2/1・2 岐阜県 
長良川 解禁


 ついにこの日がやってきた。フライフィッシャーが待ちわびた、渓流解禁。

ハッキリ言っておくが、2月に長良川水系の解禁日で、良い思いをした事は無い。それでもやっぱり足を運んでしまう。『釣りではなく、お祭り』という人がいるが、その理由はよく分かる。
『自然の川で釣りが出来る』ただコレだけの事だが、それには何物にも換えがたい価値があると思っている。




早朝3時。岐阜県に向けて出発。先日降った大雪は、三重県でもまだ溶けずに残っている所がある。解禁直前に大雪が降るって、誰かの嫌がらせかよ?(←誰のだよ)

岐阜に入って、道路に設置された気温計が、さり気なく−4℃てなってたのは、目に入った瞬間、とりあえず記憶から消去しておいた


round 1 相戸堰堤

川岸にはライズを待つフライフィッシャーが数人。少し離れた所で暖をとる人が数人。釣っているのは餌釣り師のみ。人は意外と少ない。

 自分は川原までは下りず、上の道路と橋の上からライズを探す・・・が、フライフィッシャーが一人も釣ってない事からも簡単に予想できるように、ライズのどころか””の字さえ見当たらない。

雪の上で座り込んでいると、名古屋から来たというオッサン(フライ初心者)が状況を聞いてきたが、説明するまでもない。と言うより、こっちが聞きたいぐらいだ。

途中、犬の散歩をしていた人が話しかけてきた。当然地元の人だろう。

『5日前に放流したんですけどねー』


魚協の人か!? これは願ってもない情報提供者!





『でも、ここでライズしてるの、1回も見たことないなー』










即、移動決定






round 2 旧ビール工場裏周辺

相戸から次に目指したのは、支流吉田川の超有名ポイント、旧ビール工場裏。
その下流に架かる橋の上には
人・人!人!中学生!!・カメラマン!!・TV局の撮影スタッフ!!!

見ていると、ポツポツと釣れている!


水質はこんな感じ。例年に比べ、透明度が高い。

このポイントだけは魚が溢れていた。それに比例して人も多かったが、魚の姿を見れるだけでもチョット嬉しい。


橋の上流・ビール工場裏

川原には数人のフライフィッシャーがライズ待ち。今年は川原の葦が綺麗に刈られていたので、かなり釣りやすそうだ。

しかし、橋を境界線にするかのように、魚の姿は見えない。いつもなら川岸近くか、流れ込み付近でライズがあるのだが・・・




次の瞬間!






ライズ発見!!


橋の下に溜まった魚に皆が気を取られていたのか、少し上流でひっそりと繰り返される、このライズの周囲には人がいない。即座にロッドをセッティングし、フライを結ぶ。


『どうですか? ライズありますか?』









ギクッ!! Σ(゜□゜)!!




やばい。話し方からして100%フライマンだ。気付かれるわけにはいかん!


『イヤー。全く無いですねー。道路の反対側(下流)にはかなりの量の魚がいますけどね。見ての通り、大勢が狙ってますけど』(ハラハラドキドキ)

『そうですか・・・』

極めて自然な会話で、平然と大嘘を言える自分が恐い。誰か知らんがスマん



橋の下を通って、ライズしているポイントに向かう。

橋の上は釣り人とギャラリーでいっぱい。この下をくぐるのは勇気がいった。



しかし、ライズの近くまでなかなか行けない。雪で埋もれた草に足を取られ、前に進めない。雪を踏み固めながら、一歩一歩足場を作りながら進む作戦で、ようやくライズの5m上流に出た。
ティペットは10X。フライは#30フローティングピューパ。

数投して、ライズのあるポイント近くにフライを送り込んだが、水面は沈黙。ゆっくりピックアップして、もう一度フライを落とす。

それと同時にライズ! しかし、フライではなく、その横を流れていたであろう『何か』を食ったようだ。
少し粘ったが雪の上に立っていると、水分を含んだウェーディングシューズが凍ってくる。ガイドもラインも徐々に凍ってきて、思うようにフライが飛ばせない。

気が付いたらライズは無くなっていた・・・。

あちこちで見かける『ライズ待ち』フライフィッシャー。もはや釣りではない。我慢大会。
ロッドを振っているフライフィッシャーは、10人中1人ぐらい。

橋の上に戻って、餌釣りの人が釣っているのを見ていた。魚は流れてくる餌(イクラやミミズ)は完全に無視しているが、時々水面下で何かを捕食している。


しばらく魚の行動を観察していると、何人もの人が『釣れましたか?』『ライズしてます?』と話しかけてくる。
とにかく情報が無い。大量の魚の姿が見えるこの場所に、続々と人が集まってきた。


宿泊する宿の近く、八幡町内のポイント。鯉のぼりの寒ざらしで有名。
例年ならユラユラ泳ぐアマゴが、最低でも数匹は見られるのに、完全に沈黙。虫さえ一匹も飛んでいない。


郡上八幡の町中をブラブラしていた彼女と合流して昼飯。彼女の遊漁券も一応買ってあるが、この女、98%釣る気は無いようだ。

ここもかなり良い感じのポイント。なぜかルアーマンが多数いた。下流のポイントでもルアーマンをよく見かけた。ルアーでのシラメ釣り、ブームなのか? 



やはり魚が見えない所で釣るのは、精神的にも辛い。結局、ビール工場下流の橋へ移動。
彼女にも釣らせてあげたいが、ミッジングは絶望的。しかし、再びビール工場下流の橋に戻ってくると、驚くべき光景。

そうめんのように、風になびくフライライン!

一般的にプライドが高いと言われるフライフィッシャーが、こんな釣り方するってのは、非常事態もいいところだ。
しかし、ふと思った。『これなら彼女でも出来るな・・・』

フライをエッグに換えて、大き目のショットをつけて彼女に渡す。管理釣り場みたいだけど、この際しょうがない。
『魚の目の前でチョンチョンって動かしてみ』と、アドバイス。魚は寄ってくるが、本物の餌すら無視するほどのスレよう。簡単に釣れるわけが無い。

『寄ってきた! 今、魚の目の前にフライがある! チョコッと動かしてみ!』
『エー? 見えやんよ?』
『食った! 今食ったって!!』
『うそー?』


いつの間にか、俺の方が必死。

しばらく遊んでいたが、彼女が早く宿に行きたいと言い出したので、そのまま撤収。

ひたすら疲れた1日だった(つまらなかったわけではない)

旅館の窓から下を見ると、鯉のぼりの『寒ざらし』の真っ最中。旅行に来たと思えば、最高の眺め。
この際、鯉のぼりでもいいから釣ってやろうかと思った。(←オイ)

宿から出て、宮ケ瀬橋の上から川を眺めていると、ポツポツポツ・・・と小さな波紋のライズを発見! 時刻はpm5:40。
夕飯は6時。ロッドも車へしまってたので、ライズだけ眺めて泣く泣く撤収。


晩飯。写っていないが、アマゴの塩焼き
イチゴやメロンのデザート、ご飯、味噌汁もつく
食いきれなかった

 郡上味噌を使った獅子鍋。
なぜかフグの刺身(テッサ)まで付いてきた。勝手に宣伝しちゃいますが、吉田川沿いの旅館『みはらや』、かなり良かったです。
建物綺麗、景色良し、風呂もまぁまぁ、料理も多く(しかも地元の料理)一人1万円で、休前日料金なし。
もし行くなら、料理と料金は確認してください(季節によって変動)



そして郡上八幡の夜は更けていった・・・(なぜかピンク色)




翌朝、昨日のライズを見に行くが、影も形も無い。

かなりご年配の方が話しかけてくる。

『釣れるか?』

『全然ダメですよ。竿さえほとんど出してません。川を見てるだけです』

『はっはっは!そうか。魚ってのはな、もっと流れのある場所を狙わないとダメだ。川が曲がってる所とかな。岩の近くもいいぞ』

『へー。そうなんですか。』

10分程、釣りのコツを語りだす。耳が遠いのか、こちらが話しかけても、完全に無視するかのように持論を展開している。

『今の時期・・・・・餌は○○が・・・・・。・・・もう少し上の○○って支流が・・・』

『はー、なるほど』








『まぁ、ワシは釣りはやらねーけどな』








やらねーのかよ!Σ(゜□゜)!


郡上地区は諦めて、長良川中央魚協管内へ移動。目指すは旧美濃橋(赤つり橋)

11時の段階で気温は御覧のとおり。下に行けば気温も少しは上がるかなぁ、なんて甘い考えで車を走らせる。

到着すると、毎年安定したライズのあるポイントは、イス持参の方々がライズを待っている。見ているとすっかりくつろいでしまっている。

右の写真の黒い点は全てライズ待ちの方々。車の中で待機している人もかなりいる様子。
痺れを切らしてフライを投げている人が2名いたが、間違いなくビギナーです。
ライズしていない状態で水面を叩いてしまうと、今から起こるかもしれないライズを自ら沈黙させてしまう。
ウェットフライを引っ張ってるとしたら、ちょっと周りに気が利かない人ですね。

どんな釣り方でも、遊漁券買ってたら文句を言われる筋合いはありませんが、解禁日、長良川、そして上の写真のような場所だったら、皆ミッジングを楽しみたいわけです。

釣りたい気持ちは分かりますが、もうちょっと周りを見て欲しい。例え喫煙席でも、近くに赤ん坊を連れた家族が座ったらタバコを消す。
周りが全員ライズを待っている時はフライをキャストしないってのは、そんな心配りみたいなもんです。




2日かけて釣りに行ったけど、実際にフライをキャストしたのは30投ぐらいでした。
釣れなかったのは正直悔しかったけど、やっぱり来年も来ようと思ってしまう。そんな魅力が不思議とある。



なぜなら、2月1日の解禁日はお祭りだからだ。



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