□仁藤攻介／仮面ライダービースト
研究目的で再びキマイラを捕獲した事があっさりと明かされましたが、その捕獲経緯を見たかったですよ。本編で変身が出来なくなったのにこの映画では既に変身出来る状態で始まると言うのは腑に落ちません。加えて言えば変身出来るようになった事そのものが不満でもあります。中には本編終了と同時に変身が出来なくなり、二度と登場しないライダーが居ても良いのではないでしょうか。
□カーバンクル
笛木の作り出した人造ファントムとして複数が登場しました。カーバンクルのデザインは好きなので嬉しい反面、明確な自我も無くやられるだけの姿は魅力に乏しいです。
また、最初に木崎や凛子に襲い掛かってきた時と、後にオーガが引き連れた時の両方とも三体だったのが、着包みを三体しか作っていないと言うのが透けて見えて少し嫌でした。どちらかを二体にするとか違いを出して欲しかったです。
□大須賀／オーガ
ファントムを喰らいそのファントムの能力を自分のものにするファントムで、それを活用した戦闘は良かったです。ただこのファントムにはバックボーンが何もありません。単に出現して斃されるだけで存在感が無いのです。本作は晴人とコヨミに焦点を絞った作りなので余計な情報は蛇足との判断なのでしょうが、その為に敵に厚みが生まれませんでした。
□コヨミ／白い魔法使い
指輪に宿った魂を元に実体化しオーガに操られましたが、晴人の前に現れた時は、偽者だと分かっていても、寧ろ偽者だからこそ涙が出そうになりました。
□「何でお前がっ！？」
晴人のアンダーワールドに入ったオーガを追いウィザードが現れ、それを目にしたオーガが放った驚きを込めた一言ですが、まさにこうとしか言い様がありませんよね。それは驚くし混乱するでしょう。何だか理不尽です。
□「俺は希望の魔法使いだ。俺の希望が溢れているこの世界で、俺が負ける訳は無いんだ！」
その背後には大量にコヨミが映っています。ある意味ウィザードは歴代仮面ライダーでも突出して女女しいヒーローですなぁ。でもコヨミとの思い出が溢れる世界で戦う描写は面白かったです。
□総評
とにかく晴人とコヨミの関係だけを抽出して描いた作品ですね。その二人だけに絞ったからこそ美しくなった反面、世界観は狭くこじんまりした作品になった印象があります。作品としてそれが悪い事ではありませんが映画としては物足りない思いが無い訳ではありません。それと上述の様に敵に何の背景も無く存在感が希薄なので盛り上がれない部分はありました。
□武神ライダー
戦極時代の守護神で、外見こそ仮面ライダーですが変身したりはしません。この武神ライダーを引き連れる戦極武将が天下を取らんと覇を争っています。その戦いの様子が少しだけありますが、龍騎とブレイドは何時でもカードライダー同士で組まされたり戦わされたりしますなぁ。ワンパターンで飽きて来ます。
特殊な世界観なのですが、個人的には武神ライダーが原作で敵対した怪人――例えばクウガならグロンギ、アギトならロード怪人――を配下として戦う方が見たいと思いました。
□葛葉紘汰／仮面ライダー鎧武
見知らぬ世界に放り込まれ、その中で人の死を間近に見る事で考えさせられます。紘汰の成長に直結する描写でありとても良いと思いました。
□武神ダブルＶＳ武神鎧武
武神鎧武の襲撃を迎え撃ちサイクロンジョーカーエクストリームに変身して寧ろ武神鎧武を追い込むのですが、豈図らんや突如として乱入した斬月に邪魔をされ逆転を許し敗北してしまいました。斬月の所為で死んでしまったみたいなものです。でもこの時の斬月はその後で鎧武が自身が知っている鎧武と違うと知ります。何だかんだで鎧武を助けようとしてくれたと思うと和みますね。
□「口を挟んで悪いけど、そのお殿様も自分の為だけに天下を取ろうとしている訳じゃないと思うな」
それまで戒斗の話をしていたところだったので、この晴人の台詞も「晴人が戒斗の何を知っているのさ」と思いました。でもこれはイエヤスの事を指していたのですね。
この台詞に関しては誤解して受け取っていたのですが、どうにもこの場面はその後もちぐはぐです。戦いを躊躇う紘汰に舞が自分はダンスする居場所を守る為に戦うと言いますが、それは元の世界の話であってこの世界では全く意味が違うではありませんか。そもそもだからこそ紘汰はこの世界の戦いは自分達の世界でやっていたゲームとは違うと悩んでいるのに、それに対してこれでは話が噛み合っていません。
□「俺が守りたいのは、お前だ！」
キャ――――――――――！！！！ 紘汰 から戒斗への愛の告白ですよ奥さん！？ きゃー、きゃー、きゃー、これは興奮しますよ！
□武神鎧武ブラッドオレンジアームズ
本作の敵なのですがこれがオーガ以上に何者なのか描かれません。しかもそれほど驚異的な強さでもないからさっぱり盛り上がれませんわ。最終的に変身するのかと思いきや、ご神木に繋がった格好悪い姿を晒すだけで幻滅でした。小山力也の声は格好良いのですがそれだけです。
□ウツボカズラ怪人
名前もぞんざいで武神鎧武の手下と言うだけでしかありません。仮面ライダーは何人も出て来るのに相対する敵が武神鎧武とウツボカズラ怪人の二人だけでアンバランスですなぁ。敵が強くて初めてヒーローは輝くのですよ。
ところでウツボカズラ怪人に光実が取り込まれたのでそれを助けようと言う流れになりますが、取り込まれて生きているとどうして理解るのでしょうか？ 死んでいる可能性もあるのに怪人を斃せば解決すると思い込みそれを疑おうともしないのが不自然でした。そして実際、怪人を斃すと光実は救われましたが他に取り込まれていた武神ライダーは助かりません。光実よりも後に取り込まれたライダーも居るのにこれでは納得がいきませんわ。
□武神フォーゼ
イエヤスとは同盟国の武神と言う事で献身的に守ってくれました。素直な性格で好感が持てます。ところで自身が守るべき武将はどうなったのでしょうか？ 途中までイエヤスを裏切り罠に陥らせようとしているのかと疑ったくらいです。
□「宇宙キ・・・たとでも言っておこうか」
兄さん、お茶目っすね（笑）。鎧武、バロン、龍玄、斬月の四人がレジェンドロックシードで歴代ライダーを模した姿へ変身し決め台詞を言うのですが、兄さんはよりにもよってフォーゼですからね。バロンは決め台詞の無いオーズで良かったですな。
□総評
ウィザード同様に敵が薄味でとにかく小粒でした。何と言っても強敵が不在ですよ。戦闘も中途半端で盛り上がらないです。それなりに楽しめはしたものの細かい部分の甘さが目に付きます。もう少しだけでも丁寧に手を入れて欲しかったです。
新しく作られた怪人は少なかったのですが、それとは別に旧作から流用された怪人が大量にわらわらと出ますが、こういう安っぽい真似はもうやめて欲しいですなぁ。
一つだけ手放しで賞賛出来るのは、ご神木が急成長する際の特撮です。ちゃんと実写で城壁を破壊する様子を見せていてこれでこそ特撮と嬉しくなりました。
あと戦極時代の住人はちゃんと『
（１３．１２．２３）
