CPUの研磨について
空冷において、CPU冷却の理想的な状態とは、CPUコアと冷却媒体との完全な熱的結合なのですが、そんな事は(少なくても個人レベルでは)無理な事です。
一般的にCPUの冷却として使われる方法は、CPUとヒートシンクとの間にシリコングリスを入れると言うのが有ります。
下にヒートシンクに良く使われるアルミニウムと銅、シリコングリス2種、と空気の熱伝導率を示します。
アルミニウム |
銅 |
信越化学 G765 |
サンハヤトSCH-30 |
空気 |
|
熱伝導率 W/m・ k |
237 |
403 |
2.9 |
0.84 | 0.0241 |
別に銅ヒートシンクがアルミのそれより優れているという事を言いたい訳では決して有りません。^^;
どんなに良いグリスを使っても所詮アルミや銅の約1/100程度・・・わざわざ高いお金を払って高級グリスを使う必要なんて無いんじゃないかって事です。グリスは空気を追い出す物と割り切って使った方が幸せになれると思います。
僕は、シリコングリスを選ぶ基準としては、粘性と言うか”塗りやすさ”だと思っています。あまりゴテゴテした比較的粘性の有るグリスはどうしても効率が悪い様に思いますが・・・・・
で、結局何が言いたいのかと言うと、
CPUの冷却効率を考えた場合、グリスうんぬんと言うよりも金属自体の接合面を増やした方がよっぽど良いということですね。グリスは出来るだけ少ない状態の方がより効率的だ、ということです。
ソケット7に良く使われるAMDのK6シリーズはCPUコアの上にサーマルプレートと言うアルミのカバーが付いています。これは、コアの熱をアルミ全体に伝え、ヒートシンクとの接合面を増やし、廃熱を効率良くする物だと思いますが、その平面性は余り良くないです。
下の写真は、K6-IIIE+550MHzにアルファクーラー6035型を付属の金具を使い数時間使用後、クーラーを外した状態の写真です。取付け方法としては、グリスはサンハヤトSCH-20を使用、厚塗りをしてクーラーを押し付け、一旦剥がしクーラー側のグリスをふき取り、またCPUのサーマルプレートの溝の部分に落ちたグリスのふき取り、また押し付けて、と言う方法で刷り合せて、金属の感触が伝わるまで繰返す、と言う方法で行きました。
グリスがドーナッツ上に広がり4角と中心部には殆どグリスが無い状態がお分かりだと思います。
これはサーマルプレートがデコボコで端の部分と中心部が飛び出していると言う事を示していると思います。僕は数種類のK6を見てきましたがどれも同じ様な傾向だったと記憶しています。
この厚塗りグリス部分を無くす為に出っ張った部分を削り落とす、つまり研磨するだけで効率良い冷却が出来るはずです。
注意:と言うか一言・・・。
最初に言っておきますが、これはあくまで熱伝導をスムーズに行う為の方法であって、完全な熱伝導(熱結合)を目指す物では有りませんし、そんな事が個人レベルで出来るとは思っていません。ですのでフライス加工に比べて・・・とか言った突っ込みは勘弁ですね。
実際にCPU面を研磨してみましょう。
研磨と言ってもそんなに難しい事では有りません。道具と言っても数種類の紙やすりとコンパウンドと板ガラスだけです。
ガラス板の上に紙やすりをひき、その上をひたすらCPUを擦っていくだけです。コツとしましては、やすりの番手は荒い方から細かい方に、と言う事と出来るだけ力を入れないこと(時間を気にして力を入れてしまうと必ず端の部分が多く削れてしまいます。)
ヤスリの番手に関しては僕の場合最初に400番で削り、(デコボコがひどい場合200番あたりで削って400番に戻す、)全体にキズが付いた状態になったら、番手を800>1500と言う風にして最後はコンパウンド仕上げですが、面倒な時は400>1500で止めてしまう事も・・・^_^;有ります。
上の写真は400番の耐水ペーパーで研磨していく様子を撮ったものです。一番左は1分ぐらい軽く擦った状態、既に4角と中央部が僅かながら削れていく様子が解ると思います。中央>右の写真では次第に削れていく面積が増えていく様子が解るかと思います。
これで一応全体にヤスリが掛かった状態になりました。
この状態になったら、ヤスリの番手を800〜1,500と上げていきます。ここまででもかなりの効果が有ると思います。
一応”鏡面もどき”くらいに仕上げてみましたが今回は中間部を手抜きしたのできれいな鏡面にはならなかったです。
少し曇った感じですが、一応撮影に使ったデジカメが映っています。右側は最終的な物、写真の映りはイマイチですが、様子はお解りかと思います。
同じ様にヒートシンク側も研磨する事に拠って、効果が増大します。 ・・・が写真は無しという事で・・・・^^;