仮面ライダー龍騎
EPSODE FINAL

□冒頭

 龍騎、ナイト、ゾルダ、王蛇が大量のモンスターと戦っている。そこへ乱入するライダー、ファム。彼女は只管王蛇を付け狙った。
 見ていて、お前如きが王蛇様に挑むなど百年早いわ、と思っていたら期待通り、王蛇様はファムを圧倒していた。うむうむ、矢張りこれぐらいでないとね。

□神崎優衣

 最終回と銘打っているだけあって、かなりの謎が解き明かされていた。その一つが優衣であった。先ず優衣は、幼少時に一度死んでいた。しかしその際、ミラーワールドに居るもう一人の優衣に命を与えられていた。その際代わりに、優衣が書いた絵(=モンスター)を与えている。これが、モンスターである。しかしここで与えられた命は仮初のものであり、二十歳になると死んでしまう。士郎はその為にライダーを作った。だが、人の命で生きていく事を嫌悪した優衣は、最後、自ら命を絶つ道を択んだ(但しこれは小生独自の解釈であり、時が来て自然に死んだと見えないことも無い)。

□神崎士郎

 優衣の命を救う為、神崎士郎はライダーを作ったのであった。最後に勝ち残った者の望みを叶えると言うのは真っ赤な嘘であり、勝ち残った者の強靭な命を優衣に与えるつもりでいた。しかし、優衣が死んだ事により精神が崩壊(?)、そのまま消滅した。結局、士郎についてはあまり多くは語られずにいた。

□城戸真司/仮面ライダー龍騎

 優衣が命を落としてしまった原因、ひいては仮面ライダーが作られたのも真司が原因であったといえる。真司はそれだけ関わっていた。劇中、何度も偶然ライダーになった、と言われていたが、これを見る限り偶然ではなく必然、なるべくしてなったのかもしれない。
 ライダー同士の戦いには相変わらず否定的で、何度も止め様と奔走する。しかし最後は、蓮と戦う道を択ぶ事となる。
 まだテレビでは明かされていない、龍騎サバイブが登場したのが非常に興味深い。デザインはそれほど悪くは無いと個人的には思う。特に頭部のデザインは秀逸ではなかろうか。パンフに掲載されている写真はアングルが頗る悪く、頭部が肥大して見える。

□秋山蓮/仮面ライダーナイト

 もう一人の主役と言うべき蓮、彼の姿勢は変わらずであった。優衣からライダー同士の戦いの真相を聞かされても尚、1%の可能性に賭けると良い戦いを止めようとしない。最後に真司に、オレには強敵(と書いて友)ともが居なかった。欲しいとも思わなかった。しかし、お前は強敵(と書いて友)ともだ。と告げる。即ち、今まで弱い敵にしか出会わなかった。けれどもそのままでよかった。だけど、真司は強い、そう言いたいのであろうか。だが、それでも戦わなければいけないのである。二人は最後、互いに死ぬなと約束をし、激闘へと身を奉げて行く。
 戦闘シーンでは、ナイトが一番充実していたのではないだろうか。モンスターとの空中戦はかなりの物である。空中で見せるシャドーイリュージョン、ダークウィングとのコンビネーション攻撃に、宙から繰り出す飛翔斬。この一連の動作は、非常に格好良くいいものであった。

□北岡秀一/仮面ライダーゾルダ

 当初はライダーとして戦い続けるも、途中で戦う事の虚しさを覚える。そして、永遠の生命を手に入れるよりも、残りの人生を充実して生きようと心に誓うのであった。呆気無い脱落であったが、本人にとっては非常に満足の行く結果だったのだろうと思える。

□浅倉威/仮面ライダー王蛇

 今回王蛇は、霧島美穂の登場によりファムとの戦いがメインであった。実力では遥かに上を行き、あらゆる面で圧倒する。ジェノサイダーを呼び出す事により、とうとうドゥームズディを魅せるも、リュウガの邪魔が入りジェノサイダーは死んでしまう。その所為でブランク体へとなり、人間へと戻る。残った力でファムを殺そうとするも、最終的にはそのまま死んでしまうのであった。
 念願のドゥームズディの発動、これが非常に嬉しかった。技としては、王蛇がライダーキックで吹き飛ばし、それをジェノサイダーが吸収する様である。非常に決まる様を楽しみに待っていたのだが、リュウガの邪魔が入り完全には決まらず残念。あろうことか、リュウガの攻撃によりジェノサイダーは死亡し、王蛇も脱落する羽目となった。これを見た瞬間は衝撃の嵐である。何故リュウガは、王蛇を狙ったのだろうか。せめて先に、ファムを狙って欲しかった。かなり早い段階で王蛇が死亡した為、この調子でどんどん死んでいくのだろうなぁ、と思えた。それにしてもドゥームズディはかなりいい技である。また、人間の姿でもライダーの首を絞めるほどの力がある姿には感服する。

□霧島美穂/仮面ライダーファム

 浅倉に姉を殺されたため、浅倉に復讐し、手に入れた力で姉を生き返らせようとしていた。最終的には絶命。キャラとしては、この映画のみでは描ききれないと思う。非常に複雑なキャラであり、じっくりと描いていくのに充分なキャラであったと思う。
 ファム自体はそれほど好きではないが、ウィングスラッシャーはなかなか格好良い武器であると思う。また、ミスティースラッシャーも非常に優雅でお気に入り。羽根での撹乱などと、なかなか小技が効いていて、個人的にはつぼをついていたライダーであった。

□仮面ライダーリュウガ

 ミラーワールドの真司が変身する最強のライダー。王蛇を殺し、ファムを撃破、ナイト、龍騎とも戦い、凄まじい存在感を示した。最終的には龍騎に破れるも、有終の美を飾るに相応しいライダーであっただろう。
 公開前から話題を集めたライダーであるが、その正体は比較的妥当な線で落ち着いたと思う。見た目は格好良いものの、王蛇様を殺したライダーで個人的には許し難き存在である。

□モンスター

 今回登場したモンスターはヤゴ型のシアゴースト。実に大量に登場し、現実世界にまで混乱を呼んだ。シアゴーストは脱皮する事により、トンボ型のレイドラグーンとなった。更に成長すると、完全な飛行体モンスターハイドラグーンとなる。何れも大量に登場し、混乱を招き、ライダーを引き立て、非常に良い役をしていた。
 矢張りこういうのは良いな、と思わせる。BLACK以降のライダーに戦闘員は登場していない為、こういうのが見れる機会は非常に少ない。昨年のアギト劇場版では、アリ型アンノウンが登場して場を盛り上げた。今年のヤゴからトンボへと変態していく大量のモンスターは、それにも勝るインパクトがあり非常に良かった。

□アギトキャラの出演

 今回、特別ゲストとしてアギトで活躍した翔一、真魚、氷川さん、小沢さん、尾室君、北條さん、涼を演じた其々の方が登場している。翔一の役は遊園地の見送り(?)、真魚は客の一人として、G3メンバーはお好み焼き屋に、そして涼は浅倉と喧嘩をする役。
 どの方も、非常に楽しませて頂いた。割と性格もアギトでの役とあっていて、ファンサービスとしては非常に嬉しい(敢えて違うとすれば涼の性格は少々違ったようだが)。

□衝撃のラスト

 そして、衝撃のラストシーン。戦う事を了承した龍騎とナイトは、現実世界にまで現れたモンスターの大群へと突っ込んでいくのであった。
 まるで、打ち切り漫画のような最終シーン。しかし、小生としては、このラストは非常に気持ちの良いものであった。ここを見た瞬間、もう映画の評価がずっと良くなった。それだけ強い印象を残していた。

□総評

 番組放映中に最終回をやる、と言うことで非常に話題を呼んだ今作。流石は井上センセ、とも言うべき話だったと思う。王蛇の死に愕然としたものの、途中から謎を呼ぶ盛り上がり、そしてあのラスト。本当に素晴らしいと思う。この時期に最終回を公開したことが是か非かは分からないし、判断できる立場でもない。しかしそういった要素を無しとしても、本当に良い映画だったと思う。しつこい様であるが、あのラストに全ては集約されていた。本当に満足した作品である。

(02.08.21)

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