天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー
エピックON銀幕

□使い走りアラタ

 コンビニエンスストアに行くと言うだけでゴセイジャーの仲間や望からも使い走りにされるアラタです。ハイドからは買う場所まで書かれた買い物メモを渡されますが、いや、スーパーには行かねぇよ!?

□アラタと丈瑠の出会い

 突如として出現した外道衆のナナシ連中とアヤカシンのマダコダマに途惑いつつも戦うアラタですが、ウォースターに幽魔獣と異なる敵を相手にしてきたゴセイジャーにとっては、何か新しい敵が出たと言う程度なのですね。
 天装術を跳ね返すマダコダマにゴセイレッドが追い詰められたところでシンケンレッドが登場し敵を撃退しました。見方によってはシンケンジャーの方がゴセイジャーより強いとも取れる表現には不満があります。前作でアクマロ、十臓、太夫と外道衆の強豪を追い詰めると言う鮮烈なデビューを飾った印象が強いのですよね。
 地球を守る使命を持った護星天使として協力を申し出るアラタを受け入れた殿を見ると、彼の成長と言うか変化が感じられました。前作では走輔を拒絶していましたからね。

□天使のお迎え

 殿が浚われてしまい、アラタの「何とかなる」と楽観的にも取れる言葉を聞いた事で流さんと千明が激怒し別行動を取りますが、アラタの一存でゴセイジャーは残りのシンケンジャーと合流する事にします。
 空港に降り立った茉子を強引に籠に乗せて運び去るアグリとエリ、カモミラージュカードで流さんに変身してことはを誘き寄せるハイドとモネ。先生、どう見ても誘拐犯の手口です。
 ハイドとモネが護星天使と自己紹介して迎えに来たと言うのに自分が死んでしまったのかと返すことはの反応に笑いました。天使が迎えに来たと言われたらそう連想しますよね(笑)。

□外道シンケンレッドの襲来

 敵に洗脳された外道シンケンレッドの襲撃を受けるゴセイジャーとシンケンジャー。生来の強さに加えて操られた殿に手を出せない状況で窮地に陥ります。止めを刺されんとするシンケンジャーを身を挺して庇いゴセイレッドは大怪我を負いました。気になるのは最後まで、シンケンジャーの面面がアラタに直接感謝の言葉を言う場面が無いのですよね。狭量過ぎでしょう。

□ゴセイナイト

 外道シンケンレッドの攻撃で起きた絶対の危機に颯爽と登場するナイトさんは頼りになります。後半の戦闘ではシンケンゴールドと組んで共闘するのですがナイトさんの攻撃で追い詰めた後にゴールドが止めと勇んで百枚下ろしを決めるも、その後に更にナイトさんがナイトメタリックで追撃し決めました。ゴールドもぼやいていましたが美味しい場面をさらっていきますね。

□ゴセイレッドVS外道シンケンレッド

 ゴセイジャーとシンケンジャーの期待を一身に背負って満を持して登場したゴセイレッドが、シンケンレッドを止めるべく戦いに挑みます。この戦闘が非常に素晴らしく見所に溢れていました。宙を舞い、ゴセイブラスターの抜かず撃ちを決めるゴセイレッドの格好良さが最高です。

□血祭のブレドラン

 複数の組織を渡り歩く悪の旅烏、ゴセイジャー界のワタリドリボーマとも呼ばれる(?)ブレドランらしく、この映画では外道衆に所属し血祭のブレドランを名乗っています。しかしドウコクを装うのではなく、屍肉のブレドランとかそんな感じの新しい名と姿が見たかったと言うのが本音でございます。別に敵の外道衆もドウコクと誤認してブレドランに付き従っているわけではありませんし、面白味に欠けました。
 ゴセイレッド、シンケンレッドのダブルレッドと戦ったブレドランですが、何と分身して彗星のブレドラン、チュパカブラの武レドランが登場しました。これはブレドランファンにとっては必見でしょう。凄く嬉しかったです。隣席に座っていた知らない子供も目を丸くして大興奮していたのが印象的でした。

□海賊戦隊ゴーカイジャー

 前作でゴセイジャーが登場したので見る前から分かり切っていましたが、本作にも放送前のゴーカイジャーが登場しました。三途の川をブレドランに利用されまいと暗躍するシタリの前に現れ戦闘になります。
 ゴーカイレッドの声や喋り方が乱暴で汚いのが少し気になりました。もっとヒーローらしい爽やかな声が好みです。ただあの面子の中では、曲がりなりにも皆を引っ張っていく指導力を持っていそうなところだけは評価します。
 ゴーカイジャーの五人は驚嘆すべき事に、其其がゴーオンレッド、ゲキレッド、ボウケンレッド、マジレッド、デカレッドに変身しました。過去の戦隊戦士に変身するのも驚きですが、五人全員がレッドと言うのも異様な光景です。女性戦士が変身したゲキレッドとマジレッドはちゃんとスカートを履いた女性用のスーツになっています。見ている最中は意識しませんでしたが人選は、現役で登場しているゴセイジャーとシンケンジャーを除いて新しい作品から順に選ばれているのですね。この変身を「海賊版だからな」とブラックジョークで流したのは巧い事を言うと思いつつも、それを公式に言うのはある種の悪乗りに思えました。

□巨大戦闘

 グランドゴセイグレートとダイカイシンケンオーが並び立ち、ハイパーデータスとダイゴヨウも加わり巨大化したブレドラン、マダコダマと戦いました。一瞬で必殺技を決めてしまったのには落胆しましたがブレドランがしぶとく生き残ったので一安心です。逆襲されピンチの戦隊ですが、グランドハイパーゴセイグレートに合体して対抗しました。この新合体は名前こそ物物しいのですが実際はハイパーゴセイグレートの頭部だけグランディオンヘッダーに交換しただけで名前負けしています。更にシンケンジャーのモヂカラを合わせた『モヂカラヘッダーストライク』でブレドランに勝利しました。しかしこの最後の最後となる見せ場までTVシリーズの特別EDで既に見せてしまっていると言うのは如何なものでしょうか。新鮮な驚きがありませんわ。ただ全体的に満足とは行かないまでもボリュームはあり、前作よりは良かったです。

□総評

 ゴセイジャーとシンケンジャーの一方に描写が偏重する事が無く、小ネタも合わせて巧い具合に絡まっていて非常に完成度の高い作品でした。纏まっているので大人しく地味なのかと言えばそんな事も無く、見ていて心から盛り上がる素晴らしく面白い映画です。VSシリーズには必ずしも良い印象を抱いていないのですが本作は傑作と言って良いでしょう。VSシリーズの中で最も気に入りました。
 個別の感想ではゴセイレッドと外道シンケンレッドの対決のみを抜き出しましたが、一番重要なアクションは充実しており大満足でした。これが見たくて見に来ているのですからこれが駄目なら話になりませんしこれが良ければ最高なのです。
 細かいコミカルな描写が笑えた上にそれが前面に出過ぎなかった点も好感が持てます。ちょっとと思う部分も無かった訳ではありませんが我慢が出来るレベルでしょう。前述したことはの死んでしまった発言もそうでしたが、その他ではデータスが動き出した瞬間に流さんが見せた動きがオーバーアクションながら自然で良かったです。随所で劇場に笑いが巻き起こっていました。
 とにかく凄く良かった、凄く面白かったと心から頷ける作品です。前月に見た仮面ライダーの映画に不満があった後でしたから、嬉しいと同時にライダーも安定してこの完成度に達して欲しいと思いました。

(11.01.29)

戻る