読み方の技術

上 級 編
25 情報やデータの正しい読み方

 ビジネスの現場では、あらゆる情報が飛び交います。どれが正しく、どれが誤っているのか、そして、どの情報に値打ちがあるのか、取捨選択を間違えたら命取りです。相手を説得するときも、情報やデータは強い武器にもなりますが、落とし穴にもなります。
 当たり前のことですが、私たちが目にしたり耳にするのは、アウトプットされた情報です。アウトプットされる前提として、誰かが情報ソースをインプットしたことが考えられます。重要なのは、インプットされた時点での信頼性です。
 5W1Hに基づいて、一つひとつチェックしていかなければなりませんが、とりわけ誰が情報の出どころかは、情報の信憑性を決定的なものにします。人事異動のウワサが流れても、責任ある立場からの発言か、酒の席での流言なのか、まったく確度は違います。
 データを調べるときでも、政府機関の調査なのか、民間レベルで実施したのか、それとも個人の作業なのか、それぞれ信用は異なります。政府機関の調査が絶対に正しいということでなく、それだけの経費と時間を費やしているということです。
 政府機関でも民間でも、どのような立場でインプットして、何を狙ってアウトプットしているのか、そこを見極めなければ、情報やデータに振り回されるだけです。一番わかりやすいのは、情報発信者の利益を考えることです。目的が明らかなら対処できます。
 情報そのものに金銭を支払うとき以外は、情報には発信する目的があると考えて、お互いの利幅のバランスをとることです。自分だけが儲かる話と錯覚したら、間違いなくターゲットにされます。そんなにうまい話は、転がっていないのです。

・ データの背景を読もう
 数値として表されるまでの、データの計算式やサンプルなど、基本となる要素を調べましょう。POSデータで売上実績を追いかけても、陳列されていない商品は、データとして計算されないのです。そうした事実を踏まえて、データを読みとることです。

・ 何を根拠にしているか
 情報やデータが形づくられるには、ベースになる枠組みが必ずあります。たとえば日本の人口は、国勢調査がデータベースになっています。そこで調査対象から漏れていたら、日本の人口にカウントされないのです。根拠に対する信頼性を問うことです。

・ 情報発信の目的を探る
 何のために情報を発信しているのか、その目的を理解したうえで、発信者の欲求を満たすことです。情報の上澄みだけを手に入れても、実際の役には立ちません。どのように加工すべきか、発信者とコンタクトして、相手の立場を尊重しましょう。

・ 問題意識を絞り込もう
 自分が興味を抱いていることは、キーワードが情報アンテナに着信し、大きなヒントへと育ちます。他の人なら聞き逃すような情報でも、関心を持っている人にはキャッチできます。問題意識をセグメントして、周囲に耳を傾けましょう。

 情報やデータは、使う人の欲望や野心によって、危険な牙を剥くことがあります。一人歩きさせないためには、目的意識をシッカリ持つことです。

  
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