Book review 

    (12)麻雀古書
 その2


 「その1」でAグループ(大正中期〜昭和18年)のエポックメーキングな本を紹介したので、その2では同じAグループから麻雀学必須の4冊を紹介する。どれもこれも「読んでからモノ云え」と云いたくなるような素晴らしい書籍ばかり。

 まず下図は、林 茂光(りんもこう)著の「麻雀競技法とその秘訣」(四六書院・S4.12.12)。林 茂光(りんもこう)は雀名で、本名は鈴木郭郎(すずきひろお)。これを中国語読みすると「リン モコウ」、そこでこれを音で林 茂光(りんもこう)に当てはめて雀名とした。

#むかし林 茂光の本を調べようと思って国会図書館まで出かけた。ところが幾ら調べても一冊もない!。(ほんなアホな、林 茂光の本が無いなんて....)と思いつつ、しばし呆然。そのうちふと思いついて「はやししげみつ」でチェックしてみた。するとあるわあるわ(笑)。おひ、国会図書館、もちっと麻雀を勉強してくれい(^0^;

 日本麻雀の揺籃期、それも、もっとも最初の時代はプランタン時代。そのプランタン時代にみんなに麻雀をコーチしたのが、この林 茂光。もう日本麻雀の先祖みたいな人物。配牌のとき、親だけチョンチョンで2枚取る。この「チョンチョン」という表現の生みの親も、この林 茂光。
#面白いことに、中国用語でも「跳板(チャオパン)」と云って、似たような表現。(笑)


 下図は中村徳三郎「麻雀疑問解答」」(千山閣:S3/9/1)。日本最初のルールQ&A本である。σ(-_-)の大先祖みたいな人。(^0^; 内容も、もちろん素晴らしい。

 次も同じく中村徳三郎の「麻雀競技法」(千山閣:T13/10/20)。なんと云っても大正13年刊というところが光る。布張りの立派な装丁でしっかりした作り。入門書であるが、学究書としても価値が高い。裏表紙に本物の馬吊(著者のコレクション)が添付してある事で有名である(本1冊ごとに違うカード)

 この本に納められた古牌セットの写真に、東王/南王/西王/北王という花牌がある。そのセットには公侯将相だけでなく、東南西北という風牌もある。そこでその写真のセットが、「東王/南王という花牌が誕生したあと、風牌に移行しつつある時期の牌」ということが分かる(もう少し時代が下がると、公侯将相はもとより、東王/南王....牌も消滅する)。

 そんな珍しい貴重牌、麻雀博物館どころか、コレクターなら誰でも欲しい。撮影された以上、必ず存在していた。しかしどうしても見つからない。関係者は毎日、このセットの写真を見ては頭を抱えている(ちと大げさ....)。見つかったら値段は....いや、止めとこう。。。。

※下から2段目、右から4枚(右から順に、東王/南王/西王/北王)。う〜む、コントラストが、ちと悪い....
 さて殿(しんがり)に控えしは、その名も高き大真打ち、榛原茂樹の「麻雀精通」(春陽堂:S4.11.20)である。榛原茂樹は麻雀学の創始者であり、σ(-_-)の大師匠でもある。もう、この本については「まず読んでくれ」と云うしかない。

 いずれも昭和60年代には、高くても\5000-はしなかった(平均\2500-前後)。それが平成に入ると上物(函つきで程度のいいもの)では\5000-するものの出るようになり、最近は大きな顔して\8000-前後の値が付いているときもある....しかしいくら何でも高すぎるよな....入手難度や他の雀本との値段比較からいっても、現時点の相場としてはやはり\5000-くらいが順当なとこだ。

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