翠星のガルガンティア
〜めぐる航路、遥か〜
後編

□「哀しい事だが事実だ。我我は其処から学ばねばならん」

 でもいくらそう考えていても、過去の技術が復活すれば争いの火種になるだけですよね。学ぼうとする人がどれだけ居ても、たった一人でも違えばそれでおじゃんです。

□「レド、あそこに海豚が」

 海豚が居るか?

□「り、リー・・・マ・・・」

 この瞬間から泣けて来ました。胸が打たれる一言です。

□マズル

 前編の最後で姿を現した時はレドと対立する悪なのかと見ていたのですがそんな事は全くありません。チェインバーほどではありませんが素早い機動を見せ戦艦を圧倒する戦闘は見ていて爽快でした。気持ちが良かったです。
 しかし最後の結末にはマズルが全く報われないと哀しくなりました。あの状況で生き残っても狙われ続け安息の場所は無いでしょうし、彼がそれまで共にあったリーマを大切に思い助けたのは感動的な場面なのですが、マズルも幸せになって欲しかったと言う気持ちの方が強いです。チェインバーと言い、この作品はロボに厳しいですなぁ。

□ラケージ

 男前で実に良い女でした。帰る場所の無いリーマを勧誘しましたが、それだけで他の海賊にも其其にドラマがあったのだろうと推測出来ますね。
 ガルガンティアから抜け再び海賊に戻ったラケージですが、その決断に到ったのはピニオンが変装した自分を見て気付かれなかったからなのでしょうか。

□「ご心配無く。海は、一つですから」

 また何時か会う事が出来ると言っているのですね。優しいではありませんか。

□総評

 前編は映画館で見るのは物足りないと言う印象でしたが、後編はそれを覆し実に充実していました。マズルの活躍を中心とした戦闘もあってとても盛り上がります。レド、エイミー、リーマが織り成す物語も見応えがありました。
 総じて満足度が高いのですが、前編と後編に分けず一つに纏めたら上映時間も長く、より高い満足を得られたと思ってしまいます。やっぱりOVAのイベント上映ではなく、最初から劇場公開を前提とした映画の方が良いですなぁ。
 久し振りにガルガンティアに触れたのですが、矢張りこの作品は、この世界観は魅力的ですね。この名前も無い人間がこの世界で生活している何気無い描写を見ているだけで充分に面白いです。こんな風に違った世界を描ける、それこそアニメの魅力ですね。加えて本作では陸地や国の戦争と言う新しい要素も明かされました。それだけでワクワクするではありませんか。そしてそれだけにこの作品は1クールではなく、4クール、或いはそれ以上の長期作品として見たかったです。様様な海洋世界を渡り歩き、徐徐に世界が広がっていく、そんなスケールの大きな物語が見たかったです。本作も例えばテレビシリーズ中盤の出来事として描かれ、別れたリーマと終盤で再会する、そんな展開だって想像出来ました。本当に勿体無い。もったいないおばけがダース単位で訪れます。

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(15.04.04)