□episode EX『百年の孤独』
本編の前に宇宙世紀を振り返る映像が流れましたが別に要りませんなぁ。でもこれが無いと上映時間が短くなって物足りなくなります。それならUC一話から六話までの総集編とかでは駄目だったのでしょうか。いあ、見たばかりの総集編を見せられても退屈ですな。
Ζ劇場版の映像が混ざるとそれだけ今風で他から浮いていますね。でも考えたらテレビシリーズに限っても一番最初のガンダムとΖやΖΖでは絵が全く違いますからなぁ。
□フル・フロンタル
本人は最初は器であっても今はそれを満たす中身が注がれていると嘯いていましたが、こんなにも空っぽなラスボスと言うのは珍しいです。何も企んでおらず素直にスペースノイドの為に行動する、まさにプログラムされた通りに動いているだけです。含むところが無い、こんなに我欲が感じられないラスボスはある意味では他とは一線を画しています。
□ミネバ・ラオ・ザビ
本物のミネバを出したのは納得が行きませんが、この彼女は毅然として格好良い人物でした。しかしながら、せめて本物ではなく影武者の一人として欲しかったですなぁ。
ノーマルスーツを着た後姿が好きです(何)。
□リディ・マーセナス
最初に登場した時から興味を抱いていた人物でしたが、まさかバンシィにまで乗り、此処まで重要な人物になるとは思いませんでした。憎しみに捉われバナージを狙い、マリーダを殺してしまった件には言いたい事もありますが、和解してバナージと共にネオジオングの前に立ち塞がる姿は格好良かったです。
バナージにも指摘されていましたが、ニュータイプを憎んでいるものの当の本人も他ならぬニュータイプだったのですよね。
終盤にバンシィでユニコーンを背後から抱きかかえ、ユニコーンが飛び去った時には「そそっかしいんだよ、お前は!」と追いかけた姿は最高でした。要はバナージ×ミネバではなくバナージ×リディと言う事ですね!!!!!!(ぇー
□アルベルト・ビスト
結局、彼がリディにマリーダの命を助けてくれる様に懇願した理由は彼女に好意を抱いていたからで良いのでしょうか? その経緯が全く描かれていなかったので釈然としません。
□マリーダ・クルス
救出されて元の人格が戻ってから急速に魅力的な人物となりました。穏やかな笑みを浮かべる表情、優しい物腰、演者の声と演技、全てが備わって本当に最高の人物です。バナージの頭を撫でて慰めたところとかとても良かったですし、「それでも、と言い続けろ、バナージ!」を聞くと震えるほど感動してしまいます。
それだけに混乱したリディの凶弾に斃れてしまったのが残念でなりません。残されたスベロアが可哀相ですね・・・。リディがマリーダを殺してしまった事が間接的に窮地に陥っていたバナージを助ける結果になるのですから皮肉なものです。
□アンジェロ・ザウパー
最後まで一貫してフル・フロンタルに心酔していて筋が通っていて良かったです。自らコクピットを貫いて死んだ様に見えましたが、辛うじて生きていたのですね。シナンジュのコクピットを発見し中にフルを見つけた時の喜びようと、彼の死を知って哀しむ落差が切ないです。
ところで、フルに対しては単純に尊敬すべき人間として、優れた上官として、心酔しているのかと思いましたが、ローゼン・ズールが爆発する時に散った火花が薔薇を模していたのは・・・つまり、そう言う事なのでしょうか?
□ローゼン・ズール
アンジェロの愛機ですがハンマハンマの系列と言うのが嬉しいです。
□ガエル・チャン
僅かな言葉からこの人はカーディアスを慕って尊敬していたのではと窺えました。バナージがユニコーンの元に辿り着く時間を稼ぐ為にMSに搭乗して戦いまして、死んでしまうのではないかと不安になりましたが助かって良かったです。助けに現れたユニコーンを目にして発した「ご当主」が印象深いです。
□シルヴァ・バレト
ガエルが操縦したガンダムタイプが少しF91に似ていると思いました。実際はシルヴァ・バレトと言うドーベンウルフなのですね。ネオジオングを止める為に持てる武器の全てを出し尽くしたので、次から次へと随分と多くの武器がある様に見えました。
□「ユニコーン!」
バナージがそう叫んで本当に現れるのは最早「出ろぉ! ガンダァ―――ム!」の世界ですね。
□ネオジオング
見る前からその酷さは分かっていましたが映像で見てもその印象は変わりませんでしたなぁ。これは格好悪いです。そして格好悪いだけなら良いのですが、これがジオングを名乗っているのが許せません。どうしてこんなものにジオングの名を冠してしまったのですか? しかも原作には登場せずアニメ独自のMSなのですね。何を考えて態態こんなものを追加してしまうのですか。
このネオジオングとの最終決戦がまた面白くありません。ラストを飾る戦闘で、最後の敵にユニコーンとバンシィが遂に手を結び立ち向かうと言うのに、こんなに残念な結果はありませんよ。最後はてっきりシナンジュと戦うのかと思ったらそれも無いのです。これがシリーズを通して一番酷い戦闘とは言いませんが、最終回と言う点を加味した期待値との落差では一番酷かったです。
□「潮時か」
この瞬間にフルからシャアの魂が抜けたのでしょうかねぇ。もうオカルトの世界です。
□アムロ、シャア、ララァ
最後にフルへこの三人が声をかけますがこれは絶対にやって欲しくありませんでした。そういうのは持ち込んで欲しくありませんし、安易に手を出して欲しくありません。本当に嫌です。
□「ハッタリはよせ。君にも家族は居るだろう? お子さんを巻き添えにしても良いのかね」
ブライトにローナンが言った台詞ですが、そのお子さんが後に辿る運命を思うと哀しい台詞です。
□「自信があるのでしょう? やってみせなさい」
命がかかった場面でさらっとこう言ってのけるミネバが本当に良い女です。サイアムの言葉を借りますがバナージは本当に良い連れ合いを持ちましたなぁ。
□サイコ・フィールド
嘗て地球に落下するアクシズの軌道をそらした時はこれ以上無い奇跡と言う感じでしたが、この作品ではまるで便利な魔法の様に使われているのですなぁ。バナージが意図的に発生させてコロニーレーザーを防いで見せましたよ。
□「お前は未だ、生まれたばかりなんだから」
この台詞を聞いてバナージがどうなっているのか色色と考えてしまいました。カミーユの様に廃人になってしまったのか、精神だけ幼児退行してしまったのか、肉体も含めて子供になってしまったのか・・・。
それはそうとバンシィがユニコーンを後ろから抱きかかえているのが堪りませんね! ブハァッ!(鼻血)
□「これが、完成されたニュータイプ!? そそっかしいんだよ、お前は! 誰もそんな結果は求めちゃいない。可能性があれば、それで良いんだ! 俺もお前も、未だこの世界でやる事が沢山ある筈だろう! 必ず、連れ戻してやる! バンシィ!! そんなんでミネバが抱けるのかよ! オードリーを盗っちまうぞ、バナージ!」
この映画で最大の名場面ですね。「バンシィ!!」の叫びもこれまでで最高に格好良いですね。
□ブライト・ノア
勇ましく大気圏を突入し、「私は連邦の敵に回りますよ」と啖呵を切ったブライトですが、この話だけを見れば何の役にも立ちませんでしたよね(ぉ かてて加えてコロニーレーザーは発射されたのに宣言を翻して最後まで連邦の一員として動いています。
□ラプラスの箱
箱に書かれた全てがミネバの口から全世界に開かされましたが、後の年代を描いた作品が既にありその様子からすれば、特にこれに意味は無かったのですよね。まぁ、後付で作られた作品なので仕方ありませんが、虚しいものがあります。
□グスタフ・カール
非常に多くのMSが登場しました。ビームナギナタを回転させるリゲルグとか、合体するバウとか、ヤクト・ドーガのファンネルとかも良かったのですが、何と言っても最大の収穫はグスタフ・カールでしょう。ちゃんと閃ハサに繋がるのだと思えて良かったです。
□総評
小生がUCを劇場で見たいとまで思ったのは、何と言っても戦闘の描写とクオリティが素晴らしかったからです。その期待を踏まえるとこの第七話は、些か期待外れであったと言わざるを得ません。ネオジオングとの戦闘が最たる例ですがこれが最後と考えると戦闘が満足とは言い難いのです。その前の総力戦も含めて全体的に大雑把でした。一話でクシャトリアが見せた戦闘で味わった様な感動は皆無です。
物語は絶賛するほどではありませんが引き込まれるものがあり最後まで集中し、夢中になって見られました。良し悪しの判断は付きませんが面白かったと言っても差し支えないでしょう。ただ随所に駆け足に感じられる事がありました。恐らくは原作では詳細を書かれていたのでしょうが、尺の問題で省かれてしまったのですね。一本一時間程度の映画を数本と言う方式では描き切れない量だったのでしょうなぁ。
シリーズを通してとにかく旧作を意識した要素が鼻に付きます。フル・フロンタルは言うに及ばず、ミネバ、プルトゥエルブと枚挙に暇がありません。富野某が関わっていない時点で言うなれば本作は二次創作、同人作品に過ぎません。それなのにシャアやミネバに手を触れて、剰えそれが公式に映像化されてしまう事にもやもやとした気持ちがあります。これがフル・フロンタルなんて出さず、オードリー・バーンはミネバの影武者で、マリーダがプルとは関係の無い単なる強化人間の一人であればもっと素直に見る事が出来た気がします。それと一年戦争の裏で実はこんな事があり、ビスト財団がAE社と結託していたとかは矢張り無理がありますなぁ。そういうのを勝手にやらないで欲しいです。
ただ、これだけ熱意の込められたガンダム作品が果たして次は何時作られるでしょうか? そういう意味では好みや面白さは別として、非常に価値のある作品ではないでしょうか。
(14.05.27)