□「何喋ってんだ!? 理解る言葉で言え!」
お前が言うな!(ぉ
中国語を話すラオファンに対するジャンの台詞ですが、普段から周囲には理解出来ない独自の言葉を使っているジャンにだけは言われたくありません。
□乾坤一擲武術会
見るからに弱そうな“その他”の連中ですが、実際に弱くて一瞬で負けていました。大会主催者が選抜し、言わばゲキレンジャーの三人や理央、メレと同等の実力者と見込んだのでしょうから、もう少し健闘した方が自然ではないでしょうか。一回戦の試合内容そのものは見応えがありそうでしたので、少ししか見れなかったのが残念でした。もう少しじっくりと堪能したかったですね。
□気を吸収するヤンとミランダ
つまるところ、ヤンはドクター・ゲロですね。人造人間20号ですね。
□理央/黒獅子リオ
本作で一番格好良かったのは紛れも無く理央です。
機械人ミランダに気を吸収されて倒れるメレ、ゲキブルー、ゲキイエロー。そこで降臨・・・満を持して立ち上がった理央。理央が脱ぎ捨てたマントがメレに被さるのが堪りません。飽く迄もさり気無いのが良いですよね。これで過剰にメレを心配したら理央ではありませんから、非常に良い按配です。最終的には理央も気を吸収されてしまいますが、臨気凱装をしたリオが機械人ミランダを斃すと言う見せ場もありとても恵まれていました。
また巨大戦ではゲキレンジャーに加勢するのですが、その際も獣拳の強さを証明する事が目的で、決してゲキレンジャーや激獣拳に歩み寄らない姿勢が一貫していて良かったです。そしてこの時にリオの考えを理解し、笑みを浮かべながら追随し獣人邪身変するメレがこの上なく格好良いです。理央と同等の格好良さを見せてくれました。
□「香港の人達が苦しんでいるんだ!」
・・・え? そうなの? 描写が皆無なのでそんな事を言われても戸惑います。一般人が逃げ惑ったり苦しんだりする場面が欲しかったですね。
□ヤン/機械人ヤン
本作のボスであるヤンを演じるのは石橋雅史! レーダですよ、暴魔博士レーダ!! 流石の貫禄で生身のアクションは他の誰よりも素早い動きで、掛け値無しに一番強そうでした。強さに説得力と言うものがあります。機械人へと変身した時はもう石橋雅史の出番が終わりかと落胆しました。戦闘形態も石橋雅史の素顔を活かして欲しかったです。
機械人ヤンはごちゃごちゃと複雑なものの印象には残らず面白味の無いデザインです。そして余り強くもありませんでした。まぁ、別に最強の敵と謳っていた訳でもありませんから、こんな所でしょうか。
□巨大戦闘
TVシリーズでも巨大戦の質が良いゲキレンジャーですが、ミニチュアで再現された香港の夜景が綺麗でした。強力な
ゲキリントージャの格好良さだけではありません。カメレオンの舌で相手を縛ったり、両者がビルに登ったり、工夫が見られて良い戦闘でした。
□エンディング
戦いが終わった後にシャーフー、美希、なつめがやって来るのですが、正直に言ってこの場面が要りません。邪魔蛇足不快。良い感じに盛り上がっていたのですが全てが台無しです。嫌な終わり方になってしまいました。
それからそこまでは言いませんが、作品を通してラオファンの存在意義が不明瞭でした。別に居なくても問題が無かったと思います。
□総評
筋は面白いとか面白くない以前に、どうでも良いとさえ思いました。しかしそれで良い、そういう作品なのです。本作の見所は連続して繰り広げられる激しいアクションに相違ありません。それで盛り上がる爽快な作品なのです。変に恋愛要素を絡められるよりもずっと好感が持てました。TVシリーズの評価とは対照的に、何とも意外なほどに、素直に面白い佳作です。
反面、不満も挙げられます。幾つかありますが最たるものは上で述べた最後の美希でしょう。これが本当に大きいです。これが無ければどれ程良かった事でしょうか。
それから香港大決戦と銘打っている訳ですが、実際に香港でロケをしたと思われる場面は驚くほど少ないです。正確な所は存じませんが、背景ではなく実際に役者が香港で撮影をした場面は殆ど無かったのではないでしょうか(もしかしたら皆無?)? 香港を売りにするのであればもっとまともな香港での戦いが見たかったです。
ですが総合的には面白かったと言うのは確かです。ガオレンジャーから始まった近年の戦隊映画の中では、或いは、一番に好きな作品と言えるかも知れません。
(07.08.07)