アマゴ発眼卵放流記
2005年12月28日 三重県 安濃川
〜その3〜
28日、仕事納めでいつもより早く仕事が終わったので、その足で安濃川へボックス観察に行ってきました。
目的は2つ。前回かなりの稚魚が抜け出していた虫カゴ改良型ボックスの回収と、ペットボトルで過保護に育った稚魚の放流である。
ヨークサックも小さくなり、薄っすらと模様も出てきた
しかし、ご存知のとおりクリスマス前後に大雪が降ったため、現場に到着出来るかどうかが最大の問題。
不安を胸に安濃ダム上流へと車を走らせる。ちなみに、タイヤは1年間使ったノーマルタイヤです。
不安的中
車校で初めて車を運転する人のように、前傾姿勢でハンドルを握り締めて運転。なんとか放流ポイントに到着した。川原には雪が結構残っていて、チラホラと雪も降っている。
わかってた事だが寒い。
ウェーダーブーツをはいてゴム手袋を装着し、川に入る。石をどかせるために水に手を入れ・・
ぎーーえーーーえーぇぇぇ。
手が取れそう。よくこんな冷たいところでアマゴ達は生活できるな・・・・。
覗き窓から中を確認するが、ほとんど蛻の殻。1匹だけ稚魚が上段に残っていた。下段はネットでよく見えないが、数匹程度残っているように見える。
・・・このボックスは開けて回収するか・・。
そもそも、このボックスは卵の成長過程を確認するためのもので、孵化した稚魚がある程度大きくなったら速やかにボックスから出られるよう、穴の大きさを少し大きくしている。
他のボックスの脱出用の穴は、3〜3.4mmの穴が順に開けてある(上に行くほど大きくなる)が、このボックスは全て4mm穴。初めての発眼卵放流ゆえ、ボックスをイタズラされたり、渇水で卵が死滅したりする可能性が否定できないので、少しでも早く川に泳ぎ出すための処置だ。
そういう意味では、予定より早く稚魚がボックスをスルーしてしまったが、このボックスは大成功であったと言える。
カッターナイフを取り出し、封印(←ナイロンバンドだろ)を解いていく。
卍 解!(笑)
死卵の数3個!(開けたら1個流れていった)孵化率99.5%以上の好成績をたたき出した。バイバート・ボックスによる発眼卵の孵化は、90〜95%が成功するようだが、それでも好成績。
ボックスを見ると・・
予想以上に稚魚が残っていました。
その数およそ40匹。他の800匹ぐらいは、もう石の下に隠れたのだろうか。それとも、・・天国?(汗)
ビックリした様子で右往左往する稚魚たち。頭を隙間に突っ込んで、凄い勢いで出ようともがいている。
見ていると
「ヌオォーーーー!」って声が聞こえてきそうだ。いや、ちょっとイメージが違うな。
ぬおーー!
ぬおーー!
ぬおーー!
こんな感じ。可愛い奴らめ。
しかし次の瞬間、我が目を疑う現象が起こった。
隙間に頭を突っ込んでいた稚魚の1匹が、テュリンって感じで、穴じゃなくて虫カゴ本体のスリットから出て行った。
並んで奮闘中
で、あれれれれ?と思ってる間にまた1匹脱出。
虫カゴのスリット幅は約2.5mm。出られるはずがないのだが、もしかすると縦に長い穴の場合はお腹がつっかえない分、出れてしまうのかもしれない。
そうだとすると、前回孵化直後に多くの稚魚が姿を消した事も納得できる。
「次に虫カゴで作る時は、横にスリットが入ったカゴにしようかな」と独り言。ある意味いい勉強になった。
その後、残っていた稚魚を放流。なるべく流れがゆるくて小石が多い場所に放った。ゆっくり沈んでいった稚魚は、時々ピピピッと泳ぎながら、石の隙間に身を隠して見えなくなった。
2年後の春まで元気でな!
さて、虫カゴ型ボックスは当初の目標をほぼ達成した。中身の見れない豆腐保存容器型ボックスはどうだろうか・・・。
やはり気になる。
なんか薄茶色に汚れたボックス。黒っぽいものが底に溜まってる感じだが、はたして稚魚かシルトか藻が生えたのか。このボックスは開けても簡単に閉めることが出来るので、中を確認することにした。
すげーーーー!!これが全部尺アマゴになってくれたら、どれ程素晴らしいだろうか。
ちなみに、上段にあった死卵は1個。奇形っぽいのが1匹。このボックスも孵化率99.8%レベルの好結果。卵から孵った稚魚は計算どおりに下段に落ち、外にスルーすることなく溜まっていた。
1時間かけて作った甲斐があった(感涙)。
ペットボトルで飼われていた稚魚と違い、さすが自然の世界で生きている稚魚は違う。こんな体形でも流れに逆らい、懸命に泳いでいる。
この感じだと、ボックスから外に出れるようになるのはあと2週間ぐらい先だと思う。それまで元気に成長して欲しいものだ。
ふと、脱出用の穴を見ると、1匹の稚魚が頭を突っ込んでいる。
ボックスの外側から見ると、何とも可愛い格好になっていた。
腹がつかえて出れない。
チョコッと飛び出した小さな頭。よく見ると四隅の穴全部から4つ頭が出ていた(笑)。
このまま窒息死するんじゃ・・と、心配しながら見ているとピコッと引っ込む小さな頭。一応バックも出来るらしい。しかし、これを見て次からボックスを作る時は、底から5mmほど上に穴を開けるべきかと思った。
それと、穴をターボライターで溶かしてささくれ取っておいて良かった。プニプにした体をしてるので、脱出する時に怪我したら多分死んでしまうだろう。
一通り観察を終え、フタをしてもう一度石を組みなおす。虫カゴボックスから外に出たアマゴは、多分ボックス設置場所真下の岩(ボックスを設置する時に管理人が沈めておいた)の隙間にいる事だろう。
春になったら姿を見ることが出来るだろうか。
そして、最後になった我が家で育てた3匹とのお別れ会。
ここに到着してすぐ川に沈めておいたので、水温は同じになっているだろう。少しずつ川の水をペットボトルに入れ、水質の変化に慣れさす。
別れの時
今まで全く流れのない場所で育った3匹。せめて緩やかな場所に放してやるのが親心ってもんでしょう。
落ち葉の浮いたポイントの下に、そっと放す。
トップントップントップン(←オイ)
アマ太郎・アマ次郎・アマ三郎、元気でな〜。他の魚や鳥やヤゴに気をつけろよ。誰にも釣られるなよ(涙)。
俺だけには釣られろよ。(30cm以上に成長して)