初 級 編
8 マニュアルの正しい読み方

 マニュアルは、本来「手引書」とか「取扱説明書」と訳されていましたが、現在では幅広く「業務標準」として扱われています。私たちが入社したときに、総務部や営業部に配属されても、最初にマニュアルを手渡されます。「仕事のやり方」の入門書です。
 マニュアルは、新入社員として採用されたレベルの人であれば、誰でも一定の業務を遂行できるような説明書です。きちんと従って行動すれば、周囲に迷惑をかけない基準が記されています。会社によっては「朝のあいさつ」から、ていねいに解説しています。
 当たり前の常識が書かれていると、簡単に考えないほうが賢明でしょう。マニュアルに書かれた内容は、理解を求めているのではなく、行動を促している文章なのです。実際に行動に移せなければ、マニュアルを読んだ意味はありません。
 マニュアルを確かめながら、手足を動かしてみましょう。わかっているつもりのことが、やってみると思うようにできません。簡単なことができなければ、難しいことは、なおさらできないでしょう。自分らしさを主張するのは、まだまだ先の話になります。
 読むことの本質は、実はこうしたことに表れます。本を読んで知識を蓄えても、使わなければ何にもならないのです。知識量だけなら、どんなに優秀な人でも、コンピュータやリファレンスに対抗できません。使えるか使えないかで、値打ちが決まります。
 マニュアルを掌握できないうちに、軽視するような態度をとるなど、とんでもない思い違いです。オリジナリティを発揮したいなら、常識としてのマニュアルを読み切り、上手に使いこなしてからのことです。現実に活かせなければ、読んだことにはなりません。

・ 素直な気持ちで読もう
 知ったかぶりをせず、謙虚な気持ちでマニュアルを読みましょう。最初に仕事に就いたを読む段階では、誰も実績を示せないのです。自分流でマニュアルをやり過ごすのではなく、きちんと卒業してから次のステップに進みましょう。

・ 実際に行動してみよう
 マニュアルに書かれているのは、できて当たり前のことです。読み流すのではなく、一つひとつ確かめて、基本を身に付けることが肝心です。頭の中で理解するのではなく、身体に叩き込むことです。読んだ文字のすべてを、胸に刻んでおきましょう。

・ 疑問点は明らかにしよう
 わからないところがあれば、その場で上司や先輩に、頭を下げて教わりましょう。後になって覚えようとしても、タイミングを逸したら、なかなか基本は習得できません。本気で成果をあげたいのなら、ポーズを取っている場合ではありません。

・ チェックシートに使おう
 仕事の輪郭が見えてからでも、ときにはマニュアルを見直し、初心に戻ることが大切です。自分の行動を正当化して、さまざまな言い訳を考えるより、マニュアルに照らし合わせ、基本をチェックすることです。それを忘れなければ、どこに行っても通用します。

 たかがマニュアルですが、されどマニュアルなのです。やさしく説かれた入門書ほど、本気で読む値打ちがあります。読んだことを結果に表すことが大事です。

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