劇場版
少女☆歌劇
レヴュースタァライト


□愛城華恋

 監督曰く、本作は華恋の物語です。華恋のバックボーンが丁寧に描写された事で、彼女と言う人間が見えました。テレビシリーズの時はありがちな主人公と言う属性ではなく、生きた人間らしさが感じ取れなかったのです。これは演じている小山百代も同種の発言をしていました。それがぐっと人間として捉えられる様になって良かったです。そして非常に大人びていて、この映画で唯一大きく印象が変わった人物です。かなり魅力的になりました。

□幼い神楽ひかり

 ありがちですが最初は今とは逆に、華恋が内気で、ひかりが腕白だったのですね。二人ともこの頃とは性格が変わりましたが、ひかりの言葉が足りないところは共通しています。しかし以前にこんな間柄なら、再会した華恋はそりゃはしゃぎますし途惑いますよね。

□むくれる天堂真矢

 説明を遮られむっとしている天堂真矢が可愛いです。

□「西條さん、私が何か?」

 先に天堂真矢の名前を出したクロちゃんも相当意識していますが、天堂真矢は天堂真矢でクロちゃんが大好きですなぁ。

□「狼狽えるなぁ!! 舞台装置だ」

 ギャグですやん(笑)。

□「私達は・・・死んでいる・・・」

 お前はもう死んでいる。

□「舞台の上で演技しないなら、何も言えないよね?」

 このまひるは怖かったです。
 演技だと聞かされたひかりがまひるの演技を称賛しているのが無邪気で可愛らしく、そして彼女はまひるの本心に気付かないと言うのも痛感しました。ひかりはとにかく子供なのですね。

□大場なな

 やさぐれたもえぴにしか聞こえません。

□総評

 総集編ではありませんが総集編とは違った形で、レヴュースタァライトとはこういうものであると表現した作品です。ひかりが皆の前から姿を消し、ばななが訳知り顔で暗躍し、まひるが嫉妬し、香子と双葉が喧嘩し、最後に華恋とひかりのレヴューで締める、ある種の様式美です。
 一歩だけ前に進んでいる物語。この映画の感想を端的に表現するとこうなります。特に香子と双葉、まひるとひかりの関係性に顕著ですが、テレビシリーズの焼き直しでした。同じ事を繰り返しています。ただ其処から一歩、一歩だけ前へと進んでいました。態態新作劇場版と銘打っているのですから、十歩か百歩くらい先を見せて欲しかったと言う気持ちが強いです。
 レヴューの勝敗は、香子に勝った双葉、ひかりに勝ったまひる、ばななに勝ったじゅんじゅんと、負けの常連組に花を持たせた感じですな。
 監督の演出はイクニの弟子と言うのをより色濃くしています。切れも良くなっており、テレビシリーズでこれくらい見せてくれたら作品の個性が際立った事でしょう(劣化イクニの評価も避けられなかったでしょうが)。加えて音楽が重要な作品だけに、劇場の音響設備で味わう価値は存分にあります。

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(21.6.5)