River Peak フライライン
久々のおすすめツールの紹介です。
「にしきたトレーディング」から販売されている、RiverPeakのフライラインです。(ちなみに、「にしきたトレーディング」はショップ名、RiverPeakがメーカー名とのことです)
フライラインのレビューを、禁漁後に堂々と行うあたり、毎度のことながら全く空気が読めないサイトですが、きっちり2シーズン使い倒しましたので、細かい点までレポートさせていただきます。
昨今の釣り業界、ロッドでもルアーでも、新製品が発売されると、YouTubeその他ですぐレビューをされる方々が多い印象ですが、特にフライフィッシング関係のツール類は、「最低1シーズンは使ってみないと分からない」というのが管理人の従来からの主張です。
解禁当初の冬に近い環境と、真夏の高水温高気温の中での釣り、同じわけがありません。特にフライラインは温度の影響を受けやすく、劣化具合の観察などを考えると、出来れば2年ぐらい使わないと真価がわからないアイテムかもしれません。
さて、このラインを買った理由は、単純に安かったからです。安易な理由ですが、なぜか。
フライラインといえば、1本7000円、8000円が当たり前。安価なものであっても、5000円程度はするというのが私の認識でした。
これまでも、いくつかのメーカーから若干安いラインが発売されてはいましたが、私は頑なにScientific Anglersのライン(ULTRA4やらGPXやら。以下「SA」。)ばかり愛用していました。
ただし、私が渓流でメインに使用しているSAGE TXLロッドに関しては、SAGEのクワイエットダブルテーパーラインを使用していましたが、これは、使用しているTXLロッドに特化したデザインのラインだったためです。細く、DWFのような形状で、非常に使いやすい良いラインでした。
しかし、難点がありました。今回ラインを買った理由にも繋がりますが、TXLロッドは、とっくの昔に生産終了となっており、TXL専用ラインも2年後に「Ⅱ」が出た後、後継が出ることはありませんでした。
在庫品を買い占めることも考えましたが、製造から相当年数が経過しているのは明らかで、従来通り、SAのラインに買い換えようと思った時、ふと疑問が浮かびました。
フライラインの種類があまりに多すぎる
それはそれで素晴らしいことなのかもしれませんが、ここ十数年で、フライラインの種類は爆発的に増加し、釣りのスタイル・狙う魚種・中には●●Riverなど特定の川を想定したもの、さらに、プロのアングラーのシグネイチャーモデルなどなど、一体どれが”普通のライン”なのか全く分からない状況となっていました。実際に試すことが難しい以上、勘で買うしかありません。
しかも値段が高い。高すぎる。
前記でラインが一本8000円というのは、もはやはるか昔の話のようで、現在は1本1万円以上が当たり前、中には1万数千円のものも散見されます。SAの最高峰ラインは、現時点でアンプリチュードということになると思われますが、お値段なんと16400円(税別)。
これ・・・・冷静に考えたら訳のわからんレベルに達してません?
最先端の素材を使用し、最新テクノロジーが詰まっていると言われればそれまでですが、ぶっちゃけ、たかだか30mのヒモでっせ??
そして以前から、SAラインの頻繁な新製品投入に疑問を感じだしていたところ、おそらくは日本におけるフライラインの方向性を決められるであろう中核の方が、「フライラインの種類が増えているのは自分のせいですね」みたいな発言をどや顔でされていたのを見て、強烈な不信感を感じました。
今、日本におけるスタンダードのDTラインは、どれなのでしょうか。ただでさえ分かりづらい、敷居が高いと言われるフライフィッシングなのに、さらに市場が混乱する方向に誘導するって、何のメリットがあるのでしょうか。
確かに、大型フライ用とか、小渓流向けのジャパンスペシャルなど、何かに特化したものなら問題ないのですが、フライラインは、フライフィッシングの根幹であり、毎年コロコロとバリエーションが増えていかれると困ります。
仮に買ったとしても、2年後にはモデルが消滅して買えなくなっている可能性があります。 もしかすると、一度出荷したら、よほど人気がない限り、2ロット目の生産はしないか、名前変えてまた新製品として売りなおすというのが、今のフライフィッシング業界の方向性なのかもしれません。
どんどん買い換えてもらわないと困るというメーカーの意図も分からなくはありませんが、”普通”のフライラインは、あまりぶれずに、変わらず長年売ってほしいものです。
ついでに、一度だけドライティップテクノロジー(※DTT マイクロバルーンフォーミュラという要は素材に細かい空気の粒を含ませる技術)なる、先端が沈みにくいと謳ったSAのスープラ・Jストリームラインを試したことがありましたが、先端のあまりの太さ、水面への着水インパクトに「これの何がJストリーム??」と唖然とし、1回の使用でヤフオク行きとなった(意外と高く売れた(笑))経緯があり、以後、当方ではDTTは出禁扱いになっています。
ならば、ということで白羽の矢が立ったのが、変な飾りや、特殊技術の採用など、華々しいキャッチコピーはないものの、「リーズナブル」を強調した、今回紹介するリバーピークのラインです(前置きなげー!)
お値段なんと1740円(税別)!。これなら失敗してもあきらめがつく!早速ネットの購入ページでダブルテーパーの2番を選び、カラーを選択するのだが、ここで迷った。かなり迷った。
スプールは付いていない。紙箱に入ってるだけのエコ商品。昔は紙箱もなく、袋入りだったそう。
実はこのライン、「ハニー」というカラーが存在するのだ。蜂蜜の色ですかね。で、こいつが遠くから見たらシルクラインに見えるんじゃないのかなと。
2000円以下で、シルクラインっぽい雰囲気が味わえるなんて、なんかとてもお得じゃないですか。そして決めた色は・・・・!ポチッとな・・・グラスグリーン!(←オイ)
いやだってさ、遠くから見たらいい感じに見えそうだけども、近くで見たら輪ゴムの束に見えそうでしてね。断念しました。
買うまでの経緯で長々書いてきましたが使用感に移ります。これは文字で表すよりも、まずは動画で見て頂いたら早いのじゃないかなと思います。
同じようなカラーのラインですが、上の大内山川の釣りがSAGE、下の庄川の釣りで使ってるのがRiverPeakラインです。
RiverPeak ダブルテーパーライン
接続部は一回止め結びで、UVシーラーで接着
このラインが柔らかいと感じるのは、素材の性質以外に、テーパー部分が比較的長めなのもあるかと思います。
大きな川であれば、ソフトプレゼンテーションに繋がると思いますが、私のように藪沢で近距離をメインに狙う釣り方の場合、ややシャープさに欠けます。また、風にも弱い印象があります。
そこで、私は、ライン先端を40cmほどカットしました。これにより、ターンする強くなり、かなり自分好みのラインになりました。(良い子が真似しても責任は取りません)
浮力に関しては、可もなく不可もなく普通です。ドレッシングさえしっかりしていれば、困ることはまずないでしょう。
総じて、ラインを半分にカットしたとして、ワンシーズンであれば余裕で持ち、おそらくは2シーズン目も大丈夫(多分、3シーズンいけそう)。そうなると、わずか2000円で4シーズン使えるわけですので、ラインにかけられるお金は、ワンシーズンあたり500円になります。
高価なラインをボロボロになるまで3年間使うのも、それもまた良いのかもしれませんが、私は1~2年でどんどん新品に交換していった方が、ストレスのない釣りができるのではないかと思います。
また、安価なDTライン以外に、スペイラインやシューティングヘッドの品揃えがあるのが凄い。私の管轄外のラインなので詳細は語れませんが、根がかりするとライン全部をロストすることもあるそうなので、私なら絶対安いライン使います。
感覚的に、2週間に1回のペースで、1シーズンは余裕。3シーズン目も特に問題なく使えます。しかし、それなりには傷んでくるので、2シーズンで交換するのが吉だと思います。
結論として、素晴らしいフライラインを制作しているメーカーです。
基本コンセプトはそのままで、末永く取り扱ってくれることを祈ります。コロナの影響で釣り人口が増えている中、頑張って頂きたい。新たな日本のフライラインのスタンダード足り得る存在でしょう。打倒ティムコ!(笑)
ところで、ここまで書いてあることを思い出しました。
当サイトは、2024年時点で、なんと開設22年(えぇっ! ←自分でビックリしている)とあいなりましたが、初期のころ、「当社のフライラインを使ってみてくれませんか」みたいなメールを頂いたことを、ふと思い出した。
”フライライン”で検索すると、見つかったのは2013年5月23日。差出人名「にしきたトレーディング」!
な・なんだってーーー!!!!???
しまった!当時、余裕でスルーしていた!
は?安いフライライン?にしなんとかトレーディング製??SA以外はフライラインにあらず。捨ておけ、汚らわしい。みたいな感じで。(←何様?)
これは、初期の頃、カリフォルニアとかチリのワインを馬鹿にしたワイン通と同じ発想。映画のタイトルだけで、本の表紙だけで中身を判断するに等しい。
このとき、「にしきたのフライラインまじはんぱねー」とかレビューしてたら、売り上げの1%とかもらえてたかも!(←もらえません)
当時からこのクオリティだったかは知らんが。
ガスガスガス(壁に頭を打ち付ける音)
バカ!俺のバカ!なんという先見の明のなさ!今さらながら失礼をお詫びしたい。
その後、RiverPeakさんは着々と実績を積み上げ、良質かつリーズナブルなフライラインを世に送り出すメーカーとして、一定の地位を築き上げたようです。
しかも、ライン以外に入門用のロッドセットやアクセサリー、ハンドメイド用のパーツなど多数品揃え。今後、注目していきたいメーカーですな。
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