仮面ライダー1号

□本郷猛/仮面ライダー1号

 藤岡弘の事は好きではありませんが、この外見で七十歳と言うのは素直に凄いと感嘆します。芸能人は常に人に見られる事を意識しているので若若しくなりがちですが、それでも異常でしょう。
 この映画に於ける一号の姿を初めて目にした時はその異様に肥大化した姿に衝撃を受けました。確かにこれくらいの方が変身前後の違和感が少ないのですが、でもやっぱり単品で見ると好きではありません。あとライダーキックはもっと格好良くして欲しかったですなぁ。

□シオマネキング、ガニコウモル、毒トカゲ男

 また関さんですか・・・。内輪で盛り上がっていると言うか、旧ショッカーに関さんだけしか居ない様に見えてスケールが小さくなってしまいますなぁ。

□ノバショッカー戦闘員

 時代を経てアップデートされたと頷けるデザインです。戦闘員スーツデザインの変遷みたいなのがあるのを想像出来ます。

□教育実習生

 タケルとアカリが立て続けに城南大学付属高校に教育実習生として潜入するのですが、何のコネクションも無いのにどうしてそんな事が出来るのですか。

□「腑抜けに用は無い」

 相変わらずこの男は口が悪いですね。
 しかし命を賭して危険な戦いに身を投じるのは義務でも何でも無いのですから、戦いを強制される謂れはありません。その後もタケルが執拗に本郷猛に協力を要請していますが、相手の都合を無視していますし他人に頼り過ぎではありませんか。精神的に軟弱に見えて印象が良くありません。

□地獄大使

 演者が違ってしまっている時点で本郷猛との因縁に説得力がありませんなぁ。

□ネオサイクロン号

 デザインの印象は良くなかったのですが、大型バイクなので迫力があって格好良かったですねぇ。

□「理解るよ。今の私になら理解る。猛が何で生き返ったのか」

 あたしには理解りませんでした(死)。何で生き返ったのですか?

□「宇宙キター!」

 これをちゃんと宇宙に行ってから言ったのが良かったです。スペクターの性格からしたら意味も無く決め台詞なんて言わないでしょうからね。

□戦闘全般

 戦いの途中で唐突に場面が切り替わり、何時の間にか時間が経過していると言うのが何度もありました。敵も味方も無事で優勢だった方も追撃しなかった事になります。そんな莫迦な、何で戦っていたのですか。雑過ぎます。
 終盤でゴーストとスペクターがレジェンドライダー眼魂を使いましたが、それ以外だと眼魂チェンジが殆ど行われませんでしたなぁ。
 ただ、屋上から落下する際のカメラワークとか見るべき部分もありまして、特に最後の戦闘はそれなりに長かったのですが見飽きない工夫がされていました。戦場に立つ全員が参加している感じが出ていて良かったです。宮崎剛らしからぬ芸当と感心したのですが、本作のアクション監督は竹田道弘だったのですね。二重の意味で納得です。平成ライダーのアクション監督ですと山田一善が別格として、その次に良かったのが竹田道弘でした。

□総評

 本郷猛と立花麻由のドラマが真ん中にあり、旧ショッカーが麻由を狙い、ノバショッカーが政府と取引し征服を狙う、これら複数の展開が絡み合って見応えがありました。映画なのですからこれくらい入り乱れて、そしてそれが結実するのが良いですね。
 ただ『仮面ライダーゴースト』の要素は蛇足でした。インタビューで白倉伸一郎が『ゴースト』を出すのがありきではないと発言していましたが、口だけではどうとでも言えますよね。現実的には現行作品を無視するのは難しいでしょう。しかし現行作品を出してしまうと、途端にその作品の世界になってしまいます。本作は本郷猛を主人公とした本郷猛の映画であって欲しかったです。
 見終えた後の満足度も高く、総合的には悪くありませんでした。心に残る名作ではありませんが、正直に言ってそれは最初から期待していません。ただこの時期に公開される仮面ライダー映画としては面白かった部類です。スーパーヒーロー大戦の頃に比べたら毎年、大分と良くなりましたなぁ。

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(16.03.26)