仮面ライダー鎧武
 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!

□葛葉紘汰/仮面ライダー鎧武

 サッカーの試合では相変わらず凄いアクションを見せてくれました。テレビシリーズでも発揮されていますが、紘汰を演じている方の運動神経は抜群ですねぇ。
 ラピスや舞から高く評価されているのですが、何となく持ち上げられ過ぎている印象を受けました。決して紘汰は嫌いではなく主人公として好感が持てますが、だからと言って周りから極端に持て囃されるのには違和感があります。

□シド/仮面ライダーシグルド

 本編では死んだシドが生きていて仲間と和気藹藹と過ごしていたのですが、貴虎に叛意を見抜かれ始末されてしまいます。本編と同様に退場してしまったのは些か残念でした。

□「兄さんに妻は居ない」

 その言い方だと貴虎が、本当は独身なのに自分が結婚していると思い込んでいるみたいではありませんか(笑)。でもこの貴虎が病床の妻を見舞うと言うのが、王妃を生き返らせようとするロシュオと重ね合わされていると判明し、意外に深い意味がありました。

□市街戦

 仮面ライダーが次次に消失する怪現象を防ぐと言う名目で進撃するブラーボが率いる傭兵軍団と、それを鎮圧しようとする斬月・真が率いるアーマードライダー軍団の市街地を舞台にした激突が大迫力でした。派手でボリュームもたっぷりとあって見応えがあります。乱入したバロンのバイクアクションも圧巻です。やっぱり仮面ライダーなのですからバイクに乗って欲しいです。本作に於ける中盤の見所と言って差し支えないでしょう。
 しかし最終的に斬月・真、ブラーボ、バロンの三者が同時に必殺技を放って相打ったのには、阿呆の集まりかと呆れました。後にバロンが無事な姿で現れたので、「おぉ、あれは作戦だったのか。流石にそんな無様ではなかったか」と見直しかけましたが、真相はバロンがマリカに助けられただけでした。

□ラピス//仮面ライダー冠シルバーアームズ

 憎しみに捉われたアーマードライダーが消滅する場に居合わせていたので、彼が作り出した世界の維持にライダーのエネルギーが必要で集めているのかと思いました。しかしサガラの言葉からするとこれはコウガネが罪を擦り付ける為に変身していた姿だったのでしょうか?
 本作の舞台となった世界を最初は彼が一から作り上げた別の世界で、紘汰と光実だけが紛れ込んだのだと思っていたのですが、そうではなく元の世界をラピスが作り替えた夢の様な物だったのですね。どういう訳か紘汰と光実だけがその影響を受けなかったみたいです。
 最後にラピスが仮面ライダー冠に変身していたのには驚愕させられました。でも殆ど変身しただけで活躍は皆無でしたね。

□コウガネ/仮面ライダーマルスゴールデンアームズ

 嘗てフェムシンムの一人が生み出そうとした擬似的な知恵の実で言わば人工的な神と言うのは映画の敵に相応しい設定です。ただ神として世界を征服しようとするのが目的なのは、(それが悪いと言うのではありませんが)人間的な深みを感じられませんでした。アニメの悪役にありがちな表現で、平成ライダーの悪役とは趣を異にします。もっとドラマがあれば更なる存在感を示せたのではと思ってしまいます。
 変身した仮面ライダーマルスの姿は典型的な強敵と言った風情で劇場版に登場する特別な仮面ライダーらしさがあります。金のリンゴロックシードで変身すると言うのもそれを際立たせていますね。戦闘力も類稀なる物があり鎧武を肇とした多くのライダーを圧倒しましたが、最終的にはサッカーゴールを象った異形へと変化してしまうので鎧武が段段と逆転して最後に真っ向から勝つと言うカタルシスに欠けました。強敵を斃す綺麗な流れになっていないので気持ち良くありません。

□騎馬戦

 鎧武とマルスが共に馬に乗って戦うのは楽しいですね。合成のみではなく本物の爆発もあって馬の頑張りに脱帽です。

□最終決戦

 これまでに消えたライダーも復活し一斉に変身し並び立ちます。錚錚たる光景なのですが豈図らんやシグルドの姿が無いではありませんか。何度も目を凝らして探してしまいましたよ。しかも気に留めていませんでしたがデュークも居なかったのですね。最後を飾る見せ場でこれは問題ではありませんか。一気に価値を落としてしまいます。ペコを黒影・真に変身させてしまうよりこの場にシグルドとデュークを出して欲しかったと痛切に思います。
 前述の様にラピスが冠に変身したのに驚いたのですが、直後にボールに変化してもっと驚きました。まさか最終決戦がゴレンジャーボールになるとは思わなんだ。しかもマルスがそれに合わせてサッカーゴールに変化しているのですからもう意味不明ですよ。最後の必殺技はこれでも良いのですが、その前に勢揃いした仮面ライダーがきちんと共闘してマルスと戦う場面が欲しかったですなぁ。それがあれば何の文句もありませんでしたし、逆にそれが無い事で最終決戦の評価が著しく下がりました。

□総評

 監督が金田治と言う事で多大な不安を抱き危惧していましたがそれが杞憂であったと吹き飛ばしてくれる出来でした。途中まではそれを全く意識せず忘れて見ていられたくらいです。中盤の激しい市街戦でそういえばと思い出しましたが、それも悪い意味ではなくこれほどのアクションを見せてくれるのはと好意的に気付きました。これまでこの監督に対して評価は低かったのですが、今回の様な内容なら文句はありません。
 飛び抜けて印象に残る訳ではなく傑作とは言い難いのですが、総じて面白かったと満足出来る映画です。ただ矢張り最終決戦の場にシグルドとデュークが居なかった事と、その最終決戦がいきなりサッカーになってしまった不満が大きいですね。良いところが多かったので映画全体の評価は低くありませんが、この不満が解決していればもっと違った評価が出来たでしょう。とても惜しいです。

戻る

(14.07.21)