2008年3月22日 三重県
宮川


ブログのほうで簡単なレポートを済ませてますので、転載してそれに肉付けする形で詳細を書き留めておきます。



 2年間の禁漁を終えて、宮川の支流・ダム上流の谷が解禁されたので出撃してきました。

 ご存知で無い方のために、地元三重県を流れる宮川は、平成16年9月までは、三重県を代表する清流で、渓流釣り、鮎釣りのメッカだった。
しかし、台風21号の影響により(参照)、川は荒れ果て、復旧工事や資源保護のために支流と上流の谷全てが2年間禁漁とされた。当時の状況は「荒れた」なんて生易しい表現ではなく、「壊滅した」と言った方が早かったかもしれない。

実際、「宮川はもう終わった」といった声さえ聞かれたほどだった。


仕事に忙殺され、3月釣行は無理と諦めていたが、3/22に時間が取れたので迷わず宮川の谷へ向けて車を走らせる。

宮川の日券は3月中は¥1600、4月以降は¥1000と変則的な価格設定になっている。そのため、この時期に日券を買うのは、割り増しの料金を払い、かつ放流された魚は殆ど釣られているというダブルパンチで普通の人にはアイタタな状況ではあるが、寄付の意味もあるので私は喜んで割増料金を支払うのだ。


まぁ、年券買おうとしたけど

財布に

3000円しか

入ってませんでした
(本当にアイタタ)




以前から実績のあるポイントを見つつ車を走らせる。水温は平均して10度程度(非接触型水温計なので、川に入らなくても計測できるんですわ)と若干低めならがハッチは多数。

しかし、日券を買った店で貰った、放流ポイントマップではライズも魚影も皆無。既に殆ど抜かれてしまったのだろう。

本流は諦めて、まずは大熊谷へ突入。
完全に土砂で埋まっているかと思いきや、意外と釣りになりそうな雰囲気。

所々で土砂崩れの跡が残っているが、どうでしょう。想像以上に回復してきているように見えませんか?

水質も抜群。ここ数年、工事で濁った水しか流れていない本流のイメージしかなかったが、かつての姿を思い起こさせる光景だ。
しかし、春日谷のように、未だ復旧工事が行われている谷や「これはもう無理だろ」と思えるぐらい荒れてしまった谷があるのも事実。残念だが、生き延びた流れで楽しませてもらうしかない。


砂地の足跡から推測すると数名釣った後だったが、水温の上昇で活性が上がったのか、まずは2匹。

 

まだまだ痩せていて万全とは言えない魚体ながら、ヒレのビシッと伸びたこれぞ宮川アマゴ達。右上の魚はやたら朱点が濃いが、多分、養殖場育ちで昨年稚魚放流された魚だと思う。

この川の野生アマゴは、何故か他の川の野生魚より尾鰭がツンツンの鋭角になる傾向がある(特に小さめの魚)。こんな魚がもっと増えてくれると良いのだが・・。
その後、数匹の放流魚を追加して、目指すはダム上流の比較的深い谷。

落石だらけの林道をズンズン進んで行くと、数箇所で大崩落の跡がある。

ガードレールが土砂崩れに巻き込まれて崩落していたり、転がってきた岩があまりに大きく、撤去ではなくてそのままコンクリートで固めてある等、当時の被害の大きさを想像できる光景があちこちに。


山肌がガードレールごと崩れ落ちてます

川もかなり荒れて様子が変わっただろう・・・と、かなり思っていたのだが、入渓ポイントに近付くにつれて、その心配は杞憂となった。


意外と、普通の渓相。

 勿論、全体的に浅くなり、砂の堆積が増えた気はしたが、毎年大雨の後なら普通に起こっていた程度の変化であり、少なくともアマゴが棲み、釣りが出来るレベルを十分維持している。

護岸が丸ごと剥ぎ取られて無くなっている場所もあったが、ダム下流の支流のように壊滅したという感は無い。

 この光景を見てふと気付いたのだが、大規模崩落があったのは人工林の山肌に多いという事。
杉などの針葉樹人工林は保水力が弱いとか根が浅くて土砂崩れが起きやすいとか一般的に言われるが、天然の落葉・広葉樹林が大雨に特に強いという実感も無かった。
入渓まで周囲を見回した限り、この話は「確かにそうかも」と納得できるものとなった。結局、一番被害が大きかったのは人が手を入れた山と、その合間を流れる川、その周囲を走る道路だったからだ。

何千年と時間を掛けて形成された森と川は、意外とタフなのかもしれない。


入渓点へ到着した頃には時計は午後4時を回り、あまり奥まで突入する事は出来ない。
川に下りてすぐ、目の前でライズしていた1匹と仕留め、上流に見えている大きなプールを目指す。フライは#16のソラックスダン、パラシュート・フローティング・ニンフなど。

  

小型の黒っぽいカディスの他、#18〜14のメイフライやユスリカ、陸生昆虫も多少見られたので、フライは何でもいい感じ。ここでストマック・ポンプなんて野暮なものは使いたくないしねぇ。

大きなプールに手前からフライを落としてく。3〜4投目だろうか、ゆっくりとした動作で黒い影がフライを吸い込んだ。

厳しい自然を生き延びた、逞しい魚体。3年ぶりの再会だ。

本当にいい川だな、と実感。
禁漁の効果で魚が増えた(釣られて減らなかった)のは事実だが、各方面の情報によると、この1ヶ月で大量に持ち帰られているのも事実。

この経験を活かして、漁協の方々には各谷を1年交代で解禁(禁漁)にする等、末永く宮川でのアマゴ釣りが楽しめる、新しい管理体制を考えて頂きたいところだ。


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