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A Touch of Frost(1990)は「フロスト日和」(東京創元社)という邦題で98年度「このミステリーがすごい!」で1位の作品.これが意外に面白かったので,まだ,邦訳されていないNight Frost (1992), Hard Frost(1995)と読んでみました.表紙はFrost(霜)を連想させるような暗い雰囲気で,おどろおどろしいのですが,中身は40半ばのむちゃくちゃ刑事フロスト(detective inspecter:警部)のめちゃくちゃな話.
 3冊ともほぼ同じパターンで,警部補には新任の若者.同僚のアレン警部は不在か,役立たず.大体,物語の半分は次々と起こる事件の紹介に費やされるのですが,フロスト警部は一つの事件に集中して対処することをよしとしないので,同時並行的に捜査を行います.妻に先立たれたために,気ままな暮らし.定刻に家に帰って寝る,ということがないので,絶えず睡眠不足,そして,事件は深夜に進展するので,読者まで疲労感と睡魔に襲われます.それでも読んだのは,後半は4件,5件とかかえてる大は連続殺人事件から,窃盗事件まで,見事に解決していく爽快感にあります.

Night Frost             A Touch of Frost            Hard Frost

英語は平易なので,あまり面白い表現に出会いませんでした.
この物語で頻出する英口語は次の二つ

sod

(主に英俗/通例軽蔑的)男,やつ(chap)(ランダムハウス英和)

そのほかにも4つの意味が挙げられていますが,フロストはなんでもかんでも,sodと言っています.
"We don't know who the poor little sod is yet, and we want to get photographs off to the media."
(こいつの身元が割れていないから,マスコミに写真を流してくれ)

                               被害者の子供を指して

"Tell the silly sod I'm on holiday," said Frost. "The silly sod knows that," answered Bill Wells.
「ボケナスに俺は非番だと言っとくれ」とフロスト.「ボケナスはそんなこと知っていますよ」とビル・ウェルズは答えた.

                             天敵である上司のMullet署長を指して

"Did he send you a check from time to time?" "No. He didn't give a sod about me."
「時には小切手でも送ってくれたかい」 「いいえ,何にもかまってくれなかったよ」

     not give a sod「少しも構わない」

arse

(主に英・豪俗/卑)=ass2 1,2.(ランダムハウス英和)

ほぼ,米語のassに当たるのでしょうが,これが頻出!
"Don't try and tell me he's done something, because he never does damn all. He sits on his arse in the house all day and never does a bloody stroke."
「彼が何かしたなんて言わないでくださいね.だって,何にもしないんですから.一日中家の中で座っていて,これぽっちもしないんですから」

      文字通りの「お尻」

"Which rather tends to shoot my theory that the father did it right up the arse."
(そうなれば,親父がそれをやったという俺の読みが当たりそうだが)

    right up the arse >>> up the ass「すっかり」 強意表現

'He's as guilty as arseholes.'
「奴が絶対犯人だ」 

as arseholes < assholes 強め?