侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー
銀幕BANG!!

□冒頭

 ガンマンワールドでエンジンオーG12とバッチードが西部劇の決闘を行っていますが、あの鈍重な巨体でやられても不似合いです。

□ゴーオンレッド乱入

 シンケンジャーがウガッツと戦っているところへゴーオンレッドが乱入します。小生はゴーオンレッドが嫌いなので、その、辛かったです。

□害統領バッチード

 ゴーオンジャー最終回で名前のみ出た害統領が本作の敵として登場しました。こういうのは嬉しいですね。
 声を演じているのが戦隊シリーズでは聖獣ラキアで有名な銀河万丈なのですが、声を聞く度に宇宙かけのネルヴァルが思い浮かんでギャグに思えてしまいました(死)。

□ガイアーク三大臣

 三途の川に漂っていたのを外道衆が引き上げこの世に出でましたが、バッチードも何でこんなしょうもないのを生き返らせたのでしょうか。やる気の欠片も見せないこの三人は悪役失格です。態態生き返らせてまで映画に出す必要も無いでしょう。

□「黙れ!」

 屋敷の中で揉めている流さんと走輔をボンパーが一喝して黙らせた時に劇場で笑いが起きました。斯く言う私も最初はくすりと笑った程度だったのですが、劇場の笑いにつられてしまいましたよ。

□軍平と流さん

 この二人が極端に誇張された性格付けをされていたのが気になりました。結果的に笑えるのは構いませんが、漫画ではあるまいしもう少し落ち着いた描写にならないものでしょうか。

□シンケンレッドVSゴーオンレッド

 戦いながら周囲のナナシ連中やウガッツを盾にして仕留めていったので、戦うと見せかけて戦闘員を全滅させる戦法なのかと思いました。「・・・読めた!」と確信していたのに実際はまるで違いましたよ。

□戦闘

 この映画を見る動機となったのが戦闘に力が入っていると感じられた事でした。幾つかありますが中でも特に気に入っていたのが、高所からシンケンブルーが派手に飛び降りる場面です。しかしこれが本編ではある種のギャグとして処理されており、飛び降りた先にはクッションを持った黒子が待っている上に飛び降りた後に戦うわけでも無くそれで終わりなのです。これにどれほど落胆し幻滅したでしょうか。飛び降りてそのまま流れる様に戦闘に突入すると期待していたのに、飛び降りるだけと言う何の意味も無い行動です。勝手に期待しただけと言われればそれまでですがまさか飛び降りるだけで何もしないとは誰が想像で期待でしょうか。こういう風に戦闘に余計な描写を入れて茶化すのは本当に嫌ですなぁ。

□ゴセイジャー

 映画を見る前から理解っていたゴセイジャーの登場ですが、それでも尚、興奮しました。アクマロ、十臓、太夫が戦場に立った事に喜び、更にゴセイジャーの登場で喜ぶ二重に嬉しい場面です。唇のついたゴセイジャーのマスクデザインは素晴らしく格好良いですなぁ。それにしてもシンケンジャーが五人でかかっても歯が立たなかったアクマロを、たった一人で追い詰めるゴセイブルーの戦闘力は凄いですね。
 映画が公開された頃の本編では既に退場していたアクマロが見られた事自体も嬉しかったです。アクマロはやっぱり良い悪役だったと再認識しました。

□ホムラコギ

 ドウコクに命じられてバッチードに協力していたアヤカシです。巨大な車輪で走る様子から見るにモティーフは火車でしょう。
 バッチードと共に月に向かっている途中で捨て駒にされ、折神と炎神の一斉攻撃を受けて散りました。それを見たヒーローが仲間を見殺しにするなんてと激昂していましたが、元よりバッチードとホムラコギは目的が同じだから協力しているだけで信頼関係も無いのでそう騒ぐ事でもないでしょう。まぁ、だからと言って正義のヒーローがドライに返しても困りますが(笑)。

□月面決戦

 サムライハオーとエンジンオーG12の最強タッグに対してバッチードはバッチリウムプラントと合体して対抗しました。意外と言っては失礼ながらこれが存外に強く、サムライハオーとG12を寄せ付けません。その危機をイカテンクウバスターをシンケンオー、ダイカイオー、モウギュウダイオー、エンジンオーG9、キョウレツオーの五体で支えて撃つ『サムライフォーメーション23』で打開しました。
 サムライフォーメーション23は言わば戦隊ヒーローの必殺バズーカを巨大ロボで再現した様な形となりましてそれは興味深いのですし、敵がサムライハオーとG12の二体よりも強いと言うのは良いのですが、ではそれだけの魅力が凝縮された戦闘だったかと言うと首を捻らざるを得ません。バッチリウムプラント合体バッチードの攻撃は僅かな間だけ火砲を撃っただけですし、サムライフォーメーション23も迫力がありませんでした。もっと映像で魅せて頂きたかったです。

□総評

 主にアクション面で大きな大きな期待をしていたのですが、予告編以上のものは無い映画でした。辛うじて面白かったと言えますが期待の大きさと比べると不満足です。しかし内容の良し悪しはさて置いて、戦隊単品の映画でこれだけの長時間は稀少です。ある意味に於いてはその点のみに価値がありました。
 VSシリーズの存在を根底から覆しますが、二大戦隊の競演ではなく純粋に一つの戦隊でこれだけの上映時間を持った映画が見たいと思いました。或いはもう一つの戦隊が出るとしたら、本作に於けるゴセイジャーの様な扱いで丁度良いのではないでしょうか。

(10.02.16)

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