麻雀小説といえば、阿佐田哲也。短編集も1冊として勘定して、生前、35冊ほどの麻雀小説を著した。阿佐田哲也以外の作家としては、剣豪小説で有名な五味康介が4作品(暗い金曜日の麻雀、雨の日の両筒、不知火隼人武辺帖、麻雀一刀斉)、野村敏雄が6作品(麻雀無頼伝、麻雀極道伝、麻雀水滸伝、麻雀太平記、賭博放浪記、復讐の雀鬼)、藤村正太が4作品(九連宝灯殺人事件、緑一色は殺しのサイン、死の四暗刻、大三元殺人事件)など、すべて 5,6冊前後。それに比して阿佐田哲也は質量ともに圧倒的。
その圧倒的な作品群の中でも、なんといっても代表作は「麻雀放浪記」。阿佐田哲也の名を世に知らしめると同時に、麻雀小説というジャンルを確立した記念碑的な作品である。
この「麻雀放浪記」は、昭和44年1月から6月にかけて週刊大衆(双葉社)に連載された。連載が始まってしばらくすると爆発的人気となり、週刊大衆は売れに売れた(一説によると、双葉社はその収益で新社屋を建てたという(ホントカイナ?...(@_@)
)。
連載が始まった時点では、続編を書く予定はなかった。しかしあまりの人気に、翌昭和45年、「風雲編」(昭和45年1月〜6月)が、続いて激闘編(昭和46年1月〜6月)、番外編(昭和47年1月〜6月)と続々執筆された。そしてこのあとも「ギャンブル党狼派」や「スイギン松ちゃん」などの短編、あるいは「ドサ健ばくち地獄」(昭和53年4月〜昭和54年2月)などの名作が次々と週刊大衆誌上で発表された。
で話は、「麻雀放浪記」や「ドサ健ばくち地獄」などのことではない。問題は、これらの作品が掲載されている「週刊大衆」そのもの。週刊誌は月に4冊は出版されるから、放浪記の1シリーズ6カ月で24,5冊。全シリーズでは100冊前後。これに短編やら、「ドサ健ばくち地獄」を加えると軽く200冊はゆく。もともと週刊誌は売り捨てのもの。そこで麻雀放浪記に限った100冊としても、全冊を揃えるのは不可能に近い。
もちろん作品を読むだけであれば、後で出版された単行本などを読めばいい。しかしここでの話は、古書としての「麻雀放浪記」の話。
単行本では初版が珍重されるのは、世の常識。そこで同じ「麻雀放浪記」でも、双葉社の初版本(新書版)となると、古書界では値が張る。初出週刊誌となるとなおさらである。しかしいかに古書界でも、週刊誌までは手が回らない。しかし「麻雀放浪記」が連載されている週刊大衆が全100冊揃いであれば、すごい値打ちとなる。
値段は見当もつかないが、すくなくとも10万円は下らないだろう。意外に安いと思われるかも知れない。しかし普通の週刊誌であれば、それが数年分揃っていても、ヘタするとチリ紙交換の対象にしかならない。それが10万円はくだらないというのだから、すごい値打ち。ましてやマニアにとっては、10万/20万には変えられない宝である。
う〜ん、麻雀放浪記は毎週リアルアイムで興奮しながら読んでいた。しかしその頃は単行本しか眼中になかった。そこで週刊大衆をとっておくところまでは思いつかなかった。それが今となっては残念でたまらない。。。。(~0~;
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