初 級 編
4積ん読も読書と考えよう

 手に入れた本を途中まで読んで、放り出してしまうことがあります。本屋さんでつけてくれたカバーも外さないまま、書棚に横倒しされているのです。そうした本が次々と積み重ねられるので「積ん読」と呼ばれ、三日坊主の代名詞のように考えられています。
 しかし、本を読むことに慣れるには、本との出会いが一番大事なのです。本屋さんで何か感じるところがあったから、レジカウンターまで運び、自宅まで持ち帰ったのでしょう。そのときの直感を軽視しないことです。あなたと出会う縁があったのです。
 読んでいない本であっても、ランダムに重ねておくのではなく、テーマごとに分類しておきましょう。必要なときがきたら、すぐにページを開けるように、準備だけは整えておくことです。自分の興味の方向性がわかる目安にもなります。
 さまざまな本を読んでいるうちに、書棚の本を思い出すときがあります。自分が追いかけていたテーマにしたがって、その本と読むタイミングが訪れたのです。最初に読んだときにはわからなかった言葉が、意識の中にスーッと溶け込んでいきます。
 そうしたチャンスが巡ってこなくとも、あなたの感性が、その本を求めた事実にこだわりましょう。人間は、理由のない行動をとりません。装幀に魅かれたとか、タイトルに共感したとか、本を買う心理的な背景があったから、書棚から選び取ったのでしょう。
 あなたが必要とした本は、その本ではなく、隣に並べられていた本だったのかも知れません。しかし、あなたの意識のベクトルが、その周辺に向けられていたことは、間違いなかったと考えましょう。大切なのは、踏みしめる一歩を自覚することです。

・ どんなテーマが多いのか
 つい手を出してしまう本は、自分が関心を抱いているテーマだからです。書棚の横に積まれている本は、傾向が似ているケースが多いのです。最初から難しい本を読もうとせずに、入門書から再スタートすることです。そのうちレベルに追いつきます。

・ なぜ読み通せなかったのか
 内容の問題だけでなく、書き手の表現力が不足していることや、読ませるだけの編集力がないために、途中で放り出してしまう本もあります。読み通せなかった原因を、能力の問題にして自分を責めることが、いつでも正しいとは限らないのです。

・ 1年後に読み直してみよう
 本を買った日を記録しておき、1年後にもう一度チャレンジしましょう。本の内容や文体の問題ではなく、読んだときのバイオリズムで、たまたま読み通せなかったのかも知れません。失意のどん底にいるときには、厳しい論調の本は読めないものです。

・ 先輩や友人に質問しよう
 本を読み終わっている先輩や仲間に、テーマや内容を教えてもらい、アウトラインを把握する手もあります。思い込みや勘違いで、誤読していることも考えられます。謙虚に学ぶ姿勢を示せば、誰もが喜んでアドバイスしてくれるでしょう。

 200ページ前後の一般書は、食事代くらいの自己投資で、実に多くのメッセージを受け取れます。自分自身を高めるためにも、積極的に本と出会いましょう。

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