2007 4/21 三重県
安濃川
■発眼卵放流実施効果調査■
3/17から、約1ヶ月ぶりの安濃川釣行&発眼卵放流後のアマゴ生育状況調査。
発眼卵放流後の調査と言いながら、放流したポイントでは殆どアマゴの姿を確認できず、源流域調査になってしまっていた事を反省し、今回はきちんと放流ポイントを釣ることとした。
なんてことは無い、午後2時まで仕事だったので、それほど上流まで入っていけないだけなのだが。
午後3時に安濃川に到着し、ロッドをつないで釣り開始。放流ポイントより800mほど下流。道路の横がすぐ川の区間。
ハッチの状況を確認すると、モンカゲロウではないと思うが、かなり大型のメイフライを確認。加えて#18程度のシロハラコカゲロウらしき虫も確認。
えらい両極端のハッチが確認できたので、とりあえず薄い黄色の#16・フローティングパラシュートを選択。
さて、どこから川へ・・
・・我が目を疑う光景。
「な?なんかライズしてる!?」
20cmないぐらいの魚影が、緩い流れでしきりに水面上の何かを捕食している。
この川でライズを見たのは、10年以上釣りに来ているが片手で数えられる程度しか記憶していない。いや、厳密には2回しか見たことが無い(その内1回は、台風から3日後の大増水状態で、堰堤下のプール。釣れた魚はこれ)。
慎重に、身をかがめてライズに近付く。この川でライズにお目にかかれるとは、ほとんど奇跡。しかし、ライズしている場所が悪い。水深40cm位で流れがほとんど無い。しくじれば一発で見破られる。
中腰のまま、魚の斜め上流10mに接近。フライを上流から送り込む。
ライズが合った場所までフライが流れ着くと、アマゴは追いかけるようにフライに飛び出した。しかし空振り。定位置に戻り、またライズを繰り返す。
「次こそは・・」
フライをピックアップし、フォルスキャスト・・した瞬間、魚は一目散にどこかに隠れてしまった。
後悔先に立たず。1昨年に放流した卵から育った魚だろうか。色々考えていたが、奇跡は2度用意されていた。
木の枝が張り出した真下のポイント、やや深めの水深がある。
リーダーだけでキャストし、餌釣りのようなスタイルでフライを1箇所に留める。突然、フライは黒い魚影に吸い込まれた。
久々に使うユーフレックスXFが一気に絞り込まれる。
それでなくても木の枝が多いややこしい場所。まずは強引に魚を流れまで引っ張り出し、下流へ移動。ゆっくり魚を疲れさせ、ようやくランディング。
20cm。放流2年魚であれば、丁度良い大きさ。本当にそうか調べる方法は無いが。嬉しい誤算だった。
そして、そこから釣り上がること30m程。
ポツポツと反応がある。しかも、10cm程度のチビアマゴの反応!
全て食われた、流された。嫌な事ばかり考えていたが、これはもしかすると、もしかするかも。
日も傾き始め、活性も上がってくる頃だろう。
本気モードで釣り開始。
パシャッと飛び出した13cmサイズ。ヒレが少々貧弱で、発眼卵放流というより稚魚放流のような魚。遺伝的にヒレが小さい個体なのか、有志が放流した稚魚かは不明。
チビの反応をことごとく空振りしたものの、15cmがヒット。肌ツヤ、ヒレの感じからすると・・・これも微妙な個体だな〜(汗)
飽きない程度にフライに飛び出すチビアマゴ、時々釣れる15cmクラス。近付くと小さな影が猛スピードで逃げていく。
ふと、懐かしい感じがした。
「そういや、昔の安濃川はこんな感じだったな・・・」
学生時代、授業をサボって足しげく通ったこの川は、確かにこんな感じだった。意外と魚が泳いでいて、釣れなくはないのだが、ポイントまで10mぐらいの距離があっても逃げ惑う魚影。
まだ漁協があって、細々ではあったが魚が放流されていた時代、市街地からのアクセスが良く、道路から5歩で川に入れるこの川のアマゴは、それはもうスレていた。
10mなんて甘いもんじゃない。車から降りて、30mぐらい離れた場所から入渓しようとしただけで、下手に動けばパッと散る黒い影。
それのおかげか、管理人は魚にコッソリ近付く技術だけは結構自信がある。ストーカー行為には自信がある。安濃川で鍛えてもらったと言えば格好いいが、そうしないと釣れなかったのだ。
なので、初めて長良川でミッジングを体験した時は衝撃的だった。細いティペットとかじゃなく、明らかに人が近くにいるのに、悠々とライズを繰り返す魚の姿にだ。
この魚影の復活は、何を意味するのだろうか。発眼卵放流が成功していた。素直にそう思いたいところだが、いまいち釈然としない。
閲覧者の方から頂いたメールで、個体数の増減の調査方法について詳しく書いて頂いた方がいたのだが、正直「しまった」と思った。
比較できる基データ(初期値)が殆どないのである。
私が持っているデータは全て感覚的なものが多く、「○月○日、△△から★★の区間において、エレクトリックショッカーによるによる採捕調査。アマゴ12匹を確認。体長・・・」と調べられたら良かったのだが、知事の許可無く投網や電気ショックで魚を採ると、自分がお縄で捕られてしまう。
成魚であればアブラビレの削除や標識タグ打ちで追跡調査が可能であるが、卵に穴を開けるわけにはいかない。
結局、私が比較対照できる方法は @毛ばりで A一人で B釣る これしかないのである。
そして、比較できる基データは私の記憶頼りで、魚が釣れても「昔ぐらい釣れるようになった『気がする』」というレベルが限界なのである。
当初、失敗する事しか考えていなかったので、なにをもって「成功」とすべきか、判断基準が無い。失敗の判断基準は明確にあるのだが。(釣れない、という状況です)
この日、使ったフライはこれ1本。釣り続ける間にハッチも増え、黄色っぽい虫が多かったこともあって想定外の大活躍となった。
そして、ようやく釣れた10cmクラス。発眼卵放流の100mほど下流。これは昨年11月の発眼卵から育った個体だと信じたいところだ。
連休中、遠くの川へ遠征を予定している三重県のフライフィッシャーは多いことだろう。しかし、地元を流れる小さな川でも、アマゴは逞しく泳いでいる。土砂で埋まった小さな川、目で見て楽しめる川ではないが、もし時間があれば一度訪れてみてはいかがだろうか。
そして、今回はあえて文字の多い、読むのが面倒な文章を書いてみたのだが、最後まで読んでくれた、この件について関心をお持ちであると思われるあなたに、お願いがあります。
放流した魚が見当たらないので、他の方に調査をお願いしようかと以前お伝えしたところ、賛否両論、様々なご意見を頂いた。
賛成・反対はほぼ半分。
賛成の方は純粋に「お手伝いします」というものだった。
反対の方は「川が荒れる」「根こそぎ持ち帰られる」といった、至極当然のご意見だった。
正直、私も反対である。せっかく放流したしたアマゴ、強欲な人間が一人でもいたら、全て台無しになる危険性が極めて高い。
しかし、今回はたまたま釣れたから良かったが、放流ポイントからどの辺りまで稚魚が拡散したか、一人で全て調べるのは不可能であるとの結論に達した。
仮にも市民の共有の財産である自然河川に、善意であれ偽善であれ個人が勝手に放流をしているのである。
法律や県の規則に違反していなくとも、やはり追跡調査を行い、県や閲覧者の方にある程度報告する責任があるのではないかと思う。
そこで、発眼卵放流ポイントの地図を掲載し、もしアマゴが釣れたらメールでその地点をご報告いただきたく、伏してお願い申し上げる次第である。何もお礼は出来ないと思うが、今後の放流も含め、貴重なデータになると確信している。
地図に記載された記号を確認の上で場所を明示し、釣れた尾数、釣った方法(フライ・餌・ルアー)、大きさ、可能であれば写真を添付し、こちらのメールまで。
放流ポイントの地図は、このサイトを長く見ている人であればすぐ分かると思いますが、少しだけ見つけにくいよう隠してあります。
最初のヒントはこちら。
パスワードは、私が発眼卵放流をしようとした理由。とても簡単な理由です。
パスワードは、コピーして貼り付けで入力して下さい。2つとも同じです。