ゴジラ−1.0


□敷島浩一

 第一印象は最悪でその時点で映画全体への期待も下がりました。しかしその後は逃げずに頑張っていますから自然と印象は改善しました。取り立てて魅力的かと言うとそうでもありませんでしたが、不快にもならないので見ていて邪魔ではない主人公です。
 最後は犠牲にならず助かりましたが、死んだ方が好みではありました。ただ生きたからこそ宗作とのドラマや、典子との再会による感動があるのも事実です。
 ところでエンドロールを見て非常に驚きました。神木隆之介。神木隆之介と言うと、あの子役の神木隆之介ですか!? 何時の間にか大人になっていたとは、と驚愕です。

□橘宗作

 絶対に再登場して何か役割が与えられるだろうと思ったし、浩一に耳打ちした時点で脱出装置を組み込んだのだろうと予想は出来ましたが、予想通りなのですが、予想通りであっても熱い展開でした。浩一が宗作を呼んだのは彼が自分を憎んでいると知っているからで、そんな彼なら自分を殺す手助けをちゃんとしてくれるだろうと言う判断なのですよね。その上でなお宗作が脱出装置を組み込んだと言うのは、言わば浩一を許したと言う事で、此処が最高に熱いのです。

□ゴジラ

 本作のゴジラは比較的オーソドックスなデザインだったので馴染み深く落ち着きました。あぁ、これこれ、これがゴジラだ、と思えます。しかもそれがちゃんと昼間に大暴れするのですから言う事はありません。シン・ゴジラでの不満がゴジラがあまり暴れなかった事ですからね。この点だけで本作の方が好印象です。しかも海で暴れるのが良かったですねぇ。ゴジラと言えば東宝の大プールでの撮影で、もう大プールが取り壊されたので見られないと思っていた様な映像が蘇りました。
 ただ、本作に限りませんが近年の作品はどれも放射火炎をもったいぶった大技として扱ってばかりなので、偶にはもっと気軽に吐いてほしいと言う気になります。一一背鰭が動く予備動作があったりで大仰すぎます。

□大石典子

 どうせ生きていて最後に再会するだろうとは読めていましたしベタベタではありますが、その再会で終わるのは素直に感動的で良かったです。奇を衒わない雛形の良さがありました。だから最後の最後に、ゴジラ映画のお約束とばかりにゴジラの復活を示唆させる場面を入れたのが蛇足でした。

□ゴジラのテーマ

 ゴジラと言えばこれですしこれが流れるとやっぱり盛り上がるのですが、何時までも故人に頼っている歪さ、それでもシリーズを続けなければいけない事に複雑な気持ちはあります。

□総評

 監督の山崎貴は酷評されていましたが、充分に面白いと言える内容でした。期待以上と言っても差し支えありません。久しく得られなかった真っ当なゴジラ映画が見られた満足感があります。

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(23.11.5)