読み方の技術

初 級 編
7 定期購読誌を追いかけよう

 発売日を待ちきれない雑誌は、誰でも1誌や2誌はあるものです。新聞のように幅広い分野は網羅せず、書籍のようにテーマを絞り込まず、その中間点に雑誌は位置付けられます。仕事や趣味に関わる情報を、広く浅く手に入れられます。
 雑誌は特集記事や連載記事だけでなく、広告ページも見逃せません。たとえばパソコンの雑誌なら、新しいハードやソフトの情報が、広告として満載されています。ハードユーザーを読者として想定していますから、TVや雑誌よりも情報の密度が濃いのです。
 週刊誌を何となく買い続けている人も、目的意識を持ち専門誌を定期購読している人も、雑誌を定点観測してみるとおもしろいでしょう。時代背景の変化が、誌面にどのような影響を及ぼすのか、広告の出稿量は違ってくるのか、注目しましょう。
 同じテーマの2つの雑誌を定期購読し、編集方針や広告のスポンサーを調べると、それぞれの特長が明らかにわかります。出版社の大きさに関わらず、A誌とB誌はライバル意識を持っていますから、同じ誌面になることを避けたがります。
 それだけに、共通する記事は、時代のコンセプトと考えられます。雑誌のセールスポイントは、時代の最先端を切り取ることですから、ライバル誌と重複しても書かざるを得ないテーマがあります。複数の雑誌を見比べれば、時代のコンセプトはハッキリします。
 さまざまな記事を集めて編集するのが雑誌ですから、新人のライターにチャンスを与えることもできます。書籍であれば、原則的に一人の著者にすべてを託すのですから、実績がなければ執筆を依頼できません。その点、雑誌なら、新人を使いやすいのです。

・ 特集記事の変化を追う
 雑誌が時代をどう捉えているか、特集記事に表れます。時代の流れと無縁に思える旅行雑誌でも、バブルのときには懐石料理や山海の珍味が注目され、「癒し」がトレンドになると、温泉や森林浴が脚光を浴びるのです。一般誌や経済誌では、なおさらです。

・ 広告商品の推移を見る
 広告のスポンサーである企業の推移は、そのまま業界のシェアの変化となりますし、掲載される商品を追いかければ、ライフサイクルの状況が把握できます。それだけの広告予算を投入しているわけですから、旬の商品だけが雑誌を賑わせていると考えられます。

・ 連載記事の結末を知る
 連載記事は必ずしも、大団円で終わっているわけではありません。読者の人気がなければ、尻切れトンボで打ち切られ、どこかから圧力があれば、歯切れが悪いまま風呂敷をたたみます。気がかりな結末を迎えた連載記事は、背景を推理することも必要です。

・ 新しい人の登場を待つ
 執筆者ばかりでなく、インタビューを受ける知識人や、コメントを求められる経営者も、評価が定まらないうちに雑誌に登場します。すべての人が順調に成長するわけではありませんが、先物買いの楽しみも、雑誌を追いかける理由のひとつです。

 雑誌の生命線は、フットワークです。新しい情報を的確に捉え、それなりの手を加えて読者に提供します。素材のままではありませんが、鮮度が一番の売り物です。

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