2012年3月3日 三重県
安濃川


 解禁はどの川にしようか?毎年悩むところだ。

 ホームリバーである雲出川(坂本川)は、解禁日が3月の最終日曜日という変則ルールのため、いつもどの川にしようか迷う。
 今年は原発の影響で解禁さえできない川もあるので贅沢な悩みなのかもしれないが、やはり成魚放流が相手ではつまらない。家から近いという自堕落な理由も含め、今年の解禁は発眼卵放流を行っている安濃川に決めた。


ちなみに、今年は長良川の解禁には出撃していない。

 フライフィッシングを始めた当初(気が付けば、もう15年以上前になるという事実に自分でも驚くが)、車中泊して通っていた頃とは、様々な点で様相が随分変わってしまったのが原因だ。
あの頃は、今にはないワクワク感があった。

 有名ポイント、例えば美濃橋下でも、安定して広範囲でそれなりのライズがあったと記憶してるし、郡上八幡まで北上すれば、初心者のキャストでも届く距離のライズを見つけるのは容易すかった(ただし、雪の影響で運転には気を使った)
今は、単に放流ポイントを調べ、放流魚がライズしている場所を血眼になって探し回り、ひたすら車を走らせるだけのイベントになっている。

 釣りの技術とかフライの出来栄えではなく、「その日向かったポイントでちゃんと放流されたか」「放流後、川鵜や密漁者の被害を受けていないか」が勝負の大半を左右する。
それら情報収集も釣りの内と言えばそうかもしれないが、個人的にこういった釣りは冷めてしまったのかもしれない。

 また、発眼卵放流をしていて痛感するのだが、2月という時期は、稚魚はまだ産卵床内(川底)に留まっている可能性が極めて高い。人が産卵床の上を歩けば、中の稚魚は無事では済まないだろう。
 関観光ホテル前や相戸堰堤周囲でアマゴが産卵しているとは言わないが、2月という時期はやはり、アマゴを釣ってはいけない=川に入ってはいけない時期だと思う。
長良川が解禁するという事は、渓魚が産卵する支流での釣りも解禁されている。禁漁期が魚のために設定されていると信じるなら、解禁は水温10度以上になる時期を設定すべきではないかと思う。

そうすると、3月末まで解禁しない坂本川は、ある意味根性が座っている。釣り師にとってはヤキモキするが。


 御多分に漏れず、20世紀末に豪雨の被害を受けた安濃川だが、10年以上の歳月をかけてそれなりの渓相に回復してきたように見える。
まだまだ砂の堆積が多い区間が目立つが、アマゴが棲むのに適したポイントも増えてきた。



特に大物を期待しているわけではない。


20匹も30匹も釣れると思っていない。


この川で、この流れで釣りが出来ることを感謝したい。 

春の訪れを感じさせてくれる梅の花。周囲に見られるハッチは、ミッジが少しとかなり小さいカディスが少々。
解禁最初に結ぶフライは、#18の黒っぽいエルクヘアカディスに決めた。

新しい8Xのティペットを50cmほどリーダーに繋ぐ。リーダーはリールに巻きっぱなしの昨シーズンの6Xマキシマだが、特に問題ないだろう。

フライボックスを開く。最初のフライ、しかも解禁初のフライというのは、毎年の事ではあるがなんとも初々しい気分にさせてくれる。
フライボックスを開く。























エッグがいっぱい並んでいる(汗)




























フライボックス間違えて持って来たーーーー!!!


これ、昨年末釣りに行った管理釣り場用のボックスやん。


えー、管理人の個人的な意識の変化ですが、ベスト着るのをなるべく止めようと思ってるわけね。まず、重たいベスト着て山道歩くのが面倒というのが最大の理由。夏は蒸れるし。そして、ベストの中身の7割ぐらいは、殆ど使わないという事実。
使わないフライボックス持ち歩くより、主に使うボックス1つだけ持って、もっと身軽に長距離を釣り上がった方が釣果が伸びると考えたわけですね。ここ数年で最大の意識変化です。

何年前だろうか?
かの岩井渓一郎大先生が、常時フライボックスは5つだか6つ持っています、ベストの重量はどんな時でも3kg(?)より重いです、ズシリとしたベストを着込むとテンション上がるんだよね〜、みたいな事を言われてましてね、私も「フライはなるべく沢山持っていた方が良い」、「ベストはパンパンな方が格好良い」みたいな事を考えていたわけですよ。
実際、ベストは物がたくさん入るほど便利でしょうし、”なるほどそれをこう収納するのか!”といったアイディア満載のベストを使いこなすのが、上級者と呼ばれるステージへの通過点かと思っていました。

まぁ、実際そうなんでしょう。
メイフライがメインだと思っていたら、もうテレストリアルが捕食対象のメインだった。そんな時、こんな事もあろうかと、ベストの内ポケットに忍ばせておいた夏用フライボックスが大活躍。・・・あり得なくはない。備えあれば憂いなし。

でも、そんないつ出番が来るか分からない想定外・緊急用の荷物を常時持ち歩くのは疲れた。言いだしたら乾パンとか5Lの水とかも必要になりそうだ
。最低、その時期に適すると思われるフライ以外に、アントとビートル、極小ミッジを数本ずつ持っていたら、大抵の事態には対処できるだろう。


何より、ベスト着るのはなるべく避けようかと思った最大のきっかは、最近のフライ関係の雑誌を見て、そこに映ってる方々を眺めていた時だ。
あっちでシムス、こっちでスコット。たまにバンブー。で、皆グレーかベージュのベストに、同色のウェーダー。茶色いサングラスにつばの長い帽子。

みんな一緒。

これ、機能を追求してたら同じような格好になったってわけじゃないと思う。なぜ皆、シムスのフェルトじゃないシューズに行きつく?それでないとダメだと誰かが決めたのか?
極限まで追求してみたら、ウェーディングシューズは鮎タビが最強ですよ、という持論の人がいてもいいはず。
皆一緒の姿で一緒の装備。ちょっと怖い。
他に流されず、高い物が良いという迷信に惑わされず、自分のスタイルに合わせて装備を整えたら良いと思うのですが、皆さんどうでしょう?



で、フライボックスを間違えて持って来たんだよね、という話に戻るわけですが(強引に)、むしろ、間違えて持ってくるならぐらいなら、大量にフライボックスを詰め込めるベストの方が良いのでは?という結論になる気もするのですが、そうはいきません。
持ち物は最小限に、ベストなんていらん(いらんとは言ってないが)と宣言した以上、こんな状況でもなんとか釣らなければなりません。


管理人が採った作戦・・・それは、エッグをそのまま沈めて使う。


ではない。
いやいやいや、成魚放流がメインの川なら、むしろ釣果が伸びるかもしれないが、流石に安濃川でそれはない。

実際は、「フェザントテイルニンフを分解して、ドライとして使う」


管理釣り場用のフライボックスとはいえ、私ほどのレベルに達すると(Lv3くらい)密かに水棲昆虫パターンを忍ばせてある。中でもフェザントテイルニンフは、ミッジピューパだったりメイフライニンフだったり、いつでもどこでもボツボツ釣れるパターンとして汎用性が高い。
このフライのウィングケースをクリッパーでカットし、逆立たせた後にドライシェイクを擦り込めば、フローティングニンフの出来上がり。

足元に浮かべてみれば、どこからどう見てもハッチ間近のメイフライにしか見えない。ただ、今日メイフライ、ハッチしてないけどな。

極限に見辛い即席フローティングニンフで2012年解禁。指サイズだけど。

さぁ、どんどん行くぜ!と言いたいところだったが、即席フローティングニンフは魚のヌルヌルの影響で、二度と水面に浮かぶことはなかった。そして、私の心もポッキリ折れた。そのまま沈めて釣っても良かったのだが、安濃川は水深(50cm以上)のあるポイントは、50mに1カ所程度。沈めて釣る気になんてなれない。


装備を軽くするのは良い。山登りでは鉄則だ。ただ、忘れ物がないかどうかはベストでもバッグ確認しよう。これ、ロッドだったら洒落にならん。


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