中 級 編
20 ライフワークを見つけよう

 満員の通勤電車の中や、眠る前のベッドの中で、真剣なまなざしでページをめくるのは、読書が好きという理由だけではありません。自分に不足している知識や教養を身に付けて、企画力や発想力を鍛え直し、自己実現を果たしたいから、一生懸命に本を読むのです。
 何のために本を読むのか、もう一度、自分自身に問い直してみましょう。たくさんの蔵書に埋もれて、自己満足に浸るために、本を読んでいるわけではないでしょう。どんな仕事がしたいのか、どんな人物になりたいのか、そこが重要なポイントです。
 今の仕事の延長線上に、なりたい自分がいる人は、とても恵まれていると思います。会社という組織の中枢を担おうとしているのか、独立して一国一城の主になろうとしているのか、選択肢はいろいろありますが、脇目も振らず仕事に邁進できる環境です。
 二足の草鞋を履こうとする人もいます。世間から見た本業と副業と、本人が意識する本業と副業では、逆転しているケースが多いようです。方向性が異なる仕事なら、長続きすることもありますが、同じエリアの仕事なら、二足の草鞋は短期勝負と割り切りましょう。
 職業とすることは難しい趣味の世界を、ライフワークにしようと考えるなら、絶対に無理しないことが鉄則でしょう。経済的にも時間的にも、上手にバランスをとり、継続させることが一番大事です。最優先させたいなら、一発勝負で本業にすることです。
 人生の目標が明らかになれば、自ずから読書計画が決まります。切迫したテーマの本を優先し、楽しむ本は後回しになります。だからといって、仕事に関わる本だけを読むのではなく、状況を踏まえながら心を癒せば良いでしょう。長い目で判断することです。

・ 自分は何をやりたいか
 たった一度の人生ですから、思い残すことないよう、力一杯頑張りたいものです。毎日を充実させるためには、どの方向を目指せば良いのか、最初の段階では、肩に力を入れず考えてみましょう。大上段に構えると、身動きできなくなります。

・ 自分は何ができるのか
 小学生の夢ならば、プロ野球選手になり満塁ホームランを打つことも、ミュージシャンになり武道館を満員にすることも、頭から不可能と断言する勇気は誰にもありません。いつまでも小学生ではないと自覚して、できること、できないことを切り分けることです。

・ 自分に何が足りないか
 ライフワークを見つけるためには、自分自身をよく知ることが前提です。そのうえで、歩き出すために必要なものを、きちんと列挙してみましょう。スタート地点に立つ前に、やるべきことをやっておけば、後がラクになるのです。自分をチェックしてみましょう。

・ 未来の可能性を探ろう
 性格判断や適性検査など上手に活かして、あらゆる角度から自分の可能性を検証し、チャレンジできる環境をつくりましょう。今までにやってなかったことは、これから先もできないことではありません。四〇代や五〇代に、ライフワークを見つけた人も多いのです。

 いつでもポジティブに人生と向かい合っていれば、本との出会いも豊かにふくらんできます。人生の節目ごとに、読むべき本が訪れます。

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