参照モデルについて

◆はじめに

 情報処理技術者の試験を勉強した事がある人なら、下の図の様に似たものをよく見たことがあるのではないでしょうか?



 左がOSI参照モデルで右がTCP/IPで、その2つの対応図です。
 この図は実際何に使われるのだろうかと思いますが、これはPC間での通信する場合、プロトコルに従って処理されている順番を階層で示した図だと思うと良いでしょう。
 では、なぜOSI参照モデルというものと、TCP/IPというものが存在するのかを、次の節で記載していこうと思います。

≪ 項目 ≫
1.OSI参照モデルとは
2.TCP/IP階層モデルとは
3.おわりに


 1.OSI参照モデルとは

 プロトコルのページでも記述しましたが、OSI参照モデルとはISO(国際標準化機構)が提唱した、通信体系の標準化です。 ・・・と書いても分かりにくいので私なりの解釈で言うと、これから新しく通信体系を作ろうとする場合は、 このOSI参照モデルの指標に沿って、どんなパソコンやOS(オペレーティングシステム)やネットワーク機器でも、データのやり取りができるように作っていこう。 って事だと思っています。

 ではそのOSI参照モデルの指標とは、下の図の様になっています。



 図のようにISO(国際標準化機構)は、いろいろと議論した結果、プロトコルを7層に分けることにして、 それぞれの層でモジュールを作成し処理を繋げる事によって、相手PCとの通信ができると考えたのです。

 各層の役割についての説明です。

 1.アプリケーション層
 ユーザーが使うアプリケーションに関するプロトコルの事です。 アプリケーションで、メールやファイル転送が実現できるようにしてくれる役割を持ちます。

 2.プレゼンテーション層
 データフォーマットを揃えるという役割を持っています。 データを送信する際に、アプリケーション層からのデータをネットワーク機器に適したフォーマットに変換したり、 また逆にネットワーク機器からのデータをアプリケーションで使用できるフォーマットに変換します。

 3.セッション層
 通信の管理を行います。
 コネクションの接続や切断など、相手先に対して接続要求をだしたり、また逆に相手からの要求に対して応答するなどの処理を行います。

 4.トランスポート層
 受け取ったデータの宛先を判断して、該当するアプリケーションに対してデータを正しく送る役割を持っています。

 5.ネットワーク層
 相手先にデータを届ける役割を持ちます。 要は、相手先に送るにはどのネットワークを通っていけば良いのか等の経路選択の処理を行います。

 6.データリンク層
 外部へのデータの送受信の役割を持ちます。
受け取ったデータの宛先が自分なのか判断したり、データが壊れていないか等チェックしたりします。

 7.物理層
 データを物理的(電圧や光、周波数など)な信号にしたり、 また逆に物理的信号をデータに変換する役割を持ちます。 イーサネットカードとLANケーブルのコネクターの部分などの事を指します。

 ここで注意しないといけない事ですが、OSI参照モデルはあくまでもネットワーク通信を考えるときのお手本みたいなもので、 WindowsやLinux、MacOS で使用しているTCP/IPとは別物だと言うことです。



 2.TCP/IP階層モデとは

 今のほとんどのOSは、TCP/IPを使用してネットワークを繋いでいます。 ではTCP/IPって何なのかなどは、別のページで説明するにして、ここではTCP/IPの階層と、その各層の役割について記述していこうと思います。

 下の図がTCP/IPの階層モデルです。



 OSI参照モデルと比較するとだいぶ簡単にされているように感じますが、 基本的にはOSI参照モデルに当てはめる事ができます。

 1.アプリケーション層
 OS上で動作するアプリケーションの事です。 ここの部分でユーザーの操作の要求、応答を行い、データフォーマットの変換処理と、相手先のセッションの接続や切断を、ここのアプリケーション部で全て行います。 メールで使われる方もいると思いますが OutLook Express や Internet Explorer など、フリーソフトでは FFFTP、Telnet などが、この部分の事になります。 (アプリケーション、プレゼンテーション、セッション層の役割が、一括でここで行われています。)
 主なプロトコルとして HTTP、FTP、POP、SMTP などがあります。

 2.トランスポート層
 ポート番号をもとに、受け取ったデータをどのアプリケーションに渡せばいいのかを判断して、該当するアプリケーションに送る役割を持っています。  また逆に相手先のどのアプリケーションに渡せばいいのかを設定する役割もあります。
 主なプロトコルとして TCP、UDP があります。

 3.インターネット層
 IPアドレスを元に、IPプロトコルを用してデータを転送します。
 主なプロトコルとして IP、ICMP、ARP などがあります。

 4.物理層
 イーサネットカードや無線LANのハードウェアの部分を指します。 TCP/IPの場合は、物理層とデータリンク層がこの部分に当てはまります。
要はデータを電圧や光の信号に変換したり、またその逆を行う機能を持っています。


 OSI参照モデルは、「通信をするには必要な機能は何か?」という考えで作られていますが、 TCP/IPは「プロトコルを実装するにはどうのようにプログラムを組めばいいのか?」という実用的な考え方で作られているため、基本的な部分は同じなのですが、若干モデルが異なっています。
 また図を見て分かると思いますが、実装する部分もハッキリしているので、分かりやすくなっているとい思います。


 3.おわりに

 TCP/IPを例にしますが、おおきく4種類のプロトコルが存在して、インターネットに繋いだりネットワークに繋いだりするには、 パソコン内ではその4つのプロトコルに沿ってデータの加工やセッション管理、電気信号への変換などの処理がされて、外部に送受信されているのだなーと言う事が分かります。
 では違うページで、TCP/IPでの通信例や、各プロトコルについての覚書を記述していこうかなと思っています。


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