ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

□冒頭

 宇宙を、そして月面を舞台にマン、セブン、ジャック、エースの四人とUキラーザウルスが派手な戦闘を繰り広げています。巨大なUキラーザウルスとウルトラ戦士の格闘もあり最初から興奮します。

□宇宙人連合

 地球を手に入れる為に邪悪な宇宙人が手を組むと言うのが良いですな。円盤の中で集まって相談している姿が分かり易くて好きです。

□極悪宇宙人テンペラー星人

 元元テンペラー星人はその高い能力とは裏腹に外見が格好悪いと思っていましたので、デザインのリニューアルによって強そうで威厳が感じられる様になりました。その影響は大きいものでこれまでは何とも思っていなかったテンペラー星人が好きになりましたよ。しかし声や性格は小者染みており、事実宇宙人連合の中でも最初に斃されてしまいました。尤も、敗れたとは言え空中を飛行したり街を破壊する姿は格好良かったです。

□凶悪宇宙人ザラブ星人

 旧作に登場した個体と同じ方が声を演じられています。別の個体なのですが同じ声にする必要は無いと思いますが、逆に同じ声にしたらいけない理由もありませんからね。偶偶似た声だったとかザラブ星人は皆こんな声なのでしょう。ザラブ星人は旧作と同様に『ニセメビウス』に化けるのですが、サコミズ隊長が細かな違いを挙げて偽者と断定します。何気に作中の人物が偽者と見破るのは快挙ではないでしょうか(笑)。

□分身宇宙人ガッツ星人

 ガッツ星人も強さの割りに大きな頭と細身の躰がアンバランスだと思っていました。しかしリニューアルデザインでぐっと逞しくなりましたね。格好良いです。分身を駆使して戦うガッツ星人ですが、その折に手首がプルプルと動いています。そんな所まで旧作準拠なのですね(笑)。

□暗殺宇宙人ナックル星人

 声の影響で一番の大物に思えて来ます。実際、四人の中では最後まで残りましたね。その最期は利用しているつもりだったUキラーザウルスに逆に始末されてしまうと言うものでしたが、絶対に誰かがそうなると思っていましたので今か今かと待ち構えていました(笑)。実に“らしい”最期です。新たなデザインは一見すると明らかにナックル星人ですが、良く見ると顔は全然違っていますよね・・・? まぁ、ナックル星人の顔も余り覚えていないので具体的に何処が違うのかと言われても困るのですが。

□四人の変身

 変身して出現する場面が新撮されていましたがこれには魅力を感じませんでした。この部分は旧作の映像をそのまま流用して欲しいと言うのが正直な感想です。それはそれとして、ダンがウルトラアイを装着する場面は、今でも豚の鼻みたいに見えてしまいます。此処は新しくしても受け継がれてしまうのですね(苦笑)。

□ウルトラマン

 顔が皺くちゃなの少少気になりました。どうやら旧作のAタイプを意識しているそうですが、特に思い入れが無い身としては現在の綺麗な映像で――言い方は悪いのですが――汚い顔を見せられても嬉しくありません。しかしパッと見でジャックと見分ける為には有効な手段なのかも知れませんね。顔とは別に気になったのが声でした。マン、セブン、ジャック、エースの四人は変身前の役者が声も担当しているのですが、ウルトラマンと言うより黒部進の声にしか聞こえませんでした。見ている内に慣れましたが最初は違和感が強かったです。

□ウルトラマンジャック

 郷秀樹の喋り方が外人の様な片言に聞こえて不思議でした。

□ウルトラマンエース

 メビウスが貼り付けにされた際、誰よりも先に助けようとする姿が格好良かったです。エースは好きなので嬉しかったですね。しかし宿敵であるヤプールが黒幕なのですから、それに関連した描写があれば良かったですなぁ。

□ウルトラマンタロウ

 先ず何で東光太郎だけ登場しなかったのかと言う疑問を抱きます。その事自体は構わないものの、全体的にタロウの出番が著しく短いのが残念です。ストリウム光線を放つ場面もあるのですが、哀しい事にCGなのですよね。じっくりと全身にエネルギーを溜めて、「ストリーウ〜ム光ー線!」という本人の発声があってこそのストリウム光線でしょう。一応は描写があったのですが実写でじっくりと見せて欲しかったですね。不満ばかりを挙げていますが、タロウが登場した瞬間に主題歌のテレビアレンジが流れたのは嬉しかったです。これぞタロウですね。

□ゾフィー

 タロウと共に助けに現れたゾフィーは、出番もタロウと同等程度しかありません。しかしTVシリーズの主役を張った事が無くゲスト客演が主だったので別段不満にも感じませんでした。決して軽んじたり悪し様に言っている訳では無く妥当な扱いと言えましょう。パンフレットを読むまで気付かなかったのですが、Uキラーザウルス・ネオの触手と戦っている時にはM87光線を使われていたのですね。単体の必殺技としては破格の大技なのですから、これに関してはストリウム光線と同様、もっとじっくりと、分かり易く見せて欲しかったですなぁ。

□最終決戦

 復活したUキラーザウルスは巨大なCGの姿へ変貌していました。最後の敵がCGである事に落胆して、Uキラーザウルスの着包みとしての活躍がもう見られないと知りとても残念に思いました。その活躍が拝めるのは冒頭の宇宙戦だけだったのですね・・・(哀)。大量の触手が画面中を走り、ウルトラ戦士の攻撃が飛び交うのは格好良いのですが、いざ動きが止まるとビデオゲームの画面に見えてしまうのですよね。特にUキラーザウルス・ネオが巨大な鋏でメビウスを締め付ける場面やストリウム光線を放つ時が顕著でした。映画全体が非常に良かっただけに最後は着包みと着包みの戦闘で決めて欲しかった所です。

□ウルトラマンメビウスインフィニティー

 ミライがタカトに「ウルトラ兄弟全員が力を合わせたのが一番強いウルトラマン」と言ったのを聞いて、「あぁ、六重合体タロウですね」と思いました。それが何と、この映画では七重合体メビウスが登場しました。これも間違い無く超ウルトラ戦士(スーパーウルトラマン)ですね。しかしメビウスインフィニティーの戦闘に関しては不満も残ります。人質を救った後にコスモミラクル光線に相当する必殺光線を使って斃すのかと思ったのですが、Uキラーザウルス・ネオはそのまま崩れ落ちてしまいました。最後に爆発が無い事もあり爽快感が少なかった事も否めません。

□究極超獣Uキラーザウルス/究極超獣Uキラーザウルス・ネオ

 劇場映画に相応しい格好良く強い最高の怪獣です。一目で惚れ込んでしまいましたよ。
 しかし復活後の最終形態(ネオ)は余り高く評価していません。先ずフルCGと言う点で好みではありませんし、その上余り格好良いとは思えませんでした。蠍を思わせる巨大な躰とその上部に繋がる従来のボディはデザインラインに乖離が見られます。設定上の大きさに関してもパンフレットではクイーンモネラを上回ると豪語していますが、ギガバーサークよりは小さいのでウルトラ怪獣史上最大と言う訳ではないのです。デザインはそのままで単に巨大化しただけで良かったのではないでしょうか。

□主題歌『未来』

 主題歌を歌うのが氷川きよしと知った時は「?」と思ったのですが、CFでも使われている主題歌は作品に相応しい曲で安心しました。素直に好きな曲です。

□総評

 一言で言えば面白かったです。ウルトラ兄弟が登場すると言う劇場版に相応しいお祭り要素もありましたし、次から次へと宇宙人が登場しての戦闘は見ていて飽きずに済みます。登場する宇宙人も中中に魅力的でしたが、極め付けはヤプールとUキラーザウルスでしょう。元来超獣が好きだった事も相俟ってUキラーザウルスは最高に好きな怪獣となりました。TVシリーズの『ウルトラマンメビウス』が好きだったので多大な期待を抱いていましたがそれに違わぬ素晴らしい作品でしたよ。
 そんな中で敢えて不満を挙げるのであればタロウの扱いとCGの二点です。ゾフィーを除いた五兄弟では唯一変身前の姿が登場しなかった事もあり、出番が非常に少なく見せ場がありませんでした。折角のストリウム光線もCGだった事で何となく物足りません。これが残念でした。そしてもう一つのCGですが、最初の宇宙を舞台にした戦闘や、地球上でも空中を飛び回る場面は悪くなかったのですが、地上にどっしりと構える時もフルCGにされてしまいゲームを見ている様な印象を受けてしまいました。折角のUキラーザウルス・ネオがCGなのも魅力がスポイルされてしまったと思います。
 また不満と言うほどではありませんが、登場するメンバーの選定に若干の疑問を覚えます。確かにウルトラ兄弟と言えばタロウまでの六兄弟が一番の知名度でしょうが、正式に兄弟入りしている筈のレオ兄弟が外されているのは残念です。それに欲を言えば、正式にウルトラ兄弟に入っていないのかも知れませんが80も出して欲しかったです。

 さて、今作は普段利用している劇場での上映がありませんでした。しかし諦めきれず少し遠い映画館まで行ったのですが、その甲斐があった非常に面白い作品だったと言えます。この頁に感想を書いている他の作品を見た時は、数人か、多くても十数人しか観客が居ませんでした。しかし今作を見た時に限っては、その原因が映画館なのか、作品なのか、はたまたその両方なのかは理解りませんが、何と満席状態でした。そして観客の大半が子供でありながら、上映中はとても静かだったのも印象深いです。更に上映が終了すると、彼方此方の子供が親に「良かったね」と言っているのが聞こえて来ました。映画の内容にも高い満足感がありましたが、それ以上に気持ちの良い瞬間でしたね。

(06.09.20)

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