倉庫業を始めるには? |
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- ■ 倉庫とは
倉庫とは、物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作物、又は工作を施した土地もしくは水面であって、物品の保管の用に供するものをいいます。
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倉庫の分類 |
倉庫の概要 |
営
業
倉
庫 |
普
通
倉
庫 |
一類倉庫 |
危険物等を除き、特に保管物品に制限のない倉庫 |
二類倉庫 |
防火性能を有ぜず、保管物品に制限のある倉庫 |
三類倉庫 |
防火性能、防湿性能、遮熱性能等を有ぜず、保管物品に制限のある倉庫 |
野積倉庫 |
風雨の影響をほとんど受けない原材料などを野積みで保管する倉庫 |
貯蔵槽倉庫 |
穀物等のバラ貨物や液体を保管する倉庫 |
危険品倉庫 |
消防法に規定する危険物等を保管する倉庫 |
冷蔵倉庫 |
農畜水産物の生鮮品及び凍結品等の加工品などを摂氏10度以下で保管する倉庫
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水面倉庫 |
原木を水面において保管する倉庫 |
トランクルーム |
寄託を受けた個人(場合によっては企業)の物品(非商品)を保管する倉庫
(分類上、一類倉庫に該当するものを言います) |
特別の倉庫 |
災害の救助、その他公共の福祉を維持するために国土交通大臣が定める倉庫 |
農業倉庫 |
農業倉庫業法により認可を受けた農業協同組合等が組合員の農産物等を保管する倉庫 |
協同組合倉庫 |
事業協同組合、漁業協同組合等が組合員の物品を保管する倉庫 |
自家用倉庫 |
メーカー、卸売業者等が自らの物品を保管する倉庫 |
上屋・保管庫 |
港湾運送業者、トラック業者が取扱貨物の荷捌のために、一時的に保管する倉庫 |
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- ■ 倉庫に保管できる物品
倉庫法では、倉庫の種類ごとに保管できる物品が次表のように定められています。
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保管可能物品 |
普 通 倉 庫 |
冷蔵
倉庫 |
水面
倉庫 |
一類 |
二類 |
三類 |
野積 |
貯蔵 |
危険 |
第
1
類
物
品 |
米、茶、砂糖、繊維原料、繊維製品、紙・パルプ類、機械・器具、合成樹脂、ゴム製品等、第2類〜8類物品以外の物品 |
○ |
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|
○ |
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第
2
類
物
品 |
麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金属製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿及び石綿製品 |
○ |
○ |
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|
○ |
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第
3
類
物
品 |
板ガラス、ガラス管、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械その他素材及び用途がこれらに類する物品であって湿気又は気温の変化により変質し難いもの |
○ |
○ |
○ |
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第
4
類
物
品 |
地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石、自動車及び車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る。)、大型機械その他の容大品(被覆した場合に限る)、木材(合板及び化粧材を除く。)、ドラムカンに入れた物品、空コンテナ・空ビン類、れんが・かわら類、がい子・がい管類、土管類、くず鉄・くずガラス・古タイヤ類等野積で保管することが可能な物品 |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
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第
5
類
物
品 |
原木等水面において保管することが可能な物品 |
○ |
○ |
○ |
○ |
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|
○ |
第
6
類
物
品 |
容器に入れてない粉状又は液状の物品 |
○ |
○ |
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|
○ |
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第
7
類
物
品 |
消防法第2条の危険物及び高圧ガス保安法第2条の高圧ガス |
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|
○ |
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第
8
類
物
品 |
農畜水産物の生鮮品及び凍結品等の加工品その他の摂氏10度以下の温度で保管することが適当な物品 |
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|
○ |
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- ■ 倉庫業とは
倉庫業とは、倉庫業法で寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業をいい、
「倉庫の分類」の図でいうと、緑の分類の倉庫の営業が該当します。
「寄託」とは、契約に基づいて会社や個人から預かった物品を保管することです。
従って、コンテナなどを利用しての保管場所の提供やレンタル倉庫等に見られる、利用者が保管場所の鍵を保有するといった、保管責任が会社や個人にある場合は賃貸借契約に基づくことになり、「寄託」に該当しません。(倉庫業には該当しません)
倉庫業を営もうとするものは、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。登録を受けないで倉庫業を営んだ者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれは併科に処せられますので、注意が必要です。(倉庫業法第28条)
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- ■ 倉庫業をめぐる動向
近年の倉庫業の登録伸び率は対前年比20%前後と順調に推移しています。これは、許可制であった倉庫業の営業が規制緩和により許可制になった(平成13年度より)ことを受け、物流システムの変革により、トラック業、加工業、メーカーなどの異業種参入が顕著になったことによるものとされています。
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国土交通省レポート
平近年の倉庫業登録事業者の動向 〜トラック業界からの参入が顕著〜
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- ■ 登録拒否要件
登録に際しては、次の要件に該当する場合には登録が受けられません。
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-
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- 申請者が1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から2年を経過しない者であるとき
- 申請者が登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者であるとき。
- 申請者が法人である場合において、その役員が前記のいずれかに該当する者であるとき
- 倉庫の施設又は設備が倉庫の種類に応じて国土交通省令で定める基準に適合しないとき。
- 倉庫管理主任者を確実に選任すると認められないとき。
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- ■ 施設設備基準
倉庫の施設又は設備は、倉庫の種類ごとに建築基準法およびその他の法令に適合したものでなければなりません。
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施設設備基準 |
備 考 (基準合致例等) |
普 通 倉 庫 |
冷蔵
倉庫 |
水面
倉庫 |
一類 |
二類 |
三類 |
野積 |
貯蔵 |
危険 |
土地建物の使用権限 |
所有
賃貸借
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○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
関係法令クリア |
建築基準法 |
建築確認済証 |
○ |
○ |
○ |
△ |
○ |
○ |
○ |
○ |
消防法 |
11条許可 |
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|
△ |
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17条(消防設備) |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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港湾法 |
37条許可 |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
40条分区用途適用 |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
都市計画法 |
開発許可
(住居地域・市街化調整区域は原則ダメ。) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
農地法 |
農地転用許可 |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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高圧ガス保安法 |
5条許可、16条許可 |
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△ |
△ |
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液化石油ガス保安法 |
36条許可 |
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△ |
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石油コンビナート |
5条許可 |
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△ |
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食品衛生法 |
52条許可 |
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△ |
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土地定着性 |
・屋根、壁を有し土地に定着している |
○ |
○ |
○ |
|
|
|
○ |
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外壁・床の強度 |
・軸組み、外壁又は荷ずりの強度が2,500N/u以上
・床の強度が3,900N/u以上 |
○ |
○ |
○ |
|
|
|
○ |
|
防水性能 |
・防水塗装の屋根・壁
・雨樋
・庫内に樋・水を使用する設備なし |
○ |
○ |
|
|
○ |
|
○ |
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防湿性能 |
土地からの水分の浸透、床面の結露を防止する措置
・床面=アスファルト舗装など |
○ |
○ |
|
|
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遮熱性能 |
・平均熱還流率4.65W/u・K以下 |
○ |
○ |
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|
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耐火性能 |
・耐火建築物
・準耐火建築物 |
○ |
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|
|
○ |
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災害防止措置 |
・倉庫外壁から10m以内に建物がない等 |
○ |
○ |
○ |
|
○ |
|
○ |
|
防火区画 |
・倉庫建物内に事務所等がない
・事務所は耐火構造の床・壁で区画されている |
○ |
○ |
○ |
|
|
|
○ |
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消火設備 |
・各階の床面積200uに対し、1単位以上の消火器を設置 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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防犯措置 |
・出入口は施錠付き扉
・開口部は鉄格子・網入ガラス
・照明装置は出入口周辺部2ルクス以上 |
○ |
○ |
○ |
|
○ |
△ |
○ |
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防鼠措置 |
・地窓、下水管、下水道に通じる部分に金網設置
・出入口扉は完全密閉 |
○ |
○ |
|
|
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|
|
|
防護措置 |
・倉庫の周囲はH1.5m以上の鉄柵で防護
・水面に面していない |
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○ |
|
△ |
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|
照明装置 |
・防護施設周辺照明は2ルクス以上 |
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○ |
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△ |
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○ |
屋上床強度等 |
・屋上床の耐力は3,900N/u以上
・周囲に落下防止防護ネットを展張 |
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○ |
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△ |
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水面防護措置 |
・周囲に築堤を設置 |
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○ |
流出防止措置 |
・貨物を杭に係留 |
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○ |
土地定着性等 |
・土地に定着、貯蓄槽全体がコンクリート壁で密閉 |
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|
○ |
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周壁底面強度 |
・壁面は2,500N/u以上の耐力
・底面は3,900N/u以上の耐力 |
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○ |
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通報設備 |
・事務室、冷凍各室区画内外にインターホン設置 |
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○ |
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冷蔵設備 |
・盛夏時庫内を10℃以下に維持する能力 |
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○ |
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温度計等 |
・庫内温度が電光掲示板により容易に確認できる |
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○ |
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- 上の表からわかるように、倉庫業を始めるには関係諸法令に基づく施設設備基準のクリアがメインとなります。
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- ■ 倉庫管理主任者
倉庫業の登録に際しては、「倉庫管理主任者」の選任が必要となります。
「倉庫管理主任者」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
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- 倉庫の管理の業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 倉庫の管理の業務に関して三年以上の実務経験を有する者
- 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
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- 従いまして、実務経験がない場合には倉庫管理主任者講習を受講することが必要となります。
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- ■ 倉庫業の登録申請
倉庫業の登録申請にあたっては、概ね次の書類が必要となります。
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必要書類 |
備考 |
登録申請書 |
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倉庫明細書 |
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土地・建物と規模謄本 |
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建築確認済証(完了検査済証) |
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関連諸法令に適合することを疎明する書類 |
警備状況説明書 |
構造計算書 |
部材の長さと許容荷重との相関関係が記載された資料 |
平均熱還流率計算書 |
照明装置の使用の詳細、位置を記載した書類 |
消防用設備等点検結果報告書、検査済証 |
危険物貯蔵施設設置許可証 |
高圧ガス保管第1種貯蔵所設置許可証 |
第2種貯蔵所設置届出書 |
液化石油ガス貯蔵許可証 |
食品営業許可証 |
冷蔵能力計算書 |
港湾施設使用許可証 |
開発許可証 |
農地転用許可証 |
倉庫付近の見取図 |
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倉庫の配置図 |
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平面図 |
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立面図 |
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断面図 |
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矩計図 |
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建具表 |
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倉庫管理主任者関係書類 |
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法人登記簿謄本 |
法人の場合 |
戸籍謄本 |
個人の場合 |
誓約書 |
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倉庫寄託約款 |
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- ■ 登録手数料
登録免許税として、90,000円かかります。
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- ■ 標準処理期間
倉庫業の登録申請〜登録までの処理期間は、おおむね3ヶ月ほどかかります。
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- ■ 有効期間
倉庫業の登録に有効期間はありません。(無期限)
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- ■ 倉庫業で知っておきたいこと
倉庫業の営業に関しては、変更事項の届出(許可)、事業報告等の義務がありますので、注意が必要です。
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必要手続の概要 |
備考 |
期末倉庫使用状況報告書の提出 |
4半期経過後30日以内 |
受寄物入出庫高及び保管残高報告書の提出 |
4半期経過後30日以内 |
保管料・荷役料等の設定・変更の届出 |
実施後30日以内 |
変更登録
(名称・所在地・代表者・倉庫所在地・倉庫の種類・施設設備・物品の種類等) |
あらかじめ |
軽微変更届出(倉庫の用途の廃止等) |
実施後30日以内 |
倉庫証券の発行許可 |
あらかじめ |
営業譲渡譲受の届出 |
実施後30日以内 |
相続の届出 |
〃 |
営業廃止の届出 |
〃 |
トランクルームの認定 |
あらかじめ |
認定トランクルームの変更届出 |
〃 |
役員選任・変更届出 |
実施後30日以内 |
事故発生の届出 |
14日以内 |
倉庫証券回収高・流通高報告 |
4月30日まで |
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弊事務所では倉庫業の登録に関する相談、書類作成、並びに提出を行います。
また、必要に応じて許可後の諸手続も行います。 |
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