TYCO? 1/48可変ガルビオン


ストーリー

 好戦的な地球人に恐れを抱いた異星人によって空を封鎖されてしまった未来。
それ故地球では自動車による交通網が極端に発達していた。
経済界の代表たちは自己の利益のために秘密組織シャドウを結成。
シャドウに父を殺されたレイ・緑山は私設チーム「サーカス」でこれに立ち向かう。
サーカスの主力メカ『サーカスI』のドライバーに選ばれたのは犯罪者ムウとマヤ。
刑の免除を条件に二人はサーカスIへと乗り込むのだった。

なかなかに魅力的な設定だと思うのですが諸事情あって打ち切られた事の方が
話題の作品『超攻速ガルビオン』。玩具もタカトクトイスから発売が予定されていたものの
倒産劇に見まわれ発売される事はありませんでした。
プラモデル版『可変ガルビオン』はサーカスIには変形せず(ロードアタッカーと呼ばれる
バルキリーで言うガウォーク状態にしかならない)、その複雑な変形もあって
その機構が見極め難い可変ロボでした。

しかしながら倒産後のタカトクの金型を引きとってTYCOが無版権商品として発売。
一部卸売りで、袋に詰められただけの状態で投売りだった事もあり
ムック本『超合金魂』や『不滅のスーパーロボット大全』などで写真が紹介される程度で
実物を目にした人は多くはないのではないでしょうか。
私は色々な偶然が重なって、しかも安価で手に入れる事が出来たのですが
実際、ほとんどのおもちゃの画像が落ちているとすら思えるネットの世界でも
見かけたのは一件だけ、可変パターンに至っては紹介されている様子もないので
えいやと紹介してみようと思います。

ロンリー・チェイサー

各所で正面パースの写真のみが公開、HPなどではプロポーションが酷いと酷評される
ガルビオン。でもムックなどでは製品の完成度は高いと書かれる理由は
複雑怪奇な変形パターンにあります。確かにガルビオン形態はあまり様にはなりませんね。
所々デザインも違うし。プラモデルのデカールを貼って、パーツをいくつか追加すると
印象も良くなりそうですが、やはり伝説の玩具(笑)故に改造の度胸はありません……
見ての通り、肘関節には回転機構もありますので、そこらの写真よりは
幾分ポーズをつける事はできます。
サイズは1/48、タカトクの無限キャリバーと同縮尺ですね。
並べてみるとサイズもほぼ同じだったりします。

 

ボディ展開

それではTVですら分かり難かったガルビオン→サーカスIへの変形パターンを。
まず、ガルビオンの胴体を左右に広げます(!)
股の部分を中心に胴体が3ブロックに分割されます。

 

収縮と回転の嵐

二の腕、拳が収納される形で腕そのものが収縮、胴体の横から前部へとスライドしているのが
お分かりになられますでしょうか。つま先はかかとをつま先そのものに収納してから
それ自体も脛に添うような形に回転、収縮します。
胴体は前方にスウィングし、回り込むような形で頭部を胸の裏側に収納します。

 

各部収納・展開

頭部が胸の裏側に格納されているのがお分かりでしょうか。
先ほど胴体前部に移動した腕ですが、今度は胴体そのものが回転して
体の内側に収まる形となります。いやもうなんて言っていいやら。
バルキリー以降の変形複雑化の末期ですね。無限キャリバーの腕や足のスウィング機構にも
驚かされましたが、こいつはそれ以上ですね。
そのくせ袋売りで説明書も付いていないと言うんだから……

足をまた90度回転させ、タイヤをサーカスI状態の定位置にします。
背面に畳まれていたサーカスIのフロントを
股をくぐらせる形で前方に展開します。

 

サーカスI状態

以上でサーカスI(車両)形態が完成。
サーカスI時のプロポーションはガルビオン状態とは比較にならないほど
完成度が高いです。素直にカッコイイ!
ちなみに膝関節が可動しない為ロードアタッカー状態には変形しません。
まあ、本編には登場しなかった形態ですしね〜

まあ、なんで各誌あのプロポーションで完成度を絶賛したかと言う
謎は解けたのではないかと思いますが、この玩具、実は致命的な欠陥があります。
肘や膝、股などに使われている黒いプラスチックの材質がとにかく弱く
普通に扱っていてもチョークの如く砕けます。
よりによって力が加わる場所ばかりに使われているのでたちが悪いです。
このガルビオンもほとんどの関節を改修する羽目になりました。

この玩具が世に出ないもう一つの理由、それはこの材質のせいに
ほぼ間違いありません。こうしているうちにも完品のガルビオンは
世から一つ、また一つと消えている事でしょう。
入手された方、すぐにバラして関節部のキャスト複製を
取ったほうがいいですよ〜

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