特命戦隊ゴーバスターズ
THE MOVIE
東京エネタワーを守れ!

□名乗り

 前半の名乗りではゴーバスターズに合わせて各バディロイドも一言ずつ入れるのですが、ゴリサキの掛け声は力強く迫力がありました。やっぱり玄田哲生は勇ましい役柄を演じた方が似合いそうです。

□エネたん/バスターマシンFS−0Oフロッグ

 映画の目玉と言うべきバディロイドとバスターマシンですが、何の脈絡も無く登場したので些か唐突な感がありました。スチームロイドの能力で既存のバスターマシンが出せなくなったから引っ張り出した、とかの方が盛り上がったのではないでしょうか。

□スチームロイド

 工場そのものがメタロイドに変化したのはスケールが大きかったのですが、単体での戦闘力はそれほどでもありませんでした。映画ならではの特別な怪人と言う印象は薄いです。

□エンター

 映画と言う舞台でありながらエンターが直接ゴーバスターズと戦い、その実力を見せ付けてくれなかったのが残念でした。矢張り映画では基本として幹部の戦闘も見せて欲しいのです。
 今回はメガゾードを操縦すると言う妙技まで披露し張り切っていたエンターさんですが、結果だけ見ればそれでも全ては徒労に終わってしまいました。自然と悪役に感情移入してしまうので、何の成果も挙げられなかったのが不憫でなりません。作戦失敗が明らかになった時点で八つ当たりにでも街を破壊し人を殺し恐怖と絶望の嵐を巻き起こせば良いのに、それもしないのがもどかしくすらあります。

□等身大戦闘

 バグラーとの交戦が前半と後半の二度あったのですが、正直、代わり映えしない戦闘を二度見せられて冗長だった感が否めません。この辺りに本編と同様の等身大戦闘が弱いと言う本作の弱点を感じますね。レッドの高速移動、ブルーの怪力、イエローの跳躍力と個性的な能力があるのに戦闘が単調になってしまうのは却って凄いくらいです。
 ただ東京エネタワーを登っていく描写は良かったですね。スーツアクターの身体能力が高い事が感じられ、素直に凄いと思いました。一瞬だったのでもっと長くじっくりと見たかったくらいです。展望台内部での戦闘も良かったのですが、どうせなら派手に爆発を起こして内部から破壊して欲しかったですなぁ。いあ、無理なのでしょうが。

□巨大戦闘

 本作の真骨頂とも言うべき巨大ロボの特撮は流石と納得の出来でした。完全にロボアニメの文法で作られているのがよく理解ります。バスターエースが空から東京エネタワーに迫る場面は実に爽快でした。その後も多数のロボが入り乱れて戦う場面は迫力満点です。

□総評

 エンターが戦わなかった事と、そして何よりメサイアの出番が無いのが残念でした。ただそれを除けば凄く大きな不満は無く面白かったです。面白かったのですがそれ以上にはなれませんでしたなぁ。もう一皮剥けてもっと上の段階になって欲しかった、と言う思いがあります。あとイエローがフリーズしたレッドを武器にして振り回したり、司令官が柄にも無い歓声を上げたり、笑わせようとしていた場面で観客の反応が無かったのが印象に残りました。これまでだったらこういう場面で観客が笑っていたのですがねぇ。それほど差があるとは思わなかったので不思議です。
 余談ながら最初に東京エネタワーと聞いて出来たばかりの東京スカイツリーで撮影とは話題性もあるし素晴らしいと思ったのですが、スカイツリーではなく東京タワーだったのですね。

(12.8.4)

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