2019年5月3日 長野県
太田切川


 仮にも10年以上太田切川に通っている(年1〜2回だけど)管理人が言う。あえて言おう。5月の太田切川は超厳しいと。

 原因は水温。
 日中の気温が20度を超えようが、雪解け水が流れ込む川の水温は5度を下回る。当然、岩魚は底付近でじっと動かず、餌でないと釣り上げるのは難しい。

 しかし、今回の釣行は、セオリーを覆す自信があったのだ。
 
 今年の冬はどうだっただろうか。
 全国的に暖冬で、特に雪はほとんど降らなかった。スタッドレスタイヤに履き替え、スキー場に来てみても、岐阜〜長野の山々は殆ど緑色のままで、スキー場でも場所によっては山肌が露出し、滑走禁止。
 そう、今年は雪が少なかったのだ。

 そうするとどうだろう?雪解け水の流入は少ないに決まっている。しかも、ゴールデンウィークとなれば、普通の釣り師は先行者を嫌って有名河川を避ける筈だ。

 人は少ない・水温はいつもより高い・魚はフライにスレていない。



 ・・・・・・勝った。この勝負、戦う前から勝った!



 午前4時に家族と荷物を車に放り込み、一路太田切川へ。空き空きの高速道路を駆け抜け、午前7時過ぎには入渓点の車止めに到着した。


オハヨー

 メスの鹿がお出迎え。同じ場所でピョンピョン跳ねていたので、罠にでも掛かってるのかと近付いたら、もの凄い勢いで走り去った。何やってたんだろう?

 少し歩いて目的の流れへ。 ざっとフライを流すが、全く反応なし(汗)


 水に足を入れると・・・・・冷たい(汗)  かなり冷たい(滝汗)

 それ程増水もしておらず、雪代らしき濁りもほとんど見られない。どこからでも魚が飛び出してきそうな雰囲気なのに一体なぜ?

 水温を計測すると7度。これはドライでは結構厳しい。かと言って、ミッジが飛んでいる気配もない。
 午前9時を回り、歩いていると汗ばんでくる気温。岩の上には割と大きい蟻もチョコチョコみられる。テレストリアルでも釣れそうな雰囲気なのだが、再度水温を計測するとなぜか5度に低下(汗)

 朝より水温が低下するって何? 残念ながら、予定より早く撤収する事とした。


 家族と合流するまで少し時間があったので、支流(黒川)に逃げ込んで少しだけ釣る。

放流魚ながら、ようやく1匹。最近、エラが見えてる養殖岩魚が増えているが、少し心配だ。

 今後の参考と同じ時期に釣る方への情報提供を兼ねて、ストマックを拝見。ストーンフライとミッジは分かるが、他はゴチャゴチャしていて何だかよくわからん。黒〜薄茶色系なら何でもよさ気。
うむ、何の参考にもならないね。



 朝食兼早目の昼食のため、ソースかつ丼のお店を訪れるが、結構な順番待ち。旧C&R区間の流れまで散歩し、水温を計ると、こちらも7度と結構低い。

 その後、ソースかつ丼を頬張りながら色々考えるが、やはり上流の方が有望と判断。潔く今度はニンフで攻めることとし、再度同じ場所から入渓。
 上流を目指そうと歩き始めたとき、ふと河川工事で出来た水溜まりのようなプールが気になった。


 なんか、ライズしてね??

 魚がいるなら釣ってみたい。こんな閉じ込められた場所にいる魚を釣るのは気が引けるが、まぁ、お遊びって事で・・・・・ 


あっさりヒット ( ̄▽ ̄;)

 工事で流れが寸断される際に逃げ遅れたのか、思いっきり放流魚だったが、釣れて喜んでいる自分がそこにいた。
 しかも、スレていないのかまだライズしている魚がいる。
 デジカメを体に固定しての動画撮影も難儀だが、簡単に釣れそうだったので左手のスマホで釣ってるシーンを撮影してみる。これならツイッターにすぐ投稿できるからね。

 そんなことで撮影できた動画がこちら。GoPro買おうか迷ってるけど、スマホできれいに撮れる技術を磨いた方が楽しいかもしれんな。

入渓前に、水溜まりに魚がいたのでキャスト。#太田切川 #フライフィッシング pic.twitter.com/ALe1RVTFWx

— FlyHighFisher (@FlyHighFisher) 2019年5月3日

 そんなこんなで、入渓点で水たまりに閉じ込められた放流魚をいじめていたわけですが(クズ人間か、再び上流を目指す。
 結論から言えばニンフも不発。管理釣り場パターンも(←オイ)不発。
 逆転の発想で#12のドライフライに代えてみたが、これまた反応なし。

 こうなってくると、釣りが雑になる。
 
 大場所だけざっと流し、早朝からの釣りで疲れた体を鞭打って上流へ進む。が、心の中は半分「もう帰ろう」「早く戻って温泉にでも行こう」という負のイメージで満たされている。

 「このポイントが最後」
 何度そう思ったか。


 大き目の岩が二つ重なり、ちょうど家の屋根のような形となり、その奥に小さな洞窟のような暗いポイントを形成している場所に辿り着いた。
 いかにもいそうなポイントではあるが、もはや早朝からの釣りで気力が残っていない。
 投げやりに、”洞窟”状のポイントへフライを叩き込む。1回目・・・無反応。2回目・・・無反応。

 3回目、上手くフライが流れたと思った瞬間、山吹色の魚体が横っ飛びでフライに飛び出した。瞬間、私とそいつの目が合ったのをハッキリ覚えている。


軽く30cmオーバー。もしかすると40cm近くはある大物だ!


 パニクリそうな状況ではあったが、この冬、自然渓流型の管理釣り場である天川で30cmオーバーのニジマスを釣りまくった経験が活きた。
 大げさにロッドを立てることはせず、ゆっくり合わせを入れる。正直、あのような出方をした魚は、大抵フッキングしな・・・・・・あれ?


 ゴンゴンゴンゴン


 かかっとる(素)



 まずは立ち位置を確保し、テンションを保ったままランディング場所を考える。
 自分の真横には、落差1mほどの落ち込み。ここへ入られたらアウトだ。ヒットした場所から3m程上流からは、比較的浅くてなだらかな流れになっている。
 上流へ逃げてくれれば勝機はある。テンションは保ちつつ、しかし強引には寄せられない。ティペットが8Xなので(汗)
 
 魚が釣れないとき、むやみに糸を細くするのはダメだー。


 30秒ほど格闘し、念のためランディングネットを用意する。魚を浮かすべく、強くテンションを掛ける。
 「頼む!上流へ向かって走れ!!」

 こっちに向かってくる岩魚さん(汗)

 一か八かでランディングネットを水中に突っ込んだが、そんな方法で掬えるわけがなく、そのまま落ち込みへ消える岩魚。

 瞬間、ロッドは満月。魚の動きと水流が合わさり、ロッドがガクンガクンと激しく曲がる。


 まずい!さらに下流へ下って、この流れから出さなければ確実に切れる!しかし、周囲は大岩の点在する状況で簡単に場所移動できない。
 オロオロしている間にも、水流と魚が暴れる感触がロッドに伝わる!



だめ! そんなに暴れるな!! だめっ!! だめだって!!! そんなに激しく動いちゃっ!!!!

らめぇえええーーーー!(←オイ)







ブツン





・・・。






・・・・・・・。






ああああぁぁぁぁあああぁああーーーーー!!!

ちっくっしょおおおおおぉぉぉおおおぉぉおーーーーーーーーっ!!!!


くっそーぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおーーーーー!!!!!

本気で叫んだ。心の底から吠えた。


そして心底思った。


フライフィッシングって、めっちゃ面白い!


今回釣れなかったのは、また太田切川が「また来いよ」、と言っているに違いない。そして、大物の巣穴の場所はしっかり覚えた。次は必ず釣り上げる。その時まで待ってやがれ。





追伸

 ホテル到着後、ユースホステルの方と談笑。

「全然雪は見当たらないのに、水温が物凄く冷たくて苦戦しましたわー」

「一週間ぐらい前にね、滅茶苦茶雪降ったんですよ。この辺でも10cm位積もるぐらいの量が」
「多分、上流にはまだかなり雪があるんじゃないですかね」

「マジっすか・・・・。」

私の釣りのベース基地。家族なら一室貸し切れるが、基本相部屋。当然ながら部屋にテレビやら浴衣などない。しかし、宿泊料はお一人¥4000以下。基本全てセルフサービスの宿。だが、そこがいい!

ユースホステルの隣の宿。ちょっと高い(普通の宿からすればかなり安い)が、たまにこちらへも宿泊します。ただ、リーズナブルでコスパが高い宿で、なかなか予約が取れません。

駒ヶ根で楽しみなのは馬刺しですが、お土産で買うのはお薦めできない。種類が少なく、黒毛和牛も真っ青な値段です。素直にネットで注文しましょう。結局、全部海外産の馬肉なので・・。



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