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 出版権を設定するには?

 出版権とは、書籍、雑誌、画集、写真、楽譜などの紙媒体の著作物について、著作権者と契約した出版者に「独占・排他的に出版」させる権利です。

一般の著作権は、著作者が「複製権」を有していますので、たとえある者と著作権に関し、「他の第3者に複製権の許諾を与えない」という契約をしたとしても、著作者が契約を破って第3者に複製の許諾を与え、第三者が著作物を出版した場合には、最初に契約した出版者は第3の出版者に対して、「出版を止めよ」と主張することはできません。
(著作者を契約違反で訴えることができるにとどまります。)

このような場合に、出版権を設定しておくことで、出版者はその著作物に対しての独占・排他的な出版の権利を有することになり、もし著作権者が契約を破って他の出版者に出版を許諾したとしても、出版権を得た出版者は他の出版者に対して出版を差止めることができます。





 ■ 出版権の特徴

なお著作権は他の著作権と比べ、次のような特徴があります。

  • 出版権の対象は「紙媒体」となります。
    したがって、CDやホームページといった電子出版には適用されません。

  • 出版権の存続期間を設定時に決めておく必要があります。設定がない場合には、最初の出版があった日から3年を経過すると消滅します。

  • 出版者は特別な取り決めがなされない限り、著作者から原稿などの引渡しを受けた日から6ヶ月以内に出版する義務があり、また出版は継続的にする義務があります。
    (このような義務がなされない場合、出版権を消滅させることができます。)

  • 出版権は、出版者の承諾を得て譲渡・質権の設定をすることができます。



 ■ 出版権設定の手順

出版権を設定する場合、次のようなフローとなります。
譲渡・質権設定等の場合、対象となる出版権の調査
著作物に前登録がなく、原著作権者の登録をしておく場合、
第一発行年月日の登録

審査 (文化庁)

登録(登録済通知書交付)
出版権設定契約の締結
出版権設定の登録

審査 (文化庁)

登録(登録済通知書交付)
出 版
期限付き譲渡、譲渡担保契約などの場合、
著作権を回復する登録

審査 (文化庁)

登録(登録済通知書交付)
出版権の存続期限の終わりなどの場合、
出版権の消滅登録

審査 (文化庁)

登録(登録済通知書交付)


 ■ 出版権の登録申請

出版権の登録申請にあたっては、概ね次の書類が必要となります。
必要書類 備 考
登録申請書
著作物の明細書 前登録がない場合
出版権設定契約書の写し
登記簿謄本 法人の場合
登録義務者の承諾書 登録権利者が単独で申請する場合
第三者の承諾を証明する資料 共有著作物の権利の移転や、質権設定されている場合
戸籍謄本(抄本) 申請者が登録権利者であるとき

 ※ 登記義務者とは債務者、登録権利者とは債権者をいいます。

 ■ 出版権の登録にかかる費用

出版権の登録にあたっては登録免許税がかかります。


弊事務所では、出版権に関する相談、書類作成、並びに登録手続を行います。
また、必要に応じて出版権に関する調査・利用許諾・契約書類等の作成も行います。

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