アマゴ発眼卵放流記
2006年1月3日・15日 三重県 安濃川


3ヶ月にわたってお伝えしてきた発眼卵放流記も、いよいよ最終です。

まずは孵化率から発表。

全部で6個のボックスの内、確認された死卵は17粒。5000粒のうち99.6%以上が無事に孵化しました。最も多かったボックスで4個。他は0〜3個でしたのでかなりの好成績でした。

これはバイバード・ボックスの完成度や設置場所以上に、養魚業者の検卵の精度が非常に高かったためかと思われます。発眼卵放流で最も神経を使うであろう作業ですので、発眼卵を仕入れた業者が偶然良かっただけですな。


しかし、次回に課題も残りました。

ボックス上段から下段へのスルーはほぼ成功しましたが、下段から外(川)へのスルーが不調。
虫カゴ改良型ボックスはかなり早い時期にスルーしましたが、このボックスは観察用兼実験用のボックスで、大き目の脱出穴(4mm)を複数開けたこと、豆腐保存容器型ボックスより水の透過性が良く、ボックス内の水流が早いため早くにヨークサックの栄養分を消費した(要するに稚魚の運動量が多かった)事、虫カゴの網目が縦になってたので、腹がつかえる事無く通り抜けられたなど、様々な要因が考えられます。

6個のボックスは、川へ泳ぎ出す脱出用の穴の大きさ、位置、数を全て変えていましたが、上記のとおり孵化率は高かったものの、穴に引っ掛かってしまい夢半ばで絶命した稚魚がいたことは残念でした。

上の写真の稚魚は生きてましたが、このように脱出穴に頭を突っ込んだ状態で全部で15匹ほどが真っ白になってご臨終となっていました。

最も死亡稚魚が多かったのは、脱出用の穴をボックスの四隅にだけ配置し、穴の大きさを3mmにしたボックス。当初の予定では十分に成長してから緩やかに脱出していくだろうと思っていましたが、4つの穴全てに稚魚が引っ掛かり、へい死した稚魚の水カビが伝染したのか、さらにその周囲で2〜3匹が死んでいました。

12月28日のレポートで

こうなってしまった稚魚は確認していましたが、まさかこんな惨事になるとは。管理人の知識と技術力、配慮が足りなかったために可哀想な事をしてしまいました。

稚魚の体の構造上、上記の汚い絵のように、どうしても腹がつっかえる事が多いようです。虫カゴ型ボックスは縦にスリットが入ってるので、脱出用の穴以外からもスルーしていくことが可能だったのでしょう。

いっその事、脱出用の穴は開けずに2ヵ月後ぐらいに人間の手で解き放ってやる方がいいのかもしれません。

今回もボックス内には多数稚魚が残っていましたが、死魚が穴につかえる状況はボックスを改造するしかなく、少し早い気はしましたが全てのボックスのフタを開けて放流してきました。

今回の放流ではバイバード・ボックスの保護用にカゴを使いましたが、カゴに詰め込んだ石とその周囲に身を隠している稚魚が多数確認できましたので、カゴと石はそのままにしてきました。放流も石の隙間に流し込むような感じで行い、しばらくはこの石の家が稚魚を守ってくれることでしょう。

カゴは2月にキッチリ回収しますので、ご心配なく(つーか、次回も使う)。

今回の発眼卵放流で無事に安濃川に解き放たれたアマゴは約4950匹。掛かった費用は2万円程度。
次は道具を買い足す必要がありませんので、1万円と少しで同数の放流が可能となります。

後日公開するバイバード・ボックスの作成方法で、今回使用した虫カゴ型ボックスなら1個150円程度で作成可能です(豆腐保存容器型は、ルーターと数種類の刃が必要で、作成にも時間がかかる)ので、漁協の許可が取れるのなら個人でも十分放流に参加することができます。


2年後、釣りの対象となるサイズまで成長するのはせいぜい5%程度でしょうが、発眼卵の放流は「釣るため」以外に沢山の事を考えるきっかけを与えてくれます。

不要なダムや砂防堰堤は勿論、不法投棄や荒廃した山林から流れ出す土砂、そもそも何故これほどアマゴが少なくなったのか・・・。
人間がこんな事をしなくても、100年前は普通にアマゴの稚魚がこの川を泳いでいたはずです。
いつからこうなったのか、どうしてこうなったのか。



発眼卵放流をしなくても良い日が来ることを願い、出来る範囲で地元のアマゴを残す努力をしていきたいと思います。


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