読み方の技術

裏ワザ編
30 ヒットセラーを裏読みする

 爆発的に売れた商品は、消費者に訴える力が強く、魅力があったと思われます。ところが、消費者ニーズを過熱気味に煽り、パブリシティを最大限に活用して、ヒットチャートの上位にランクされる商品もあります。売れている情報で、ますます売上が伸びます。
 著者が書籍の印税を注ぎ込めば、作為的にベストセラーもつくれます。初版の段階から10万部の買上を約束し、全国紙に大きな広告を打つ費用をポンと出し、とうとうミリオンセラーにまで押し上げた例もあります。著者の目的は、知名度を高めることでした。
 人気タレントの愛読書と紹介されたとたん、口コミであっという間にファンに広まり、刊行されて時間の経過していた本が、たちまちベストセラーになったこともあります。雑誌の特集やTV番組で煽られるほど、読者は強迫観念に襲われたようです。
 高級感を演出する商品では、市場から実物を消してしまい、数ヶ月待ちの状態をつくることで、ますますニーズを高める方法をとります。もちろん値引きは一切しません。高額であればあるほど、選ばれた意識を満足させます。値打ちを傷つけないのです。
 消費者は商品そのものではなく、商品のメッセージを欲しがります。商品を手に入れた経済力やセンスを、周囲に認めてもらいたいのです。売れている商品は、消費者に安心感と保証を与え、買うことで、時代の波に乗り遅れない気分にさせます。 

  
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