仮面ライダー×スーパー戦隊
スーパーヒーロー大戦

□大ショッカー大首領門矢士/仮面ライダーディケイド

 この人は首領が似合いますな。久し振りの登場に嬉しくなります。実は思惑があって大ショッカーに潜り込んでいたのですが、芝居でも何でも無く本当に大首領でも違和感はありませんよ。

□大ザンギャック帝国

 マーベラスを大帝王に担ぎ、錚錚たる顔触れが揃っています。それだけにこれだけの大物連中がマーベラスに従っている姿は嫌な悪夢のようでした。ライダーの怪人ならもう慣れましたが、戦隊は初めてですからなぁ。それとライダーは昭和作品からの出演もありますが、戦隊は近作に限っているのですね。尤も、こんな扱いでは登場しても嬉しかったかは微妙ですが(苦笑)。
 それにしてもこれまで多くの組織が登場しましたが、戦隊に乗っ取られてしまうなんてザンギャックが初めてでしょう。下手に滅ぼされるよりもずっと屈辱です。

□ワルズ・ギル

 父親のアクドス共共マーベラスの部下なのですが、嘗てのザンギャックを統べた存在が仇敵にこき使われる心境は如何程のものでしょうか。それを思うと泣けて来ますな。それにマーベラスからお調子者だからゴーカイジャーに敗北したといびられていますが、敗因はそれではなかったと思いますよ。少なくとも父親よりずっと熱心に頑張っていました。そんな父親がワルズを慰める為か、追っていく姿は本編から通しても唯一の親子らしい場面でした。
 本編では行わなかった巨大化までしたのですが、最後はゴーバスターオーに斃されるわけでもなくビッグマシンの合体に巻き込まれて圧死と言う実に後味の悪い結末でした。心から憎い敵なら爽快な気分にもなろうと言うものですが、ワルズ・ギルはそれほどでもないのでこんな死に方は酷いです。

□ライダーハンターシルバ

 バイオハンターからライダーハンターと名を変えていますが、とうとう人気のあるシルバの復活ですな。出番も多くて格好良かったのですが、「おのれ、バルジオンさえあれば・・・!」が無かったのが残念でした。今回の映画なら「おのれ、ビッグマシンさえあれば・・・!」とでも言って欲しかったです。また、折角レッドワンは本人が声を充てているのに、レッドワンがシルバを斃すとかそんな事は無いのですね。
 ところでシルバが悪の美学がどうのと言っていましたが、シルバはバイオ粒子を使うバイオマンとは敵対していたものの別に悪ではないと思いますが。

□海東大樹/仮面ライダーディエンド

 実に美味しい役回りでした。オーズが消され残された比奈を保護しますが、オールライダーでも夏蜜柑と一緒に居ましたしヒロインと二人で行動するのが様になってきましたね。そのまま途中まで戦隊側の主役と言えるジョーに対して、ライダー側の主役としてジョーの心を動かしたりと物語を動かすのですが、最後の最後でまさかのどんでん返しです。別に友情なんて抱いていないと嘯きながらも士に裏切られたから、同じ痛みを味わわせるとビッグマシンを始動しそれを乗り込みラスボスの座に立ちました。完全に士に対する想いが病んでいますね。それにしてもライダーと戦隊が総出演する映画のラスボスが、歴代作品のラスボスでも主人公でもなくサブライダーと言うのが凄い話です。

□「甘いね、甘すぎる。でも、嫌いじゃないよ」

 『甘ぇよ』『・・・が』『その甘さ』『嫌いじゃあねえぜ』

□オーナーの炒飯に乗るプリン

 映画館内で一番小さな子供達の笑いが起こったのがこの場面でした。因みに次点は鳴滝さんの「お前は何なんだ!」。

□過去のアカレンジャーと邂逅

 この映画で最も理解に苦しむ場面でした。マーベラスに真相はアカレンジャーが知っていると聞かされますが、既にアカレンジャーはディケイドに消されてしまっている為にゴレンジャーが黒十字団と戦っていた時代に遡ります。しかしその頃のアカレンジャーに聞いても何も知っているわけが無いでしょう。
 そして過去の時代でアカが野球仮面と戦っているのですが、声がオリジナルとは違います。ゴーカイジャーの映画では本人による野球仮面を出演させたのに、野球仮面をまたしかも今度は別人の声で出す必要があったのでしょうか。
 過去のアカを現代に連れて行きますが実はこのアカがゴーカイレッドがゴーカイチェンジした姿であり、生き残りの戦隊を集めるマーベラスの策略でした。
 もう何が何やらですよ。それならば過去へ戻る件が丸丸要らないではありませんか。単にアカの居場所を伝えて其処で待ち構えていれば良いだけの話です。

□「ライダー粒子反応、戦隊粒子反応、共にゼロ・・・」

 ハカセ・・・。

□スーパー戦隊大集結

 最後の戦いで時空の間から仮面ライダーとスーパー戦隊が駆けつけるのですが、多い! 多いですよ! ライダーはともかく、その後戦隊だけで何人も何人も次から次へと現れてその人数の多さを実感しました。そのまま全員で突撃する様は運動会か何かにしか見えません。

□「やめるんだ信彦!」

 大乱戦の中でブラックがシャドームーンに向けて放ったのですが、何故かこれが「やめるんですか!」に聞こえて笑いそうになりました。唐突な敬語に意味が分からず、ブラックサンがブラックさんと敬称を付けているみたいだと言うネタなのだろうかとか考え込んでしまいましたよ。そうか、全くそんな風には聞こえなかったのですが、こう言っていたのですか。ちゃんと信彦の名前を出してくれたのは嬉しかったですね。まぁ、映画を見ている時は理解らなかったのですが・・・。

□ビッグマシン

 クライス要塞とギガントホースが合体した最終兵器で、あろう事か大樹が合体を発動させました。ディケイドが唯一心から焦っていましたね。CGながら巨大感があったのですが、致命的な事に全く強いと思えませんでした。この程度の計画を発動させない為に士とマーベラスが共謀してあれだけ大掛かりな作戦を立てたのかと思うと微妙です。

□ロケットドリルゴーバスターオー

 この映画らしい特別な合体ですが、一人だけ降ろされたイエローバスターが可哀相でした。フォーゼを乗せる都合とは言え、もう少しやりようは無かったのでしょうか。それとゴーバスターオー単体の見せ場を作る為にも、やっぱりアクドス、ワルズ・ギル親子はゴーバスターオーに斃させて欲しかったですなぁ。

□「俺がこれまで友情を感じた事があったとしたら、それは一度だけ・・・」

 うひょおおお、最後の最後で興奮させる様な台詞を吐かないでください。この場面好きです。

□総評

 最初から期待していなかったのですが予想通り酷い映画でした(苦笑)。私の中で平成ライダー映画ワーストであるオールライダーと並びましたよ。最下層で。
 もう、とにかく話がぼろぼろです。悪の組織を一網打尽にする為に対立していると見せかけたと言う基本的な筋は良いとしても、もう少しまとも作りにして欲しかったですよ。敵を欺く為とは言えマーベラスはゴーカイジャーの仲間くらいには真実を話しても良いでしょうし、それが無いから前半はすっきりしない話が続きます。それと細かい事なのですが士がゴセイジャー討伐は自分抜きでやる様に指示していながら、実際には士も同行しているのですよね。全体的に面白くないとか作品設定の整合性が取れていないのはともかく、たった十数分の繋がりすらありませんか。お粗末です。
 例え話が酷くてもこの手の映画は勢いで押し切れればよしとする向きもありますが、本作にはその押し切れるだけの面白さがありません。仮面ライダー、戦隊が大集合して大ショッカー、大ザンギャックと激突と言うのが最大の見せ場なのでしょうが、人数が居るだけで全員に見せ場が用意されているわけでもなく中途半端で不完全燃焼で物足りないです。マスクマンとブラックが共闘しているのを見た時は、何らかの形で全員に少しずつでも活躍が用意されているのかと期待しましたがそんな事はありませんでした。印象に残ったのはそのマスクマンの他は、龍騎、ブレイド、ディケイドとカードを使うライダーの連携くらいでしょうか。ゴーカイジャーがオーズにゴーカイチェンジしましたが直ぐにガレオンバスターを使うので変身したのに碌に戦闘がありません。ターボレンジャーが好きなのでゴーカイレッドがニンジャレッドやレッドワンにゴーカイチェンジした時は、ターボレンジャーへのゴーカイチェンジ担当もレッドが良いなぁ、とか思っていましたがそれどころかゴーカイチェンジすらありませんでしたよ。
 まともに出番のあったゴーバスターズ、フォーゼ、オーズも中途半端でしたし果たして何が見所だったのでしょうか。もうオールライダーとかその手の映画は結構だと思いましたわ。人数が違うので単純な比較はナンセンスですが、プリキュアオールスターズDXシリーズがあんなに面白いのと比べると哀しくなりますな。まさにプリキュアオールスターズこそが戦隊やライダーのオールスター映画で見たい形そのものですよ。
 ムービー大戦メガマックスの二号は拘りがあってあのマスクの色でしたが、今回の二号は単にメガマックスでそうだったからそのまま流用したと言う風にしか見えませんなぁ。パンフレットで二号と一号の違いでマスクの色が挙げられていましたが、別にそれが違いと言うわけではないのですよ。

(12.4.21)

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