バンダイ 魔空戦神シリーズ 成長変形スサノオ&タマノオ


ストーリー

惑星イズモで育った少年ヤマトタケルは偶然魔空戦神の一つスサノオと出会う。
しかしスサノオはツクヨミが邪神ヤマタノオロチ復活の為に必要な
オロチ玉を探すべく創られたものだった。
タケルは本来の搭乗者であったミカヅチからスサノオを奪うと
ツクヨミとその配下である8人の魔空戦士と戦う事になる。

と言うのがTVアニメ版『ヤマトタケル』のストーリー。
マルチメディア展開で小説、映画、アニメとそれぞれ違ったヤマトタケルを
見せると言った企画ものの一つがこのアニメ版だったのですが
正直これが一番面白かったです。

いや、他がつまらなかったって事を除いても充分面白い。
ディフォルメの効いたキャラクター達から
ほのぼの系を連想する人も多いかと思いますけど
物語はそこらのロボットものよりハード。
一人の命を救うか、世界を救うかみたいな究極の選択が
これでもかこれでもかとばかりに押し寄せる展開は
最近で言えば仮面ライダー龍騎的で、個人的には見返したいアニメナンバー1だったりします。

でもビデオは入手困難な上に希少なんだよな…
DVDボックスにでもならないかな。

 

舞い降りた天使の呟きは

で、玩具として発売されたのがこの魔空戦神シリーズ。
スサノオとタマノオの二種類が発売された訳ですが
スサノオはともかくなんでタマノオが発売されたかは謎。
物語見る限りタマノオよりカゼノオとかガイオウとか
商品化した方が良かったような気がするけど。
やっぱり選択ミスだったのか、どこ見てもタマノオばっかり残ってました。

魔空戦神は成長する金属で作られた生きているロボであって
玩具はそれを再現する為に『成長変形』なる新機軸を持ち込みました。
これは、成長し形を変える魔空戦神の成長を
アーマーの交換とフレームの伸縮で再現したなかなか面白い機構でして
後継的商品がないのがもったいないほどです。

あ、SIC平成ライダーがそうなのかな?(笑)

 

悲しみの大地を癒すのか

主役である魔空戦神スサノオ。最初はろくにタケルのいう事を聞かない
暴れん坊ロボでしたが、後に死んだタケルの為にオロチ玉を使ってやるほどのマブダチに。

この独特のデザインラインは人選びそうだけど結構よろしいのではないかと。
胸まで繋がった肩アーマー、独特の剣の背負い方と
個性的かつ格好良くまとまっている気がします。

ちなみにこの状態は第一形態。
後に第二形態へと成長します。

 

燃え落ちた空は黄金色に 

横一文字に背負ったクサナギの剣はもちろん抜く事が可能。
成長変形ギミックとローコスト化の為か、ヒジ、ヒザ関節が曲がらないので
可動は今一つなんですが、
ヒジは当時のバンダイのお家芸「曲がらないけど曲がっても見える」絶妙の角度で
それなりのポージングは可能。

こうしてみるとなかなかヒーローロボっぽくないです?

 

昇らない太陽を笑うのか

第一形態もう一つの武装、殺人光線(勝手に命名)。
これ、敵相手に使ってたかなあ。
最初の方で暴走してタケルの村を焼いてしまった印象ばかり強いのですけど。

なんとなく東宝特撮っぽいイメージ。

 

まだ見えない明日を 傷ついた羽で占って

装甲の換装で第一形態から第二形態へと成長〜!

と言う訳でスサノオの装甲一式です。
向かって左が第一形態、右が第二形態用パーツ。
クサナギの剣は両形態共通で使用します。

 

吹きつける風に向かい 羽ばたけ

スサノオ素体。装甲を付ける前の状態です。
ここから装甲を取り付け第一形態を作るのですが
なんかお顔が怖いですね。
剥げ頭がインパクト大。

 

遠い記憶 今 蘇れ

成長変形の目玉がこのフレームの伸縮。
第二形態を組み上げる際には写真のように
腰とヒザが伸びて身長が二センチほど高くなります。
そうする事でサイズが全然違う第二形態用のアーマーが
取り付けられるようになるのです。
このアイディアはなかなか面白い。

 

時を越え 咲き誇れよ

そうして組み上がったのがこの第二形態スサノオ。
ボリュームが全然違う上、身長も頭一つ高くなってます。
流石にフレーム共用と言うこともあり
ちょっと股関節の位置が変にも思えますが
逆に言えばその程度の破綻でこの力技のコンセプトを
押し切ってしまった事の方がご立派。

塗装も豪華でなんとも強そうになりました。

 

空と海の狭間の扉が 今 開かれる

クサナギの剣は第一形態とは違い腰に装備します。
第二形態になるとちょっと映画版(実写)スサノオに似てるかも。
単にカラーリングのせいかもしれないけれど。

OVAでは第三形態も登場するのですが、それ用のアーマーなんかも欲しかった。
TVでもシルエットだけは出たんですけどね〜
(ただ茶色くてあんまり強そうでなかった)

 

懐かしい夕暮れは 切ない香り

こちらはシリーズ第二弾となるタマノオの第二形態。
はい。タマノオはすでに第二形態になっていたと言う設定なので間違いではないです。

にしては貧弱な装甲だなあ。
まあ下の写真を見て下さいよ。

 

帰っておいで 迷わぬように

タマノオの第二、第三形態アーマー。
なんか第二形態用のアーマー少なすぎる気が。
これで本当にスサノオの第二形態と互角なのかな?
形成色もなんか橙色っぽくて本編のイメージとは異なります。
本編は真っ赤のままなんですが。

第三形態用アーマーはスサノオすら凌ぐごついパーツが目白押し。
組み上げて並べるとどっちが主役だか分からないくらいに目立ちます。

 

一人きりで泣かないで

タマノオ素体。
こちらも第三形態にする際には関節を引き伸ばします。
スサノオと同じ腰、ヒザに加え肩幅も広くなったりします。

帰り道さえ忘れかけた 遠いふるさとへ

タマノオ第三形態。
ちなみにタマノオはTV版では成長せず、このデザインは
玩具用オリジナルとの事。
そのせいかいささか暴走気味のディティールにボリューム。
第二形態の寂しさなど吹き飛んでしまいます。

 

砂漠に咲く一輪の花 人知れず誇り高く

単に設定に添うばかりでなく
組み替えると「でかくなった!」と素直に思えるほどに
各アーマーのサイズ等が考えられているこの『成長変形』ギミック。
実際設定見る限りでは第一形態から第二形態になったところで
身長は伸びて見えないんすよ。
それをこうしてサイズそのものを変えてくるってのは確信犯。
『成長』を分かる形で見せようというコンセプトが
成功しているなあと思います。

ですが作品のマイナーさも手伝って
あまり売れなかったっぽいのが残念なところ。
冒頭にも書きましたように作品そのものも良く出来ていて
どちらが悪いと言う問題でもないのですが
まあ、派手さが足りなかったのかなあ。

「良く出来てる」だけでは作品も玩具も売れないと言う
そんな一面を垣間見させてくれる物悲しいアイテムでもあります。

こうなればスーパーロボット大戦にでも登場させて
再評価を…って無理だよな;

 

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