その戦士は夜も明けぬうちから、皆に気付かれないよう一人静かに寝床を抜け出し、愛用の剣と鎧の手入れをしていた。

戦士の胸の中にある想いはただ一つ

『借りを返す』 ただこれだけだった。

あの日、雪で純白に染まった戦場。多くの戦士が剣を振るうことなく敗れ去り、またある者は自分の身に起きている事が理解出来ないかのように、ただその場に立ち尽くしていた。

『このままでは終わらせない・・・』

その戦士はポツリと呟いた。

戦士は鉄の馬車に乗り込み、北を目指す。

暁の風を肌で感じ、戦士は戦いの時が近づきつつある事を知る。

あの日失った名誉を取り戻すため。そして栄光を手に入れるために。

誰のためでもない。これは自分のための戦いなのだ。


2/8 岐阜県
長良川・板取川


 略・『前回ボウズだったから、今日こそ釣るぞ! オー!(^o^)/』


まぁそんな訳で、懲りもせずまた長良川へ向かいました。
今回は長良川中央漁協管内。美並村より下流域です。


まず最初に向かったのは、解禁日でも結構ライズがあったという、『関観光ホテル前』
鮎の瀬橋から下を眺めると・・・

満員御礼状態。ヘタな管理釣り場より人が多いんじゃないか? 前回ほとんど見れなかったミッジも、そこそこの量がハッチしている。

肝心のライズは・・・


ポツポツポツ・・・

これを見ただけで、一気にテンションが上がる。ホテル前でライズがあると言うより、放流された魚の数が多い感じがする。

よく見ると、ライズは満遍なくある。無論場所によって多い少ないはあるが、時間を掛ければ自分の前だけライズが1度も無いと言う事態は回避できそうだ。

しかし、この人混みの中に突入する勇気は無い。

しばらく橋の上と川沿いの道路を往復していたが、橋の上で投網を持ったオッサンと遭遇。
なんて言ったら良いのか、言葉が見つからない。


人がいない所でライズが無いか探索。顔めがけて飛んできたミッジをキャッチ。


撮影直後に逃亡

サイズにして#24ぐらい。予想していたより大きい。ボディの色は真っ黒。
飛んでいる虫も分かったので、空いている場所に入る。頻繁にライズがあるポイントより、かなり上流に陣取った。

20分ぐらい待っていると、自分の正面でついにライズが起こる。しかもかなり安定したライズ。
極稀に、目の前でライズもある。





しかし、頻繁なライズへは距離約30m



+++

『艦長! 射程距離を10m以上オーバーしています!』

『なにぃ!? えーい、かまわんっ! 撃て撃て撃てーっ!』


撃つ撃つ撃つ



『艦長! 1発も届きません!』

『ぬぅ・・・。仕方ない。ひとまず様子を見るぞ!』

ライズ・ライズ・ライズ


ポツポツポツ・バシャッポツポツポツ・・・・

さらに遠ざかる。


『か・・艦長!?』





『撤収ーーーーっ!(泣)

+++


次に向かったのは旧美濃橋(赤つり橋)

しかしですね、省略させていただきます。なんせ、写真とる事さえ忘れていたぐらい、ひどい有様でした。
今日ここへ行った人は、運が悪かったかも。


釣り橋の上で、海釣りのようにリールを使って釣っているお爺さんと雑談。

曰く
『下で釣ってる人達は、釣ろうと焦ってどんどん川へ入っていく。待っていれば岸の近くでもライズするのに
(こんなご年配の方から『ライズ』という単語が出たのには驚いた)川の中をバシャバシャやって、自分達で魚を遠くに追いやっている。ワシはそれを狙ってるわけ』
うーん。老獪とでも言うべきか。
今年はあまり魚がいませんね、と言ったら、『昨日板取川で300kg放流したみたいやぞ』と、思ってもなかった情報をゲット。

そこまで知ってるなら、どうして自分で行かないのかな?とは思ったが、他に行く所も無いのでお爺さんの言葉を信じて場所移動。


支流・板取川へ到着

近道してみようと思ったら、袋小路だった。この道を延々バックで戻るハメに。
しかし、川を見てみると、かなりのライズがある!
話は本当だった。ありがとうお爺さん。



ライズがあるポイントに行こうとすると、でかでかと『禁漁区』の文字が。しかしその下に『4月〜6月まで』との但し書き。

禁漁区の文字に不安があったので、近くの人に聞いたところ、4月から鮎の稚魚を放流するらしい。鮎の稚魚は毛鉤で釣れるので、友釣りが始まるまでは、あらゆる釣りが全面禁漁になるらしい。

そりゃそうだ。禁漁区に大量放流したら、ただの嫌がらせだもんな





 川幅が狭いので、ライズへは十分届きそうだ。最初。、#30のパラシュートで様子を見る。しかし、いまいち反応が悪い。

数投してから、違和感があったのでフライをチェックする。


1匹目が釣れた?

なんと、本物のユスリカが引っ掛かっている。サイズは想像以上に大きい。と言うより、ボディが太い。
写真では判り辛いが、ボディはハッキリとしたシマシマ模様。

早速フライを#26にサイズアップ。ライズの1m上流へキャスト。


・・・・出たっ!! が、掛からず。

もう一度落ち着いてライズを観察。
どうも群れで回遊しているらしく、一旦下まで行ってから、集団でライズしながら自分の目の前まで回ってきているようだ。

そこで、下流でライズが始まり、徐々に自分の方へ近づいてくる時に、予めフライをライズのコースへ浮かべておく事にした。
ダウンストリームで、かつティペットを沈め、ライズのありそうな場所よりやや遠くにフライを浮かべておく。
ライズが思ったより手前で起きたら、そこまでフライを引っ張る、という作戦。


下流でライズが始まり、徐々に近づいてきた。フライがライズのど真ん中にいくように、フライの位置を調整。

フライの半径2mぐらいで、4〜5個のライズが連続で起きた。波でフライを見失ったが、リーダーが引っ張られるように動いたのですかさず合わせると・・・!


ヒット!! 慎重に、慎重に寄せてきてようやく


ハレルヤー!

どこからどう見ても100%放流魚。だが、それがどうした。釣れた瞬間、心の底からこみ上げる喜びを噛みしめた。

面白い。本当に面白い。
橋の上から撒き餌を使って、次々と魚を釣り上げる餌釣りの人に、この面白さを伝える事が出来たらどんなに素晴らしいだろう。

アマゴはゆっくり、川へ帰っていった。


その時、ふと水面を見ると、大量のシャックが浮いている。
そこでシャックフライを結んで、ライズを狙うと、これがなかなかの好反応。合わせそこないが2回、合わせ切れも2回と、魚を釣り上げるには至らなかったが、来年はシャックフライを大量生産しようと思える結果だった。

何度もキャストを繰り返し、ドライへの反応がかなり悪くなってきたので、沈める事にした。#24ぐらいのピューパにしようと思ったが、放流魚という事もあるので、#16のビーズヘッド付きのピューパを、インジケーターを付けて水面下30cmで漂わす。

ライズが横を通過する時、3〜4回に1回はアタリがある。ティペットが10Xなので、早あわせが出来ない。
そこでフロロの7Xのティペットに変更。タナを水面下15cmにして『ライズのついでに食わないかな』と思いながら、ライズのやや上流に沈めておく。


インジケーターが沈み込む。


2匹目

これで前回の借りは返した。三重県からの遠征なので、渋滞も考えて4時には帰ろうと思っていたが、ルアーマン2人に挟まれてしまい、それぞれがライズめがけてルアーをキャスト。
しだいにライズは散発になっていったので、ルアーマンに場所を譲って帰路に着いた。



今年の長良川解禁、一言で言えば『情報戦』

自分自身、あのお爺さんに話を聞いてなかったら、どうなっていたかわからない。
変なプライドは捨てて、どんどん話しかけましょう!(何故か自分は、知らない人によく話し掛けられる人です。才能の一つ?)


最後に一言

『お年寄りは大切に』


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