劇場版
仮面ライダーオーズ/OOO
WONDERFUL
将軍と21のコアメダル

□冒頭

光生が指揮して錬金術師ガラの封印を解いてしまうところから始まりますが、この辺は位置関係の把握が難しかったです。慎太郎は光生の護衛についていたのですが、同じ様な森の中で映司がナイト兵と戦っていたのは同じ場所なのでしょうか? それとも全く違う場所なのでしょうか? 抑抑が発掘をしていたのは何処なのでしょうか? 勝手に外国と決め付けていましたがあれも日本?

□オーズVSナイト兵

 オーズが大量のナイト兵と戦う場面ではトラメダルの活躍が目覚しかったです。アンクがタトバコンボのオーズに緑色のメダルを投げ渡した時は、早くもカマキリメダルに交換だと信じて疑わなかったのですが何とそれはクワガタメダルでした。その後もバッタメダルがチーターメダルに交換されましたが、豈図らんや我らがトラメダルは最後まで交換されなかったのです。失礼ながらこれは予想外でした。ナイト兵を華麗にトラクローで切り裂いていますしトラメダルも成長したものです。
 その後でオーズの前に姿を現したガラに多くのメダルを奪われてしまうのですが、それでもメダルケースの中にはトラメダルが輝いています。映司の傍を片時も離れず最後に頼りになるのはトラメダルなのですよ。

□チャンスタイム

 ガラによってメダルから生み出されたベルが街に出没し、道行く人人に五百万円と引き換えに一生を丁髷で過ごすと言う欲望の問いかけをします。多くの人がこれに応じ欲望が貯まって行くのですが、一生を丁髷で過ごす事を強いられるのに五百万円は安くないでしょうか。その辺の金額に茶茶を入れても詮無き事ですがこの金額であれだけ群がるのは釈然としません。
 明もついつい五百万円を手に入れる事を妄想してしまいますが、慎太郎に「伊達さん、伊達さん」と声をかけられて正気に戻るのが面白かったです。タイミングが絶妙でした。
 ベルは可愛らしい姿なのに残酷な選択を強いると言う狙いが巧く嵌っていて良かったです。

□江戸時代

 ガラの策略によって映司達は江戸時代に移動するのですが、最近のライダーも戦隊も太秦映画村の撮影を多用しているので新鮮味が皆無です。もっと他の時代を使って欲しいですなぁ。

□若葉駿

 ガラに躰を乗っ取られた母親との間にあった出来事を彼が映司に語るのですが、その話を聞き、また駿が泣き出したのに釣られて涙を流してしまいました。涙もろくなったものです。

□アンクの命を使った変身

 多くのメダルを奪われた映司がオーズに変身する為に、アンクの意思を宿したタカメダルを受け取り、その命を預かってタトバコンボに変身します。実に熱く格好良い名場面でした。そのタトバコンボが鵺ヤミーに存外にあっさりと負けたのはご愛嬌(ぉ

□暴れん坊将軍

 最大の見所とも言えそうなのが松平健が演じる徳川吉宗が登場する事です。貧乏旗本の三男坊を名乗るなどきちんと暴れん坊将軍のフォーマットを踏襲していましてニヤリとさせてくれます。暴れん坊将軍に思い入れが無い私でもアレンジされたテーマソングが流れたのには興奮し、吉宗がチャンバラする時だけ殺陣が時代劇のそれになっているのが感動ものでした。ただ飽く迄も中盤のゲストと言う感じで、映画の題名に将軍と出ているに見合う活躍があったとは言い難いです。題名に使うくらいでしたら最終決戦までがっちりと絡めるべきで、中盤のみの登場なら題名に使わないべきではないでしょうか。

□ブラカワニコンボ

 この映画でのみ登場する新たなコンボでコブラ、カメ、ワニの爬虫類で構成されています。両腕の甲羅を盾にし、笛で頭部のリアルな蛇を操作、そして鰐の顎で噛み砕く様なキックなど特徴的なアクションが楽しめました。しかしブラカワニはテーマソングが流れませんでしたね。一度きりの登場なのに寂しいです。そういえばシャウタも未だテーマソングが本編で流れた事が無いのですなぁ。

□映司の選択

 映司に自分一人だけ助かるが残りの全員が消滅すると言う選択肢が示され、返事が求められ映司は悩みます。しかしこの手の主人公が他人を犠牲にして自分だけが助かろうとする筈が無いので、結果が分かり切っているのに長長と悩まれても無駄ではないかと冷めて見ていました。ですが何と映司は『“家族”は一緒に助けても良い』と言う言質を取り、その場に居る全員で助かると言う大逆転をして見せました。これは予想していなかったので素直に凄かったです。それに映司は最初から朝から数時間しか会っていない人も長い付き合いと言い切ってしまいますからキャラクターは一貫しています。感心した一幕でした。全員が助かると判明し周囲も大喜びで、時代を問わず人人が手を取り合っていく光景は気持ちの良いものでした。

□靴に挟まっていたタカメダル

 実は映司の靴に一枚だけタカメダルが残っていると言う場面に笑いました。アンクの命を預かった感動の名場面を台無しにかねないのですが辛うじてそうならないバランス感覚が凄いです。

□錬金術師ガラ(怪人態)

 ガラがオーズと直接戦闘するに当たり変身した姿なのですが、これと言った特徴の無い凡庸な姿となってしまっています。普段のガラが竹馬を利用した撮影によって非常に長身になっているのですが、怪人になってもそれを活用したアクションを見せて欲しかったです。尤もそれが格好良く映るかは別問題ですからやらなくて正解でしょうか。

□仮面ライダーフォーゼ

 ガラとの戦闘でオーズが窮地に陥った際に、空から何かが落ちてきました。利害の一致から「おぉ、これはグリードが助けに来てくれたのか!」と色めきたったのですが予想は外れ次回作の主人公です。この時期の映画で次回作のライダーが登場するのがすっかり定番となったのですが出てくるまで完全に失念していましたわ。グリードの加勢を期待していたので少し残念です。

□ライダーロケットパンチ

 ロケットパンチのロケットはそのロケットじゃねェよ!? 文字通りロケットで殴るロケットパンチを見たのは初めてです。
 その後、フォーゼの気遣いで止めはオーズに譲られ、彼のマジックハンドで振り回され勢いをつけトラクローでガラを吹き飛ばしました。一年前に銀幕でデビューしたオーズですが、早早にカマキリに交換されると言うトラメダルにとっては苦い思い出がありました。しかしそれから一年の時を経てこれほど活躍出来るようになるとは感慨無量です。

□最終決戦

 生きていたガラが集めたメダルによりオーズの力を得て巨大な異形の姿へと変貌します。迎え撃つオーズ、バースと激しい戦いが繰り広げられました。
 ガラ(怪物態)はオーズの力を得たと言いながらも仮面ライダーオーズと一切の共通性が無く、そしてまた何の面白味も無いデザインでした。鵺ヤミーは悪くありませんでしたがガラが微妙でこの映画のデザインは全体的に印象に残りませんなぁ。
 先の戦いではフォーゼと勘違いしてしまいましたが、今度こそグリードが駆け付けてくれました。そしてオーズに自らのメダルを渡してくれるのですが、一番最初がウヴァだった時は「あぁ、ウヴァさんの仲間内に於ける位置付けはやっぱりそうなのね」とほっこりしました(笑)。あと恐竜メダルを持ったキヨちゃんを渡されたオーズの一体が、それを他のオーズに渡し渡されたオーズも嫌がっていたのには笑いました。
 公開前から明かされていましたが最大の目玉であろうタトバ、ガタキリバ、ラトラーター、サゴーゾ、タジャドル、シャウタ、プトティラ、ブラカワニのコンボ勢揃いです。果たしてどんな理屈で変身するのか疑問だったのですが、何とガタキリバコンボの分身が其其変身すると言う単純な内容でした。今回限りなのでしょうがそんな事が可能なのですね。このクライマックス戦闘は盛り上がらない筈が無く、各コンボが各各の特性を活かしつつ有効な攻撃を重ねていき、バースも含めて順番に必殺技を叩き出して畳み込んでいく流れが最高でした。クライマックスに相応しい激戦でしょう。

□終幕

 比奈の怪力で手を繋いだアンクが痛がると言う一幕がありつつも、皆で手を繋いで和やかな終わり方でした。

□手をつなごう〜マツケン×仮面ライダーサンバ

 松平健がこの映画の主題歌も担当すると聞いた時は勘弁してくれと言う気持ちだったのですが、豈図らんや内容に合致した素晴らしい楽曲でした。映画の粗筋を描いた映像と相俟ってとても良かったです。

□総評

 暴れん坊将軍との共演とか話題先行の感が強く見る前は果たしてどうだろうかと疑問もあったのですが非常に面白い映画でした。決して話を阻害せずそれでいて笑えるギャグの配分がとても良い上に手を繋ぐ事に象徴された絆を重視するストーリーに引き込まれ、そして戦闘がきっちりと描かれている、申し分がありません。懸念材料の一つであった松平健も話の流れに巧く盛り込まれていますし、何よりも登場した時に私自身も盛り上がったのですから文句がありません。過去のライダー映画の様に仰仰しい煽りこそありませんが素直に楽しめる素敵な作品です。
 昨年の冬に『ノブナガの欲望』に落胆させられ、夏のオーズ単体映画は面白い作品である様に願い、祈り続けていましたがその答えがこれであれば全く文句はございません。やっと満足出来ました。冬のムービー大戦にも期待が持てます。

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(11.08.16)