仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事
スーパーヒーロー大戦Z

□冒頭

 遊園地のコーヒーカップがいきなり車道に瞬間移動されるとか一歩間違えたら大惨事です。コーヒーカップに乗っていたカップルは怖かったでしょうなぁ。

□一条寺烈

 ギャバン本編を見た事が無いのですが、烈はこんな頭の高い典型的な堅物の上層部みたいな性格なのでしょうか? もしも違ったらギャバンを知る人間から拒否反応が出そうですね。

□操真晴人/仮面ライダーウィザード

 最初に十文字撃に狙われたのを皮切りに現役作品らしくメインとして扱われています。マドーが幻夢界を展開するのを見越してその瞬間を狙ってドラゴンを召喚する頭脳派らしい作戦も見せました。ただその為に中盤からぷっつりと姿を消して出番が無かったのが物足りないです。
 戦闘ではスタイルチェンジを使いこなしており、状況に応じたハリケーンスタイル、ハリケーンドラゴンスタイル、ウォータースタイル、ウォータードラゴンスタイルの使い分けが好印象です。しかし何故かランドスタイルだけが全く登場しないのですよね。どうせならランドスタイルも出して欲しかったです。

□十文字撃/宇宙刑事ギャバン

 命令違反にはもやもやとしたものがありますが、宇宙の平和を守る宇宙刑事と、地球に生まれた一人の地球人と、その狭間で揺れ動く様は良かったです。
 何度か蒸着しますが一度たりともあの有名な蒸着プロセスの解説が無かったのは不満です。あれも含めてこそのギャバンではないでしょうか。

□宇佐美ヨーコ/イエローバスター

 ウィザード、ギャバンに対して戦隊シリーズを代表して主役になったのが、まさかのイエローバスターでした。サイコロンとのドラマは凡庸ですが、ちょいちょいウサダの存在が軽視されがちだったのが気になります。

□サイコロン

 魔王サイコの頭脳の一部で、善良な心に目覚めて逃げ出します。ヨーコと出会い追われながら逃げ続けるのですが、戦闘になった際は仲間からもがんがん蹴られていました。意外と頑丈なのですね。

□伊狩鎧/ゴーカイシルバー

 ヒーローに詳しく顔を見ただけで誰か理解る鎧はこの手の映画ではとても便利ですよねぇ。ただ撃に迫る場面など、単に便利と言うだけに留まらずちゃんと個人として魅力があります。ゴーカイジャーとして戦った経験から地球を守った宇宙人の存在を強調したり、「それが海賊ってもんですよ」と言ったりゴーカイジャーを踏まえた上で昇華されているのが好印象です。キョーダインが破壊された後の静かな怒りを含んだ「・・・ゴーカイチェンジ」が格好良かったのですが、その後で何の見せ場も無かったのは残念でした。

□「それは良いけど、チョコバーの包み紙みたいな奴が来るぞ」

 この台詞の後にシャリバンが登場した場面で劇場に一番笑いが起こりました。シャリバンのボディをチョコバーの包み紙に例えたのが受けたみたいです。でもミオさんは笑えず取り残された感じで少し寂しかったです。

□日向快/宇宙刑事シャリバン

 撃が命令を破るので、それに対して飽く迄も命令を遵守する魅力的な人物でした。冷血漢と言う訳ではなく地球を守りたい意志はありながら、宇宙刑事として命令違反する訳にはいかない、だから烈を説得して惑星破壊砲の発射を遅らせると言う正攻法を選んだのが良かったです。例え個人個人がそれを正義と信じて行動したとしても、各各が勝手に動いては組織が成立しませんし組織である意味がありませんからね。元元ギャバンよりシャリバンの方が好きだったので新生シャリバンが格好良くて嬉しかったです。
 ところで名前の読みは『かい』だったのですね。撃が『がい』と呼んでいる様に聞こえて、鎧と紛らわしいなぁ、と思いました。

□「マドーの恐ろしさはこのシャリバンが一番よく知っている」

 快が撃に言い放った言葉ですが、マドーの恐ろしさを知っているのはこのシャリバンではなくあのシャリバンだと思います。あーたは戦っていないでしょう?

□サソリ男

 逃げるヨーコの前に急にサソリ男が顔を出した場面は本気で驚愕して、びくっとしてしまいました。あー、驚いた。声を上げなかったのがせめてもの救いです。

□スペースショッカー

 イカデビルと蜘蛛男がスペースイカデビルとスペース蜘蛛男として新しいデザインになりました。格好良いのですがもう完全に別人で、これがイカデビルや蜘蛛男である必要性があるのか疑問です。ただスペースショッカーを象徴するのにこれがショッカーの幹部にする必要がありますね。

□シャドームーン

 もうすっかりお馴染みのシャドームーン、今回はキョウリュウジャーと戦って敗れました。サタンサーベルを奪われてやられる辺りが、シャドームーン本体よりサタンサーベルが強いと言うオリジナルの雰囲気が出ていますね。

□花織ことは

 本人が名乗るまで誰か理解りませんでしたわ。ギャバンに対するシェリーに相当する、シャリバンの仲間なのかと思いました。

□獣ヒーロー

 ビーストの救援に超獣戦隊ライブマン、星獣戦隊ギンガマン、獣拳戦隊ゲキレンジャー、仮面ライダーアマゾン、仮面ライダー響鬼が駆け付けました。これを見た瞬間は「あぁ、良いなぁ、ターボレンジャーもこういう扱いで出して欲しいなぁ」と思ったのですが、その後の戦闘は戦闘員と同じ扱いで別に羨ましくなくなりました。せめて必殺技くらいは出させて欲しかったです。

□宇宙ヒーロー

 ギャバンの窮地に超新星フラッシュマン、特捜戦隊デカレンジャー、仮面ライダースーパー1、仮面ライダーディケイド、仮面ライダーフォーゼ、仮面ライダーメテオが参上しました。宇宙繋がりなのでしょうがその中でディケイドが異質です。こういう映画でキーマンと成り得る能力を有するディケイドは、こんな扱いなら出さないで欲しかったですなぁ。パンフレットでメテオの声はゴーカイシルバー役の方が演じられていると知って驚きました。台詞が少なかったからと言うのもありますが本人にそっくりですね。

□メタルヒーロー

 ジライヤ、ジバン、ドラフトレッダー、ジャンパーソン、ブルービート、ビーファイターカブトが登場すると思ったら、ゴーカイジャーがメタルヒーローキーで変身するだけでした。しかも変身して直ぐにゴーカイメタルガレオンバスターを撃って終わりです。仮に本物が登場したとしても満足のいく扱いにはならなかったでしょうが、ゴーカイジャーが変身した偽者と言うのは本当に落胆させられました。

□宇宙鉄人キョーダイン

 ギャバンに助けられた為にその借りを一度は返し、そして自分達の手で斃す事に拘泥するも、裏切り者として始末されてしまう。ドラマがあって実に良かったです。出番の長さは雲泥の差ですが、フォーゼの劇場版に初登場した時より格段に良い扱いだと思いました。

□サナギマン/イナズマン

 「サナギマンは耐える」のナレーションがあって嬉しかったです。教え子が助けに来たのにフォーゼの反応が妙に淡白に思えたのですが、この時点のフォーゼは未だイナズマンと出会う前でしたな。

□アカレンジャー

 関さんが演じるアカレンジャーですが第一声の「トイヤッ!」は良かったのですが、全体的には少し声が軽く感じられますなぁ。アカレンジャーの声はもっと重みのある渋い声の方が良いです。アマゾンはそんなに悪くありませんしイカデビルは最早オリジナルとは完全な別物と割り切っていますが、アカは重要な立場なので慣れません。

□デンジレッド、レッドホーク、ハリケンレッド

 アカレンジャーが率いるヒーローの中に姿が確認出来ます。この人選がどんな基準なのか疑問もありますが、全く活躍せずこれでは何の為に出したのか理解に苦しみます。それに戦隊はレッドだけ出せば良いと言うものではないでしょう。

□「これが仮面ライダーの底力だ!」

 オーズはそんなこと言わない! オーズはもっとパンツの事ばかり言っているくらいが丁度良いです。それに何より声が本物とは似ても似つきませんでした。

□ビート・J・スタッグ

 唐突に登場した樹液に笑わされました。ビーストとキョウリュウゴールドが散散被ると言っていたのはこの前振りだったのですね。まさに積み重ねた芸風が花咲いた感じで最高でした。慾を言えばそのままさらっと混ざって敵に止めを刺して欲しかったです。

□最終必殺技

 電子星獣ドル、グランドバース、バビロスの合体技に、超巨大なウィザードラゴンとキョウリュウジンが合体して放つ『獣電ブレイブストライクエンド』の連携で魔王サイコを斃すのはこの映画を締め括るに相応しい見事な技だったと思います。

□人造人間キカイダー

 本編の終了直後にチラッと映りましたが、まさかキカイダーをリメイクするのでしょうか。過去のヒーローを次から次へとリメイクされても嬉しくありませんなぁ。それにキカイダーは『人造人間ハカイダー』のミカエルがオマージュになっているのでそれだけで充分です。

□総評

 前作が前作でしたから期待はしていませんでしたが、前作に比べればずっとまともに見られる映画になっていました。ただスーパーヒーロー大戦と言うにはタイトル負けしています。これが『ウィザード×イエローバスター×ギャバン スーパーヒーロー小競り合い』とかそんな感じのタイトルであれば文句はありません。スーパーヒーロー大戦と言われるとどうしても全てのヒーローが結集し、しかもその全員にある程度の活躍が与えられる、そんな限り無く実現が難しい最高の内容を期待してしまうのです。本作はタイトルを無視すれば及第点です。

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(13.04.28)