2015年2月11日 三重県
安濃川発眼卵放流
ボックス回収
解禁を2週間後に控えた2月半ば、発眼卵放流のボックス回収と残っている稚魚を放流するため、安濃川へ向かった。
発眼卵放流も早10回目。初期の頃は、大雨でボックスが流されることを危惧し、12月とか1月のヨークサックがまだ残っているような状態で放流していたが、今思えばあれは完全な失敗だった。
経験上というより、考えてみれば当たり前の事だが、野生の稚魚は3月になって水が温かくなり、餌(虫)が多くなってくる頃に産卵床から抜け出し、流れに泳ぎだす。
まだ遊泳力が弱い状態で流れに出れば、餌も取れないだろうし体力も消耗する。3月の解禁ギリギリぐらいまでボックス内に残しておいた方が間違いなく魚にとって良いはず。
ここ数年、どんどん回収する時期を遅らせているが、今回、少し早めに回収に向かったのは別の理由があった。
一見、何の変哲もない流れだが、2週間に1回ペースで川とボックスの状況を確認していたところ、突然土砂が堆積し始めたのである。
このような土砂堆積による卵の窒息死を回避するための方法が、カゴでボックスを底上げする方法なのだが(オリジナルのバイバード・ボックスは川底に埋める)、それでも数センチ単位で土砂が堆積してきている。
大雨も降って無いので、どこかで崖崩れがあって土が削られているのかと考え、ボックス回収を早めることにした。
また、1週間前の下見では、結構な数の稚魚が既にボックスを脱出し、カゴの周囲を泳いでいるのが確認できたこともある。今年の冬は予想外に暖かく、稚魚の成長が早かったようだ。
ボックスの状況はこんな感じ。やや死卵が多いが、9割5分以上の卵は孵化した模様。
ヨークサックは完全に吸収され、体つきはかなり細長い感じ。既にパーマークも出ている。
稚魚と同じような大きさの侵入者。チラカゲロウのニンフか?小さいころにボックスに侵入して成長し、出られなくなったのか?
ボックス内に残っていた稚魚を放流して今回の発眼卵放流も無事終了。
懸命に泳ぐ稚魚を見ていると、生き物の逞しさを感じずにはいられない。だって、こんな小魚が雪が舞う真冬の寒さを耐え、大雨に流されず、夏の高水温を生き延び、鳥や大型魚、そして釣り人からの猛攻を掻い潜って成長し、産卵するんだぜ?
いくら養殖場出身とはいえ、アマゴって魚は強いもんだ。
ボックス回収後、少し上流へ歩いていくと、土砂堆積の理由はすぐにわかった。
流された林道の修復のため、川の中に重機が入った模様。
人間の生活と安全のためとはいえ、アマゴ達にとっては厳しい現実。
なるべく早く工事が終わる事を祈るしかない。