読み方の技術

初 級 編
2 新聞・雑誌は見出しを拾う

 私たちが毎朝読むものといえば、一般紙と呼ばれる新聞の朝刊です。出社前のわずかな時間を割いて、朝食をとりながら新聞を広げます。TV番組面やスポーツ面を真っ先に読む人もいますが、たいていの人は政治面、経済面から目を通します。
 新聞といっても、全国紙ばかりではなく、ある程度広い地域をカバーするブロック紙、基本的には県単位に普及している地方紙などに分けられます。大都市では全国紙のほうが読まれているようですが、地方都市ほど地域に密着した新聞が根付いています。
 タブロイド版の夕刊紙から、政党や宗教団体の日刊紙まで、さまざまな論調の新聞が出ています。言葉を換えるなら、必ずしも事実を報道しているとは限らないのです。虚偽の報道をしていということでなく、それぞれの価値観に基づいて紙面をつくっています。
 定期的に購読紙を変えてみると、微妙な差異に気づかされます。社説やコラムの背景だけでなく、読者の投書欄に採り上げる基準まで、それぞれの社のカラーが出ます。トップ記事を見比べるだけでも、何を重視しているか、価値観が垣間見られます。
 これはTVのニュース番組でも同じですから、キャスターの魅力に目を瞑って、たまには他局のニュース番組を見ることです。毎日、目にしたり耳にしていると、自分自身の判断基準があいまいになり、送り手の意識にコントロールされてしまいます。
 雑誌を読むときには、一歩距離をとれるのですが、新聞やTVなどマスメディアに接すると、どうしても客観的な報道と理解して、疑わないクセがついているようです。「○○新聞はこう考えている」くらいに、冷静に受けとめることが大切です。

・ 新聞は見出しを流し読もう
 毎日どんな事件が起きているのか、事実を確認するだけなら、見出しを拾えば充分です。ちょっと気になる記事や、わからない用語があれば、詳しく解説文まで読みましょう。客観的報道と執筆者の意見や主張と、明確に分けて読むことが必要です。

・ 吊り広告で雑誌を選ぼう
 通勤電車に揺られながら、雑誌の広告を眺めていると、それぞれの特長がわかります。読んで欲しい記事は大きな活字で印刷され、ときにはアジテーションを展開します。興味を引かれたら、雑誌編集者の努力が実ったと考え、近くの書店で買いましょう。

・ 社説で新聞の視点がわかる
 新聞のコラムは執筆者の個性が色濃く表れますが、社説に何をテーマにしたのか、どのような論旨を展開するのか、新聞社の考え方や価値観がストレートに伝わります。その立場を把握したうえで他の記事を読めば、いたずらに惑わされることはないでしょう。

・ 雑誌の決め手は特集記事
 雑誌がおもしろいのは、時代に対する切り口です。何をテーマにして、どのような角度から捉えるのか、そこで雑誌の値打ちが測れます。特集記事にオリジナリティがなく、切り込みが浅い雑誌であれば、他のページにも魅力がないと考えて良いでしょう。

 雑誌や新聞は手軽な情報源であり、思考回路を開く起爆剤です。読む習慣を身に付ける意味でも、さまざまな新聞や雑誌に手を伸ばしましょう。

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