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インターネットサービス全般編

ADSLの原状回復について教えてください

Question

賃貸のアパートに住んでいますが、今度ADSLを引く工事をします。

NTTの人が部屋まで来て工事をするということなんですが、どのような工事がされるのでしょうか?

また、退去時には元通りに戻す、原状回復の工事も必要になりますでしょうか??


Answer

icon ADSLには電話線を使う

 ADSLで立会い工事があるということは、固定電話は引いていない状態で、ADSL専用回線(ADSLタイプ2とも呼ばれます)を申込まれたのではないかと思います。

 ADSLは電話回線を利用して、インターネットに接続をするサービスです。そのため、お住まいのお部屋に電話線が通っている必要があります。

 固定電話を使っていれば、それは既に電話線が開通している状態ですので、ADSLは共用タイプ(タイプ1とも呼ばれます)での申込みとなり、ご自宅に伺っての立会い工事はありません。

 ところが、固定電話を引いていない場合は、NTT(または下請け業者)がご自宅まで行き、立会い工事が必要となります。ただし、工事の内容は借りたお部屋の状況によって異なります。



icon 電話回線が通っているケース

 まず、既にお部屋まで電話線がきていて、モジュラージャック(電話線を挿し込む口)もある場合は、工事は、きちんとADSL信号を受信できるかどうかの確認だけとなり、ものの5〜10分程度で済みます。工事費用も基本料金の2,310円で済みます。



icon ワンポイント:MDFについて

 なお、このときにMDFの話が出ることがありますが、MDFとは、主配線盤とも呼ばれ、集合住宅やオフィスビルなど複数の電話線が必要となる建物に取り付けられる、配線をまとめたり管理したりする設備のことで、通常はエレベーターホールなど、建物の共用部分に設置されています。

 電話やADSLタイプ2の申込みを受け、開通工事に来た業者さんは、まずMDF盤のところで、申込みのあったお部屋に信号が流れるように、線をつなぐ作業をします(既につながっていて、その確認だけのこともありますが)。

 MDF盤は、いたずらや盗聴を防止するうえで、施錠しておくのが望ましいのですが、建物によっては常に開錠されていることが多いです。また、NTTなど、その建物の回線工事をする業者が鍵を持っていることもあるので、通常は入居者様が意識することはないのですが、中には家主や管理業者がしっかり施錠し、鍵を管理している物件もあるため、当日、MDF盤が開かずに工事ができなかったということも稀にあります。

 そのため、工事立会いの打ち合わせ時に、NTTなどから「MDF盤の鍵の所在を確認しておいてください」等の案内があった場合には、事前に家主様などに問い合わせておいたほうがよいでしょう。

(こうしたインターネットの工事や、MDFなどについては、疎い家主様や管理会社の担当者さんも多いので、話をうまく理解してもらえず、説明に苦労することも間々あるのですが・・・。)



icon 電話回線が通っていないケース

 次に、お部屋まで電話線がきていなかったり、モジュラージャック(電話線を挿し込む口)が設置されていない場合は、それらを取り付ける工事に30〜60分程度の時間を要します。また、工事費用も1〜2万円程度かかる可能性があります。



icon ワンポイント:電話回線開通工事の費用について

 特に新築物件では、電話回線が未配線なことが多いので注意が必要です。通常、賃貸物件は入居者様が電話を使うことを前提に、電柱から電話線をMDFに引き込み、それを各部屋に通せるように配管までは用意しておくのですが、MDFから各部屋までの線は、電話やADSLの申込みがないとNTTでは工事しないため、物件のオーナー様ではどうにもなりません。

 そのため、新築物件などに入居して、その部屋で1番はじめに電話またはADSLを引くというときには、手間と費用が多く発生してしまいます。

 このときの費用は、交渉次第で家主様にもってもらったり、折半という形にできる場合もありますが、通常は入居者様の負担となります。

 ちなみに、MDFから各部屋までの回線は、電話またはADSL契約者の所有物扱いになるため、入居者様が費用を負担するというのも当然と言えば当然のことなのですが、納得できなーい、という方も多いようで・・・。

 もう一つちなみに、前に入居した人が誰か電話を引いていた場合は、電話やADSLの開通工事費が安くて済むのですが、それは、最初に電話を引いた誰かが残置していった回線を、そのまま使わせてもらっているため、と言えるわけなのです。

 残置物とは、以前の入居者が退去の際に、部屋に置きっぱなしにしてしまった私物のことです。正式な部屋の設備としてではなく、便利なので使えるのならばそのまま使ってくださいといった形で、家主様なども容認していることがあります。

 壁の中の電話線は、いくら自分が引いた所有物だとは言っても、まったくそんな意識はなく、もちろん回線の撤去などはおこなわずに退去される方が、ほぼ100%と思って間違いありません。

 MDFから各部屋までの電話回線は、入居者も家主様も無意識のまま残地物となり、そのまま半永久的にその部屋で使用され続けるものなのです。



icon ADSLの原状回復について

 そして最後に、ADSLの現状回復についてですが、このように、ADSLタイプ2の工事でも、内容としては電話を引く工事と同じことをしています。電話に関しては、賃貸物件でも入居者様が利用することは当然という前提があり、電話を開通させる際にもNTTの立会い工事が必要となりますが、退去時に特に回線を撤去したりするといった原状回復の義務はありません。よって、ADSLタイプ2の工事でも、原状回復は不要です。

 ただし、特殊な賃貸物件では、電話を引くことも禁止、または事前に家主や管理会社に連絡を入れなくてはならないといったものも中にはあります。その場合は、原状回復を考えるよりも先に、現在の契約内容を確認のうえ、必要な連絡や申請をおこなう必要があります。原状回復については、その際に一緒に確認しておくのが間違いないでしょう。