仮面ライダーギーツ×リバイス
MOVIEバトルロワイヤル


□『リバイス』パート

 五十嵐家を見た瞬間に、「あぁ、リバイスだなぁ・・・」とうんざりします。しかも新しい弟が増えているのがグロテスクです。
 こう、悪くも悪くも、悪い意味でも悪い意味でも、TVシリーズで見慣れた『リバイス』そのままでした。

□「我が全身全霊をかけて、幸四郎を守る!」

 この決め台詞を無駄に多用するのが寒いですし、これで幸四郎を守れていないのですから酷いギャグです。これで良しと判断した感性を疑います。

□バリデロとイザンギ

 地球人とは全く異なる価値観の生命体で理解し合えないと言うのを必死に言動で説明していますが、それが口で言っているだけで本当に陳腐で全く表現出来ていません。それ以外の台詞も全部何十回も聞いた事のある様な台詞ばかりで非常に安っぽいです。しかも神谷浩史とか新鮮味が皆無です。

□アクション

 『リバイス』の戦闘は多人数が入り乱れたただ殴り合っているだけで何の工夫もありません。『ギーツ』の戦闘はスタイリッシュで格好良く見ているだけで楽しめます。本作でも丁寧にその特徴が踏襲されていました。それが連続して見せられるのですから、よりその落差が露わとなりますね。一本の映画でどうしてこんな事になるのか疑問です。
 アーケード街、電車内、キャリアカーの上、戦場一つとっても『ギーツ』は手を変え品を変え楽しませてくれますからね。

□コラス

 本作の黒幕です。先代のゲームマスターとしか言われないのは些か説明不足の感は否めませんが、本編の謎にも関わるので致し方ないのでしょう。得体の知れない敵としての恐ろしさが出ていましたし、本人が変身してライダーと戦うのではなく、ギロリに切られて終わるバランス感覚が絶妙でした。

□「さぁ、始めるぞ。我我のゲームを」

 いいえ先輩、私達のゲームです!

□ジョージ・狩崎

 デザイヤロワイヤルの実況をしていた人がジョージだったと、洗脳が解けた時に初めて気付きました。誰だろうと思っていましたよ。

□浅倉威/仮面ライダー王蛇

 お、お腹が凄いです・・・。それとオリジナルはベノサーベルを左手で持っていたのに右手で持っているのが気になりました。
 本作に王蛇を出す必要性があったのかは甚だ疑問ではありますが、『リバイス』組との競演より興奮するのは事実です。ただ殴るだけではなくちゃんとアドベントカードを使ってくれたのも好印象でした。

□城戸真司/仮面ライダー龍騎

 悪役と言う事で王蛇と共にリュウガが選出されたのか、リュウガも悪くないけれど龍騎が、あの明るい真司が見たかったなぁ、と思っていたので、予期せぬ龍騎の登場に沸き立ちました! いや、思い返したら予告編で龍騎の参戦は告知されていたのですが、完全に忘却の彼方でしたよ。また龍騎VSリュウガが見られるなんて嬉しいですねぇ。ただドラゴンライダーキックが直撃する瞬間が描かれなかったのは不完全燃焼です。

□秋山蓮/仮面ライダーナイト

 王蛇、リュウガと来てどうしてナイトまでその並びに居るのか疑問だったのですが、ミラーワールドに捕らわれた真司を助ける為だったと判明してナイト客演への印象が良くなりました。ちゃんと意味があったのですね。ガードベントやファイナルベントもちゃんと使ってくれました。

□景和と真司

 景和のスタンスは真司に近いと思っていたところにこの二人の対話があって嬉しかったです。これでこそゲスト客演に価値があると言うものですよ!

□真司と蓮

 景和と真司のやり取りがあった事で満足していたところにこれですよ! 真司と蓮! 云年越しの再会が、『龍騎』を観ていた人間としては嬉しくてなりません。現行作品と過去作品、どちらへのサービスも忘れない細やかな気配りでした。

□轟戒真/仮面ライダーシーカー

 変身して鹿の角が生えているのを見た瞬間、「え、シーカーって鹿だから!?」と驚きました。シーカーのデザインは格好良くハンマーを武器に戦う様は豪快で良かったです。ただ人物面は掘り下げられませんでしたなぁ。その表情から、実は父親の命令に従う事へ複雑な思いを抱いているのかと想像しましたがそういう訳でもありませんでした。父親から見捨てられているのを知っても健気に忠実であろうとするとか、いつか父親を見返すのを虎視眈眈と狙っているとか、某か人間としての深みが欲しかったです。特にドラマが無くただの障害でしかなかったのが残念でした。

□英寿が叶えた願い

 どうせ願いでバイスを生き返らせるのだろうなと思っておりました。『リバイス』に限らず最近のライダーでは、本編で退場したのに劇場版で復活させるので、それが蛇足だと思っています。しかしこの予想は良い意味で外されました。願いは一輝がバイスの事を忘れない世界で復活させなかったのです。これは丁度良い落としどころでしょう。英寿の利己的に振る舞っているけれど他人の願いを叶えたがる良いところも引き立ってとても納得です。こればかりは見くびっていましたね。

□総評

 冒頭の『リバイス』パートだけは褒められませんがそれ以外は概ね面白かったです。戦闘の配分、客演ライダーの扱い、コラスとの決着など、全体のバランスが秀逸でだれる事無く全てが丁度良いのです。素直に楽しかったと思える珍しく出来の良い映画でした。中身の無い抽象的な根性論を叫んだりするのではないちゃんと中身のある台詞で綴られていたのも見易いです。

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(22.12.24)