは「月下の棋士」か。麻雀では今なにがトレンドかといえば、σ(-_-)は「むこうぶち」が面白い。

 しかし「ヒカルの碁」、あるいは「月下の棋士」が面白いと云っても、囲碁/将棋コミック誌に連載されているわけではない。あくまで一般のコミック誌の中の連載作品だ。しかし麻雀は現時点で竹書房から近代麻雀3誌、ナイタイ出版から1誌と、月4冊が刊行されている。連載作品の単行本だって、年間10数冊刊行されている。

 ○○シリーズ、たとえば植田まさしのフリテン君19巻(19冊)まで刊行されている。これをフリテン君シリーズとして1種類にするのではなく、あくまで19冊として計算すると麻雀コミックの単行本は、現時点(H13/8)で900冊前後刊行されていることになる。

 囲碁将棋コミックの刊行点数のことは知らないが、両方合わせて、この10分の1くらいか。囲碁/将棋/麻雀とはいうものの、社会的ステータスでは囲碁=将棋麻雀。しかしコミックの刊行数では囲碁=将棋麻雀。圧倒的に麻雀の勝ち。専門コミック誌が出ているのも麻雀だけ。まぁ、こんなところで威張ったって仕方がないが(笑)、これもひとえに竹書房のおかげだ。

 麻雀コミックを意識して買うようになったのは、比較的最近のこと。たしか15年ぐらい前からだ(はっきり覚えていない(_ _; )。もちろんそれまでも目につくと買ってはいた。しかし本腰が入っていなかった。その理由は二つある。

 一つは、むかしはコミックの刊行そのものが少なかったこと。 竹書房だってむかしは活字媒体の月刊誌だったから、連載作品が単行本化されることもない。刊行されるのは、単発的に一般コミック誌に連載された作品が、年に数点のレベルで単行本化されるぐらい。おのずからこっちも気合いが入っていなかった。

 もう一つは、σ(-_-)自身がコミックを重要視していなかったこと。どうしても活字ばかり見て育ったので、頭の中は「漫画」=「添え物」の意識。文化の担い手としての認識がなかった。ところが竹書房さんのおかげでコミックの刊行点数が増えてきた。

 「おお、これは、これは」というので、とにかく購入していた。そのうちにσ(-_-)自身の意識が変わってきた。(おお、これは堂々たる麻雀文化の担い手だ)。

 それから本格的にコミックを調べ、未入手の昔の作品を求め始めた。ところが昔の作品は刊行点数が少ないだけでなく発行部数も少ない。古本屋でも重要視されていないので廉価なのはありがたいが、まず見つからない。絶版コミックを求めてアチコチ走り回った。

 車で走っているとき、たまたま或るコミック専門古書店を見つけてフラリと寄った。すると麻雀モノが多くあり、棚のかなりのスペースを占めている。(これはありがたい)と思ったが、細かくチェックしている時間が無い。そこで(家でゆっくり調べればよい)と思って、そこにある本を全部買った。帰宅してからゆっくり調べると、未入手のコミックが数冊あって、非常に嬉しかった。

 数年後、またその書店の前を通りかかった。(そういえば、この書店では収穫があったな。またあるかも知れない)と思って、また寄ってみた。残念ながら、そのときは未入手本はなかった。しかしレア本があったので、数冊持ってはいたが購入することにした
芳谷圭児「黒い雀たちの神話」(双葉書店)、書店によっては数千円の値が付いている。

 それを持ってカウンターへ行くと、店主が「数年前に、一度お越しになりませんでしたか」と聞く。「ええ」と応えると、「やはりあのとき、ごっそり麻雀本を買われた方でしたか。あのとき それを同業者に話したら、『うちでも似たような事があった』と言いました。それもきっと貴方でしょう」という。

 「う〜ん、ひょっとしたらそうかも....」と言うと、「あれ以来、『うちの麻雀棚を荒らした男』として語り伝えていますよ」という。ふにゃ〜、そんなこと、語り伝えないで〜(~0~;

 最近はコミックブームと、レア本が超高額な「まんだらけ」なんかのおかげで、コミック誌もずいぶん高くなった。それでも「まんだらけ」では、まだ麻雀モノは重視していないらしく、最近のモノもむかしのモノも同列くらいの扱いになっている。

 と言っても石井隆の「赤い通り雨(竹書房/H2)」や「象牙の悪魔(竹書房:84/2)」クラスになるといい値段がついている。これは麻雀コミックとしての評価というより、石井隆自身が人気が高いせいだ。

 そういう有名作家のものは多少高くても仕方がないが、まだどちらか言うと、麻雀コミックとして名作うんぬんというより、作者にウエートがある。とうぜんメジャーではない作家の麻雀コミックは、年代モノでも比較的廉価となる。そしてメジャーではない作家の麻雀コミックは、発行部数が少ない。

 実際、σ(-_-)の見立てで、現時点で千円はついてもいい本が3百円前後で出ている。だんだんこの分野のニーズが増えてくれば、情け無用で千円代にアガる可能性がある。いまのうちなら、まだこんなレア本を値打ちに購入することも可能だ。

以前へ  以降へ  目次へ