GETTING BETTER
(ゲティング・ベター)
Time Data: 2分47秒  Recording Data: 1967年3月9日〜
Studio Data: EMIスタジオNo.2 Mixing Data: Take 15
リズムとビートが織りなすご機嫌なナンバー。タイトルの「ゲティング・ベター」とは実は1964年当時にツアー中だった彼等のドラマーであるリンゴが盲腸で入院している間に代役を務めてくれたドラマーのジミー・ニコルの口癖が元になっている。サージェント・ペパーズのレコーディングの最中、春の暖かい日に愛犬マーサを散歩に連れて出掛けたポールが思わず口ずさんだこのフレーズからインスパイアされて発展した作品であると語っている。シンコペートの効いたこの言い回しからリズミックなイメージが広がり、ジョンとの阿吽の呼吸で出来上がった。ビートルズの曲の多くに見られる文法を無視した言い回しはそのバックにあるリズムを基盤にしているパターンが主だが、ここでもその効果が存分に発揮されている。"I Used To Be An Angry Young Man"であるはずのフレーズが"Me Used To Be...."に変えられているあたりに彼等の音楽家としてのセンスが垣間みられる。単音でリズムを刻むギターはロック・ミュージックの基本とも言える技法で、この作品ではジョージ・マーティンが何とピアノの蓋を開けて弦の部分を指ではじいてその役割を完璧にこなしている。右スピーカーから絶えず聴こえる音がそれである。そして、中盤のサビ以降からジョージが演奏するインド楽器タンブールのうねりがこの曲に更なるビートを付け加える役をなしている。タンブールという楽器はシタールとはまったく違ったアプローチで単音を4本の弦に共鳴させる独特のもの。その本体はかなりの大きさで、床から立てて弾くために部屋全体を共鳴させるほどのすごい楽器である。また、リンゴはタブラに近いチューニングを施したボンゴを演奏している。バックの演奏自体はかなりシンプルだが、前述のとおりリズムが命の曲なだけにノリは抜群の曲にしあがっている。
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