読み方の技術

裏ワザ編
29 ゴシップ記事を裏読みする

 火のないところに煙は立たないはずですが、実際には火の気がまったくないところでも、ゴシップやウワサ話は一人歩きを始めます。芸能週刊誌だけに限らず、政財界や新企画開発の情報でも、根も葉もない話が平気で花を開かせます。
 こうした流言飛語は、一般には口コミで広がっていくものですが、雑誌などの媒体に発表されますと、デマゴギーの様相を呈してきます。何らかの意図を持って、誹謗中傷する印象を与えます。軽はずみに信用しないほうが賢明でしょう。
 ゴシップ記事を掲載する側の論理は、タテマエでは読者が求めている情報を提供することですが、ホンネでは読者の注目を集めて購買に結びつけたいからです。人気タレントやオピニオンリーダーの素行だから、針小棒大にはやし立てると売れるのです。
 プライバシーにも関わる問題ですから、こうした記事は表現に神経を使います。末尾を伝聞や推測あるいは疑問で終わらせて、決して断定的な表現を選びません。ニュースソースは他に存在すると匂わせて、書いた人の責任をオブラートで包みます。
 読者の反応を確かめるために、あえて未確認情報をリークして、観測気球を打ち上げることもあります。好意的に受け入れられたら決行し、険悪な空気が漂ったら断念するのです。政財界の参謀は、意識的にこうした情報を流すこともあります。
 メディアに流されたトピックスや、口コミで小耳に挟んだ情報を、無前提に事実と思い込まないことです。少しでも怪しいと感じたら、発信する人の意図を疑い、目的を探ることが必要です。流言に惑わされてから後悔しても遅すぎます。

・ 記事の目的を検索する
 こうした記事の目的は、話題をつくるためか、誰かを攻撃したいのか、反応を確かめたいのか、大きく分けると3点に絞られます。考えるほどのこともなく、パターンに応じて検索すれば充分です。そこに情報発信者の利益も絡まっているはずです。

・ 記事の反応を予測する
 読んだ人が、どのように受けとめて、どう行動するか推測してみましょう。ときにはゴシップ記事が、スケープ・ゴートの役割を果たすこともあります。日常の不平不満の矛先を逸らしていないか、状況とタイミングを厳しくチェックすることです。

・ 記事の影響を計算する
 デマゴギーの内容によっては、商品の売行が急激にダウンしたり、株価が短期間に乱高下したり、政局に影響を及ぼしたりします。デマゴギーの対象だけでなく、経済全体のコストに関わるケースもあります。シミュレーションを展開し、数値化してみましょう。

・ 記事の真偽を確認する
 仕事や人生に関わるようなときは、真偽を確かめることも必要です。富士山が大爆発するという記事を読んで、静岡県から引っ越した人もいます。情報源や根拠が明らかでない情報は、基本的にガセネタと考えたほうが良いでしょう。

 「他人の不幸は鴨の味」という言葉もありますが、ウワサ話に夢中になっていると、いつの間にかウワサの張本人にされます。くれぐれも、注意することです。

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