タカラ デュアルモデル・1/48ダグラム


ストーリー

地球より不当な支配を受け続けてきた殖民星デロイアでは
住民が独立を求め抵抗活動を続けていた
地球人クリン・カシムは地球連邦評議会議長の息子でありながら
デロイアの人々に共感。自らもゲリラの一員として独立戦争に参加する。
クリンを加えた人民解放組織『デロイア7』は
最新鋭コンバットアーマー・ダグラムを地球軍より奪取。
それはXネブラと呼ばれる、電子機器を使用不能にするデロイア特有の現象下でも
活動が可能と言う特殊機能を備えていた。

ガンプラブームの後を引き継ぐ形でディオラマ的な戦場風景、
リアルなメカニック、重厚な戦争ドラマを展開した『太陽の牙ダグラム』。
個人的には顔のないロボットと半裸の(笑)主人公達に
馴染めないままに、それでもしっかり見てましたね。
政治的配慮で手打ちという独立戦争の結末は
当時かなりの衝撃を憶えました。

 

いつの日かと 恐れていた

ロボットアニメにリアル志向が進み、購買層も高年齢化した当時でも
玩具はまだ腹にロボットの名前でも書かれているような
いかにもおもちゃ然としたものばかりで
作中とのギャップの大きさに落胆する人も多かったようです。

そんな中登場したのがこの『デュアルモデル』。
完全に購買層をマニア層に絞り、プラモデル以上の好プロポーション、
渋すぎるパッケージ、サスペンションまで再現した内部フレームと
これまでにない形で、リアルロボットブーム時における
玩具の新しい形を見せてくれました。
この土壌があって、バルキリーやモスピーダのような
リアルロボトイが市民権を得たと言って過言ではないターニングポイント的玩具です。

 

いつの日かと 夢見ていた

ちなみにここで紹介するのは1/48版のデュアルモデル。
他に1/72版が存在するのですが、そちらのダグラムは
ヒザのフックがただのモールドになっていたりと
正直そんなに完成度は高くないです。

1/48版は後にこちらを参考にプラモデルの方が
改修されたほどのプロポーションの良さ。
現在で言うMGプラモデルに匹敵するその完成度には
取り立ててダグラム好きではなかった私でも惚れ惚れします。

 

心目覚め 翼広げて

『デュアルモデル』とは装甲を着脱として
内部構造まで再現した機構のこと。
内部フレームまで設定されたダグラムの玩具に
ピッタリなギミックと言えそうです。

まあ、後に発売されたボトムズシリーズでは
コクピット再現を無理やりデュアルモデルと呼んでいる
こともあって、その名の定義は微妙ですが。
近年、メダロットが本来の意味でのデュアルモデルとして
発売されました。

 

旅立つ日 ダグラム

装甲分離状態。
良くあるクロス玩具のように後ろからみるとフレーム丸出しと言う事はなく
前後や左右から装甲を挟み込む形なのでパーツの点数は多いです。

ちなみに私の所有しているものには一部ペイントがあります。
リニアガン、ターボザック、クリンのフィギュアがそうでして
これらは本来形成色単色なのですが、
未塗装の状態でも充分見られる配色となっていますので御安心下さい。

つか、言わなければクリンのフィギュア以外は塗装があると
逆に気付かれないくらいかも。
そのくらいもとが良く出来てると言う事ですね。

 

己繋ぐ 鎖断ち切り

これが素体となる内部フレーム。
説明書には大河原邦夫先生によるフレームの設定が
1ページまるまる使って紹介されています。

目玉は脚部サスペンション。
スプリングできちんとサスとしての機能を果たしながら
チューブやシリンダーはきちんと別パーツで
可動までするのが白眉です。

何気に可動範囲が今のプラモほど大きくないデュアルモデルにおいて
このサスペンションはポージングの安定にも一役買っています。
ただの飾りで終ってないのが面白いところ。

 

心縛る 闇を切り裂く

あまり言われていませんが、装甲の着脱が
実に良く考えられています。
パーツが次に装着するパーツで固定され
遊ぶ時には外れ難く、外す際にも無理がない、
その上クロス系玩具にありがちなジョイント穴の拡大による
へたりの心配も少ない設計です。

脇アーマー(銀色の部分)の装着ですが、
まず両腕を外し、左右から挟み込む形で取り付けます。
再び腕を挿し込んで、コクピットパーツを取り付けます。
このコクピットパーツが腕パーツを外れないように固定し、
腕パーツは脇アーマーが外れないよう固定する形となります。

脇アーマーそのものにも凹凸が設けられており、
取りつける事でそれが噛み合い簡単に落ちるような事はありません。

 

光の戦士 ダグラム

胸部アーマーの取り付け。
胸部アーマーは前後に分かれていて、まず前部を、そして
後部を前部に重ねる形に取り付けます。
その後、頭部を挿し込むのですが、
その挿し込み穴が胸部アーマーの重なった部分を
通っていて、頭部パーツそのものが前後アーマーを固定する
ビスのような役割を果たします。

 

目指せ 遥かな地平

腰アーマーは前後からの挟み込み。
それを固定する形で腰のマガジン(タンク?)が
取り付けられます。

その後もデュアルモデル的玩具が発売される事は多いのですが
ここまでの配慮がされたアイテムはこのダグラムだけでして
ファーストが最高と言うこの現状はいささか情けない気もします。

こうした組み木細工的固定方法は
もっと受け継がれたアイテムが出ても良いと思うのですが。

 

さらば 優しき日々よ

足アーマーはフロントにスネアーマーが凸部を填める形で固定。
腕、肩は普通にパチンと填めるクロス式。
これらを装着してダグラムの武装前の状態が完成です。

胸の辺りなんか、実際に二重に装甲が重なり合っている事もあり
塗り分けでは表現出来ないリアリティーが感じられるのが良い雰囲気。
現代ならそれこそMGなんかがありますけど、これは20年前(!)の玩具ですからねえ。
時代を忘れてしまいそうになる完成度です。

 

もう戻れない もう帰れない 

背中のターボザック接合用のジョイントは引き出し式。
装着前の状態では、縮めてしまっておくことが出来ます。

 

太陽の牙 ダグラム

可動は腕はともかく足(と言うか股関節)は腰アーマーに阻まれ
このくらいが限界かな。
それでも当時玩具の中ではかなり動く方ではないかと。

むしろダグラムのダグラムらしいポージングというのに悩む。
あんまり派手なポーズが決まる機体ではないんですよねえ。
一番印象的なポーズはと言えば満場一致で冒頭&ラストの
砂漠に座り込んで打ち捨てられた姿でしょうが
流石に三角座りは出来ません(苦笑)

 

デュアルモデル ダグラム&ボトムズ

デュアルモデル・スコープドックと。
スコープドックの方は確かにダグラムと比べると
プロポーションと言う点では劣りますが、玩具でしか出来ない降着姿勢が出来たり
コクピットが開いたり、ミサイルやマガジンが全て取り外せたりと
むしろ玩具としての魅力に力が向けられた印象。
私はどちらも好き、と言うか比べるものではないのかも。

ちなみにこのダグラム、お値段も当時定価で4500円と
DX玩具相当の価格設定。
変形も合体もしない玩具を、この値段で売り出した時点で
お子様は完全に切り捨てられてますね。
説明書には汚しの入れ方からビス穴の埋め方まで書かれているんだから
そのこだわりには脱帽です。
こうした完全マニア層向け玩具が現代でももっと発売されないものですかねえ。
超合金魂は奮戦していると思いますが…

 

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