2014年8月〜10月 三重県
安濃川
事情により今年はほとんど釣りに行けなくなりました。理由は後述。
そんな中でも、発眼卵放流を実施している安濃川だけは、2週間に1回程度の割合で様子を見に行っていました。
とは言うものの、ご承知の通り2013年9月の台風被害により、護岸と川沿いの道路がかなり荒れた安濃川では、現在も復旧工事が進められている。
発眼卵放流直後に工事で川全体が泥濁り、それでもなんとか生き残って川に放たれた稚魚だが、週末に時々川に行く度に、カフェオレ状に濁る川を眺め、「こりゃダメだ」とつぶやき帰宅する事数知れず。
一応タックルは持ってきても、川に入らないことが大半だった。
しかし、5月ごろに少し希望が見られる。
なんと、誰がどう見ても劣悪な状況下で、稚魚は立派に生き残っていたのである。しかも、釣りで確認できるレベルで相当な数。これはもしかすると・・・。
場所によっては入れ食い(もちろん、全リリース)
そんな淡い期待を打ち砕いたのが、2014年8月9日、記憶に新しい三重県初となる大雨特別警報である(津市街では、発表される前の午前中の方が相当ひどかった)。
3日後に安濃川を訪れた時の写真がこれ。発眼卵放流地点よりはやや下流。
正直、下流は「意外と大丈夫やん!むしろ釣れそうな渓相になったかも!?」などと、大したことが無かったかのように思えた。
しかし、上流へ進むとやはりただ事ではなかった。
まず、あちこちで道路下の地盤が流失。走れる道路も所々で小石が散乱しており、水没したことが窺い知れる。ついでに護岸工事用の擁壁ブロックや部材が流失。
これにより、上流への通行は不可。もはや、川と言うより工事現場である。毎年のようにこの状況になると、流石に放流していることがアホらしくなってくる。
2013年の台風で、最も被害があった場所。一見、「さすがに新しい護岸工事は大雨に耐えたか」と思ったが、よく見るとそうではない。
護岸全体が川側へ移動(流されて)しまい、数センチの隙間が空いているのである。
ちなみに、護岸(擁壁)全体が剥がれ落ち、修復工事が完了していたある区間では、工事前と同じように、また護岸が剥がれていた。もうコンクリートは止めて、でっかい岩でも置いとけ。
新品の護岸でも流されるとなると、被害の原因は護岸の劣化ではないだろう。従来の工法では、21世紀の大雨は止められないのかもしれない。
そして禁漁が迫った9月中旬、「無駄だろうな」と思いつつ、安濃川へ稚魚の生存状況を確認しに出かけた。
川に到着して、まず目に入ったのは恒例となったカフェオレ祭り(汗)
上流へ車を走らせると・・・・ん??
道路や護岸が新たに修復されている。1年近く工事していても、なかなか工事が進んでいなかったが、特別警報のおかげで補正予算が付いたのだろうか。
工事区間を過ぎると水が澄んでいたので、ロッドを繋いで釣り開始。正直、まっっったく期待していなかった。「稚魚の顔が1匹でも見られたらいい」その程度だった。
釣り開始早々、オイカワがヒット。これだけでも魚が残っていることが分かり、ちょっと嬉しかった。5月に魚影が確認できた地点に近づくと、急に反応が増えてきた。
アマゴは強かった!
発眼卵放流記で散々自分で言ってきた事だが、水質や水温に敏感で、繊細で弱いというイメージのアマゴは、地味に相当強い。
しかし、今回ばかりは全滅でも致しかたないと思っていたので、これは嬉しい想定外の事柄だった。
結構な数の当歳魚の姿を確認でき、中には少し大きめのサイズもヒットし(3匹程かけたが、残念ながらランディングには至らず)、1歳魚(2012年の冬に生まれた魚)も確認することが出来た。
絶望の中に一縷の望みあり。
だが、この川で自然再生産が安定的に続くようになるのは、もう難しいかもしれない。少なくとも、2010年までは「これはいける!」という感触だった。しかし、ここ数年は1〜2年に1回、リセットボタンが押されてしまう。
そして山が泥を吐き出す原因がこれ。
20m級の杉木が、根っこからコテッと倒れている横で、流されず立っている広葉樹。保水力どうこうよりも、植林された杉木の根っこは驚くほど小さい。そして、上に長いから一度傾くと吸水して軟弱な地盤と風の力により、自重で簡単に倒れる。
少なくとも、川から10mの範囲には、杉は植えてはいけない気がする。渓畔林の造成は急務だ。
安濃川の場合、ここ10年程で崩れそうなところ、倒れそうな木は粗方流されており、工事が無ければ結構すぐに渓相は回復する。
しかし、上記のように道路や護岸が流されると、重機が川に入って渓魚が棲むには厳しい環境になる。
人命にかかわる事なので工事自体に反対するものではないが、そろそろ別の方法を考えてもらいたいところだ。
禁漁後、三度台風の被害を受けた安濃川を視察。
なんか・・・岩魚でも泳いでそうな渓相に様変わり(汗) なんだかとっても釣れそうな感じ。
結局、壊れてるのは人間が造った場所だけのような気がする。
今年の発眼卵放流、どうしようかな??
追伸 2014年シーズンに釣りに行けなかった理由
私の3個目の稚魚が無事孵化しました(汗)
いやー、長野や岐阜方面へ何度か旅行に行き、タックル一式も持参し、嫁さんから何度も「釣ってきていいよ」とは言われてたんですけどね〜(ストレスがたまってそうな自分を見て、結構気を遣ってくれたみたい)。
さすがに身重の嫁さんに娘二人押し付けて釣りに行くことはできませんでした。
しばらくはスローペースな釣りになりそうです。